GDP<小さくて大きな数字>の歴史 の商品レビュー
購入した本。GDPの歴史、今後の未来について書かれた本。 GDPの歴史は17世紀に始まる。元々は戦争開始前に、財務状況などを確認するために推計を開始したもの。 Statistics(統計)とは語源がstate(国家)と同じ。元々は国家の数字という意味。 GDPは消費者支出と...
購入した本。GDPの歴史、今後の未来について書かれた本。 GDPの歴史は17世紀に始まる。元々は戦争開始前に、財務状況などを確認するために推計を開始したもの。 Statistics(統計)とは語源がstate(国家)と同じ。元々は国家の数字という意味。 GDPは消費者支出と投資と政府支出と貿易額(輸出ー輸入)の合計で決まる。 90年代のアメリカの生産性の向上にはウォルマートが大きく貢献している。中国など安価な国で生産し、アメリカで販売するなど、貢献度は高い。 GDPはイノベーションなど新たな価値を測るのに適していない。イノベーションを測るには経済の大きさではなく、サービスなどの多様性に目を向けなくてはいけない。 GDPと幸福度には相関性がない。幸福度はどこかで頭打ちになる。 「生産性(1時間あたりの生産量)で測れる仕事はたいてい自動化したほうがいい。人間が得意なのは時間を無駄にすること。実験し、遊び、創造し探究すること。長期的な経済成長にはこれらが必要。」 普段何気なく、GDPという指標を参考に仕事をしているが、歴史や意義など知る機会となった。変わりゆく時代の中で、指標なども同じく変化しないといけない。
Posted by
「ギリシアでは、統計は格闘技なのです」で始まる本書では、GDPが如何にでき、それが徐々にいまの時流と合わなくなってきたことを分かりやすく述べています。 英語の「statistic(統計)」という単語は「state(国家)」と語源が同じであり、もともとは大恐慌や第二次世界大戦...
「ギリシアでは、統計は格闘技なのです」で始まる本書では、GDPが如何にでき、それが徐々にいまの時流と合わなくなってきたことを分かりやすく述べています。 英語の「statistic(統計)」という単語は「state(国家)」と語源が同じであり、もともとは大恐慌や第二次世界大戦などで国の経済をどう図るかがきっかけだったそうです。しかし、「ハウスキーパーと結婚して無償で家事をしてもらうと、GDPは減少する」「災害が起きるとGDPは伸びる」「教師の価値を何で測るのか」など様々なパラドックスも生じ、現代の経済に合致していない部分も多々あると論じられています。「GDPは単に産出量を測るものであり、人々の豊かさは考慮外」であり、実は国によってもその算出方法はまちまちというのが分かりました(単純比較は難しい)。 手に取ったのは、8月19日付・日本経済新聞の「リーダーの本棚」で林外相が、愛読書として紹介していたためです。実は、昨年、林外相とは外務大臣室でお目にかかり、「以前は10曲程度入ったレコードが2,500円くらいだったものが、いまでは月980円で聞き放題。こうした差額を『消費者余剰』と言って、これまでのようなGDPでは計算できなくなっている」ということを話されていましたが、この「消費者余剰」について、この本にも書かれていました。多くのネット・サービスが「無料」で、一日の多くの時間を費やしながらも充分満足できるので、GDP云々ではもう測れない部分もあるとも思いました。 「何事も量がすべてではない」ことがわかり、漠然と捉えていた言葉に新しい視点を投げかけてくれる良書と思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日経新聞の書評で林外相が推奨本として載せており読んでみた。まず政府関係者はこうした内容からGDPの統計のあり方を見直す分科会を立ち上げ、議論しているという。意外と地に足のついたことをしている印象。 本の中身についてはGDPの定義や歴史、課題、将来に向けてGDPに代わる統計指標は何かといった話で進む。 GDPは新聞でよく見ていて経済成長を測る絶対的な指標という印象があった。ただこの本を読むとあくまで生産量、価値を合算したもので、ある意味で手動で集計、またその定義も曖昧であるといったことやイノベーションや多様性といった点の価値をGDPからでは見いだせず、必ずしも絶対的な指標ではないということがよく理解できた。 GDPは合算した価値を季節変動やインフレ調整、国単位の購買力を加味して調整し初めて国際比較が出来る。非常に複雑。 GDPが増えれば手放しで良いという論じ方等をしている場合は注意が必要。またGDPが増えると確かに豊かにはなるが、より人々の生活の潜在性に焦点を当てたHDI人間開発指数という指標がある。将来的にはこうした指標も使われる可能性がある。 一人あたりGDPによって世界銀行は中所得国、低所得国といった分類をして、融資する際の金利などが変わってくる。 今後は環境面も考慮していなかったり、IT分野等の形のないもの・サービスが増えていることから見直しが必要となるかもしれない。 今まで何の疑問も持たずにGDPという指標を受け入れていたが、しっかりその指標が何を指しているかを理解し、またただ鵜呑みにするだけではいけない。指標主義に気をつけたい。
Posted by
本書あっというまに読了しました。まずGDP統計誕生の歴史について書かれていて、現在我々が使っているものは実は大恐慌と第二次世界大戦のなかでいかに国の生産力や軍事力をはかることを念頭におかれたものか、という背景情報は勉強になりました。 そして時代が変わるにつれて、人々が本当に知りた...
本書あっというまに読了しました。まずGDP統計誕生の歴史について書かれていて、現在我々が使っているものは実は大恐慌と第二次世界大戦のなかでいかに国の生産力や軍事力をはかることを念頭におかれたものか、という背景情報は勉強になりました。 そして時代が変わるにつれて、人々が本当に知りたいことが変わってきます。それは生活の質であったり、環境面への影響ですが、そのようなニーズを受けて、GDP統計自身が修正を加えられたり、全く新しい指標が開発されたりといったことがわかりやすく記載されていました。その意味でGDP統計の変遷についてはわかりやすく読めたものの、GDP統計のルールについては若干難解な箇所もありました。たとえば金融サービスの生産額の推計方法について。ただ著者の言わんとしていることは、まさに金融サービスの推計方法は難解でかなりこじつけ的な所もある、ということなのでしょう。つまりGDP統計は有益ではあるが全面的に信用するなというメッセージです。繰り返しになりますが、本書あっという間に読めて、GDPだけにフォーカスをあてた読み物という意味でニッチな本ですが、知的好奇心は満たせました。おもしろかったのですが、深い感銘を受けるところまではいかなかったので星3つとさせていただきました。
Posted by
GDPが発明された過程や使われ方、その問題点を歴史をさかのぼって検討しつつ、どのように使いこなしていったらよいかということを考えさせられる。かつての日本はGDPは大きくなったものの豊かさを実感できないと言われていたが、現在ではGDPもやせ細ってきているらしい。社会の豊かさとは何な...
GDPが発明された過程や使われ方、その問題点を歴史をさかのぼって検討しつつ、どのように使いこなしていったらよいかということを考えさせられる。かつての日本はGDPは大きくなったものの豊かさを実感できないと言われていたが、現在ではGDPもやせ細ってきているらしい。社会の豊かさとは何なのか?
Posted by
GDPは政府の景気判断や経済政策の決定に大きな影響を与える指標で、ニュースでもよく報道される。だからGDPという言葉は殆どの人が知っているだろうが、GDPってそもそも何なのか?と聞かれて正確に答えられる人は多くないだろう。(そういう意味で、僕が前にレビューを書いた「応仁の乱」と「...
GDPは政府の景気判断や経済政策の決定に大きな影響を与える指標で、ニュースでもよく報道される。だからGDPという言葉は殆どの人が知っているだろうが、GDPってそもそも何なのか?と聞かれて正確に答えられる人は多くないだろう。(そういう意味で、僕が前にレビューを書いた「応仁の乱」と「GDP」はよく似ている。) 本書は、GDPとは何か?という問いに対して真正面から向き合い、GDPという経済指標が生まれた歴史から紐解き、GDPという指標の限界を論じつつ、GDPの有用性も併せて説明するバランスの取れた本である。本書を読んで初めて知ったのだが、国連が作ったGDPの計算マニュアルは何と722ページもあるのだそうだ。しかし本書は単なるGDP計算マニュアルの解説本ではなく、経済指標を扱った本だけれども難しい数式は出てこない。GDPという指標の裏側にある人間臭いエピソードは思わずクスリとさせられる。 だから、経済なんかよく分からないという人にもぜひ手にとっていただきたいと思うのである。
Posted by
経済学をやっていると経済データが何を表しているかに無頓着となりがちだ。 本書はGDPの成り立ちについて書いた本だが、現行のGDPの問題点を扱っている後半部分が特に参考になった。 大きな問題として、現代は多品種少量生産の時代となったため、昔に比べて同一の財・サービスの価格を時系列に...
経済学をやっていると経済データが何を表しているかに無頓着となりがちだ。 本書はGDPの成り立ちについて書いた本だが、現行のGDPの問題点を扱っている後半部分が特に参考になった。 大きな問題として、現代は多品種少量生産の時代となったため、昔に比べて同一の財・サービスの価格を時系列に比較することが困難になっているということがある。 別の問題として、金融機関の生み出す付加価値をどう定義するかということがある。英米は金融がGDPに占める割合が大きいが、実は統計の見かけだけで実体がないかもしれないのだ。 これらの論点を知らずに、表面的なGDPの動きを信じてマクロ経済を語るのは危険である。 本書は経済学部の学生、仕事でマクロ経済のデータを扱う人に是非一読していただきたい本である。
Posted by
経済を語る上で欠かせない指標であるのに、よくわからないもの。基本からその歴史、課題まで。 ・戦費調達のための概念としてのGNP, GDP ・GDPは生活の豊かさを測る指標ではない →ネガティブな活動によっても増加する ・GDP算出の三方法:生産、支出、所得 ・GDP計算の困...
経済を語る上で欠かせない指標であるのに、よくわからないもの。基本からその歴史、課題まで。 ・戦費調達のための概念としてのGNP, GDP ・GDPは生活の豊かさを測る指標ではない →ネガティブな活動によっても増加する ・GDP算出の三方法:生産、支出、所得 ・GDP計算の困難さ →実質GEP算出のためのインフレ率を求める各財、サービスのウェイト →財、サービスの品質向上を加味できない →データ収集が困難、統計の不正確 →生産に加味できない活動(家事、自己勘定等)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[たかが数字、されど数字]経済関連のニュースを見ればほぼ間違いなく目に入ってくる指標の一つであるGDP。意外と知らないその指標の意味するところと、一般に受け入れられるまでの歩みまでを概観した作品です。著者は、卓越した金融ジャーナリストに贈られるウィンコット賞を受賞した経験を持つダイアン・コイル。訳者は、『ウォール街の物理学者』などを翻訳した高橋璃子。原題は、『GDP: A Brief but Affectionate History』。 これは「メッケもの」。GDPという概念の限界を指摘しながらも、その限界を指摘することの限界までをも射程に入れているところが見事。GDPという概念を通して眺めた経済史という側面もある一冊で大変満足できました。分厚い本ではありませんが、考える糧を多く与えてくれる一冊だと思います。 〜私たちはGDPという実態がどこかに存在し、必要なのは測定の精度を上げることだというような錯覚に陥っている。だが測定の対象がただの概念にすぎない以上、正確な測定などというものは本来ありえない。もともと自然界に存在するものを発見して測定するのとはわけがちがうのだ。〜 著者のバランス感覚がスゴい☆5つ
Posted by
GDPにまつわる歴史と課題に関する短めの本。興味深かった点としては、 ・国民経済計算の始まりは軍事的必要から ・GDP誕生前は政府活動はおろかサービスまで経済価値を生み出すものとみなされなかった ・政府活動がGDPに含まれたこととケインズ政策は一体不可分 ・GDPは生産の指標であ...
GDPにまつわる歴史と課題に関する短めの本。興味深かった点としては、 ・国民経済計算の始まりは軍事的必要から ・GDP誕生前は政府活動はおろかサービスまで経済価値を生み出すものとみなされなかった ・政府活動がGDPに含まれたこととケインズ政策は一体不可分 ・GDPは生産の指標であって豊かさは示さない ・商品の複雑さ、多様性も捕捉できない。 全体としては面白かったが、内容は少し浅かった印象。
Posted by
- 1
- 2