はるなつふゆと七福神 の商品レビュー
驚きました。もはやその一言に尽きます。 賽助氏のデビュー作になるのですよね? おそろしく緻密な構成と目が離せなくなる 文章力に、舌を巻きました。 ブクログ献本企画で当選し、 出版前に読ませていただけたのは、 まさに天の恵みでした。 七福神をモチーフにされたきっかけは 作者自身...
驚きました。もはやその一言に尽きます。 賽助氏のデビュー作になるのですよね? おそろしく緻密な構成と目が離せなくなる 文章力に、舌を巻きました。 ブクログ献本企画で当選し、 出版前に読ませていただけたのは、 まさに天の恵みでした。 七福神をモチーフにされたきっかけは 作者自身のあとがきで知りましたが、 この荒唐無稽の設定が、この作品の エンターテインメント性を生んだのだと 思います。とにかく面白い。 主人公と神々、環、妹の秋菜らとの 軽妙な会話が特に秀逸。くすっと笑わせて もらえる。 作者の品性をうかがわせてくれるのは、 この物語には下卑た言葉遣いやシモネタ、 あらゆる低俗なもののかけらが 全く見られないこと。 このまま児童文学として、小学校高学年になら 読ませても構わないのではないかと思う。 最も心動かされたのは、この物語はやはり、 人間そのものを描く小説であるということ。 モチーフの陰に見え隠れする人間臭さ。 神々のひとりひとりがどこにでもいそうな「人々」ではないか。 ゆるゆると始まったファンタジーは 目まぐるしくその形を変え、徐々に深刻さを 増していくが、どこを切り取ろうとも、人間 社会にありがちなさまざまな出来事に 置き換えられる。 人間のキャラクターを除けば、描かれた すべてのものが優れたメタファーであり、 作品そのものが人間社会そのものの寓話として 心に響く。 そうして。 「内角の和」は、これからも私の中で大切な 言葉としてあり続けると思う。 これはよい本です。お勧めできます!
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【歪な物語の大団円】 発売前の貴重な作品を一足早く読ませていただきまして、本当にありがとうございます。とても楽しく読ませていただきました。 わたしは子どもの頃、床の間の存在理由がよくわからなくて、一段高くなった絵だけが飾ってあるそのスペースは、神様がいるところだと思っていた。だからなにか大切なものがなくなったり、友達と喧嘩してしたときは、それがみつかるように、仲直りができるように、床の間の前に正座して神様に語りかけたりしていた。願いごとは叶ったり叶わなかったりしたが、わたしにとって家の床の間は神様と繋がる大切な場所だったのは確かだ。 そのうち、床の間の意味を知ってしまって、お願いすることは自然としなくなってしまったけれど、学校に行く前に無駄だとわかっていてもその場所に行ってきます。だなんて、声をかけたりすることもあった。 日本はどんなものにも神様が宿る國だから。 さて、最初語彙の多さで読みづらいように感じたが、後半に向かって読み進めていくと徐々に気にならなくなった。多い言葉は逆に物事をわかりにくくしてしまう。最終的に必要な言葉だけを残していく振るいをもう少しかけた方がいいように感じた。 本のサナギという名前の通り、惜しいと感じるところは沢山あったけれど、作者がこれからの作品を通してなにを描きたいのか明確になれば、いるもの、いらないものがはっきりして、もっと読みやすく、伝わりやすく、今後の作品はより良いものになると確信した。出した武器は全て最大限に活かさなければいけない。全てのことにきちんと存在理由を持たせられたら、本書ももっともっと面白い作品に成ったと思う。 辛口のレビューになりましたが、これからの作品に期待しています。
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会社を首になって、どう生活をするべきか。 悩める女性のもとにやってきたのは、小さな老人と ぷらす可愛らしい生き物。 願いを叶えてもらうために、願いを叶える。 何だか鶏が先か卵が先か、みたいな話になっています。 しかも、先払いをするために、また別の願いを…。 何だか昔のRPGを見...
会社を首になって、どう生活をするべきか。 悩める女性のもとにやってきたのは、小さな老人と ぷらす可愛らしい生き物。 願いを叶えてもらうために、願いを叶える。 何だか鶏が先か卵が先か、みたいな話になっています。 しかも、先払いをするために、また別の願いを…。 何だか昔のRPGを見ているようです。 神様が出てきて、ぎゃぁぎゃぁやっている、という 印象がありますが、深く考えるときついです。 突如人の家を占拠状態。 その間に出費はかさむ…いや、さい銭と思うべき? 相手は神様ですから、こちらの常識は、と言われると まぁそうですね~と引き下がるものがありますが。 一番ぐさっとくるのは、首になった状態の言動ですか? 確かにこうなると、自分はちっぽけでどうでいい そんな存在に思えてなりません。 どこかに何か、自分の出来る事がある、と 探して探して…見つからなかったら。 別方向からうっかり考えてしまいました。 すべての何気ないしぐさが、すべて話の歯車に。 材料全部使い切りました、という最後がすごいです。
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