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自分ひとりの部屋 の商品レビュー

4.5

33件のお客様レビュー

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2023/06/13

女性が小説を書くためには、「年収500ポンドと自分ひとりの部屋」を持たねばならない、という主張をどう受け止めたらよいか、終始迷いながら読み終えました。 訳者の解説によれば、年収500ポンドはおよそ年収500万円と読みかえて差し支えないらしい。 年収500万円相当の労働とは、どん...

女性が小説を書くためには、「年収500ポンドと自分ひとりの部屋」を持たねばならない、という主張をどう受け止めたらよいか、終始迷いながら読み終えました。 訳者の解説によれば、年収500ポンドはおよそ年収500万円と読みかえて差し支えないらしい。 年収500万円相当の労働とは、どんな仕事であれかなりの時間を必要とするだろうし、時間を必要としないなら、何かしらの運の良さか才能に恵まれていなくてはならないのでは、と2023年の日本にいる私は、1929年のイギリスにいるウルフに言いたくなってしまう。(ちなみに、この作品の架空の語り手であるメアリーは、年収500ポンドを親戚の遺産から得ている設定になっている。) が、頭のどこかで、ウルフは1つのわかりやすい提案として、これらの条件を挙げたのではないかな、とも思う。 それは、ウルフは何度も本書の中で 作品はそれのみで、孤独のなかで誕生するわけではなく、年月をかけて人々が一体となって考えた結果として登場する、とも述べているから。 そしてウルフは、様々な制約のなかで自由に生きられない女性たちが、不幸な境遇や怒りにとらわれず、精神を白熱させることを重視し、たとえ1つの時代の1人の作家がそれを完璧に成し遂げられなかったとしても、詩人の魂は不滅で、一人ひとりの女性のなかで蘇るときを待っているのだ、とも、繰り返し述べています。 つまり、これらの条件がそろわなければ女性は小説を書けない、ということではなく、社会の様々な制約を炙り出しながら、いかに作品のために精神を白熱させられるか、過去から渡されてきたバトンを受け取り未来へたくしていくかが大切なのである、というメッセージなのではないかな。 そして、広い意味では、小説の書き手だけではなく、一人ひとりの女性がそのバトンの受け手となるのだと思います。 古典を読んでいるとき、だいたいは望遠鏡を一生懸命のぞいて遠くのほうで燃えさかる星を美しいなあ、と眺めているような気分なのですが、本書はその惑星からヒュッとバトンを渡されたような衝撃を受けた一冊でした。

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2022/04/22

著者、ヴァージニア・ウルフ、どのような方かというと、 ウィキペディアには次のように書かれています。 ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf, 1882年1月25日 - 1941年3月28日)は、イギリスの小説家、評論家、書籍の出版元であり、20世紀モダニズム文学の主...

著者、ヴァージニア・ウルフ、どのような方かというと、 ウィキペディアには次のように書かれています。 ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf, 1882年1月25日 - 1941年3月28日)は、イギリスの小説家、評論家、書籍の出版元であり、20世紀モダニズム文学の主要な作家の一人。 モダニズム文学とは、何かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 モダニズム文学(モダニズムぶんがく)は、20世紀文学の一潮流で、1920年前後に起こった前衛運動をさす。都市生活を背景にし、既成の手法を否定した前衛的な文学運動。ヨーロッパ、アメリカ合衆国、日本、ラテンアメリカなど各国でその動向が見られる。 少々調べてみましたが、良くわかりませんね。 で、本作はの内容は、次のとおり。(コピペです) 女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分一人の部屋を持たねばならない――〈女性と小説〉の歴史を熱く静かに紡いだ名随想の新訳。

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2021/12/28

この先の人生で何度も読み返すことになると思う 「文学の中で男性が女性の恋人としてしか表象されず、他の男性の友人ということもなければ、兵士でも、思想家や夢想家でもないとしたらどうでしょう?……文学は甚大な損害を受けることになります」 こんな簡単な理屈でさえ信じ続けることは難しい、...

この先の人生で何度も読み返すことになると思う 「文学の中で男性が女性の恋人としてしか表象されず、他の男性の友人ということもなければ、兵士でも、思想家や夢想家でもないとしたらどうでしょう?……文学は甚大な損害を受けることになります」 こんな簡単な理屈でさえ信じ続けることは難しい、部屋でひとり、自分は誰かの席を奪ったのではなく奪われていた席を取り返したのだと初めて思えた

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2021/09/16

海外のフェニミスズム運動の参考書として。 18~19Cに女性が置かれていた状況(財産館がない、一人で図書館に入れない、散歩でも文句を言われる)について参考になった。 確か「武士の娘」で、海外から来た女性に、日本では女性が自分の家のお金を管理する事について羨ましがられていたと思う...

海外のフェニミスズム運動の参考書として。 18~19Cに女性が置かれていた状況(財産館がない、一人で図書館に入れない、散歩でも文句を言われる)について参考になった。 確か「武士の娘」で、海外から来た女性に、日本では女性が自分の家のお金を管理する事について羨ましがられていたと思うが、なるほど、こういう状況下に置かれていたのかと納得。

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2021/09/05

女性であることの意味、男性と女性が同じフィールドで戦っているという意識はいらないのではないか。 セクハラなどと短くして軽く扱うな。 余裕があれば女性は上手く生きていけるのか、それとも最低限の余裕にプラスする必要があるのではないか。 性別よりもその人が何をでき、何を乗り越えてきたの...

女性であることの意味、男性と女性が同じフィールドで戦っているという意識はいらないのではないか。 セクハラなどと短くして軽く扱うな。 余裕があれば女性は上手く生きていけるのか、それとも最低限の余裕にプラスする必要があるのではないか。 性別よりもその人が何をでき、何を乗り越えてきたのか。能力主義からの脱却に最後は陥ってしまう? アナザードリンクはやはり、女性からのあらゆる押さえつけを受ける男性性の優勢感の爆発だったのではないか。 女性の劣等性ではなく、男性の優勢性の維持が原因。 美味しく食べていなければ、うまく考えることも、上手く愛することも、うまく眠ることもできない。 ある人になりきった視点はおもしよかった。

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2021/09/04

面白かった。 過去の女性たちがいかに創作の世界から、貧困と社会の圧を理由に排除されてきたかのかの話。 自分ひとりで金を稼げないと家からは抜け出せないし、そうしないと自分の執筆や思索に集中するための邪魔されない部屋も持てないから、お金は大事なのだろう。 成功している男性作家が基本裕...

面白かった。 過去の女性たちがいかに創作の世界から、貧困と社会の圧を理由に排除されてきたかのかの話。 自分ひとりで金を稼げないと家からは抜け出せないし、そうしないと自分の執筆や思索に集中するための邪魔されない部屋も持てないから、お金は大事なのだろう。 成功している男性作家が基本裕福で学びに触れる機会がある。でもその一部の人しか創作の機会にありつけないのは、国や世界にとって大きな損失だ。という主張だった。 この本を読んで、J・K・ローリングが生活保護を受けてそのお金で生活しながら物語を執筆していたという話を思い出した。それを許す環境があったからこそハリポタが生まれたのであって、だから、福祉というのは長期的には投資なのだなと思ったし、それが出来るのが豊かさだと感じた。

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2021/05/13

読むべくして読めた気がするし、また月日が経って読むときはもっと深く感銘を受けると思う。 ひとりの人間が考えたいこと、想いたいこと、それらはどんな人であっても簡単に手放したり、奪われたりするべきものではない。 ひとりの部屋とお金、それは実際に必要なものであり、また心の中にひとつあ...

読むべくして読めた気がするし、また月日が経って読むときはもっと深く感銘を受けると思う。 ひとりの人間が考えたいこと、想いたいこと、それらはどんな人であっても簡単に手放したり、奪われたりするべきものではない。 ひとりの部屋とお金、それは実際に必要なものであり、また心の中にひとつあるべき、生命力を絶やさぬための心の泉のようなものだと思った。

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2021/04/01

まずは、ヴァージニア・ウルフを読んだ私に大満足。タイトルにも魅かれた。 多様性が叫ばれる今。 1928年に書かれたこの本。 100年近くが経過しているのにもかかわらず、年500ポンドと自分ひとりの部屋を持てない女性は多い。そんな中で、とにもかくにも少なくとも自分ひとりの部屋でワイ...

まずは、ヴァージニア・ウルフを読んだ私に大満足。タイトルにも魅かれた。 多様性が叫ばれる今。 1928年に書かれたこの本。 100年近くが経過しているのにもかかわらず、年500ポンドと自分ひとりの部屋を持てない女性は多い。そんな中で、とにもかくにも少なくとも自分ひとりの部屋でワインを飲むことができていることに自信を持つことができた。誇れる自分なのだ、と1928年のヴァージニア・ウルフに背中を押された気がした。 仕事を持つことの意味、大切さ。自分ひとりの部屋の意義。経済的にも精神的にも自立していくことの大切さ。 今の自分の手にしているものの本当の意味、歴史を考え、感謝する気持ちになれた。正直、フェミニズムの印象はあまり良くない。そして、あまり理解もしていないのだと思う。だけど、ヴァージニア・ウルフのこの語りかけ方なら、素直に同意できる。 そして、オックスフォードやケンブリッジなどでさえも共学が始まったのがこんなにも遅かったのかと愕然とした。声高に何かを主張する気はないし、それ程の主義主張もないのだが、歴史を知る時に女性の存在も感じていきたいなと思った。

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2021/02/16

1928年にケンブリッジ大学の女子カレッジで行なわれた講演をベースにした、フェミニズム批評の古典的作品。「意識の流れ」による叙述のため、読み取りにくい部分もあるが、訳注と解説が充実していてとても助かる。 「自分ひとりの部屋」というタイトルは、女性が小説を書こうと思うなら、生活に...

1928年にケンブリッジ大学の女子カレッジで行なわれた講演をベースにした、フェミニズム批評の古典的作品。「意識の流れ」による叙述のため、読み取りにくい部分もあるが、訳注と解説が充実していてとても助かる。 「自分ひとりの部屋」というタイトルは、女性が小説を書こうと思うなら、生活にゆとりのあるだけのお金(年収500ポンド、訳者によると500万円程度のイメージ)と一人になれる部屋を確保しなければならない、というウルフの主張に依る。そして、女性の経済的基盤のなさが、いかにその作家としての自立を困難にしてきたのかが、具体的に語られる。 とはいえ読み進めると、お金と部屋だけですべてを語ってはいないことにも気づく。たとえば19世紀の女性作家による作品のうち、ウルフはジェイン・オースティンの『高慢と偏見』を奇跡的とまで高く評価する。女性の置かれた困難な状況のせいで作品に傷がついた痕跡が、まったく見られないから。これに対してシャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』には、彼女の置かれた困難への憤怒が、作品にもぎこちなさを与えてしまっていると述べる。また、男性作家についても、女性的価値観を兼ね備えている点で、トルストイよりもプルーストを評価する。 これらの作品評価には、当然いろんな意見が寄せられそうだ。だけど、経済的基盤だけには還元されない「個人」の可能性にもウルフが目を向けていたことは確かだし、ひいては個人が社会を変えていく可能性に期待していたともいえるだろう。

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2021/02/09

 本書の内容を簡潔に紹介するならば、女性の文学との関わりの歴史を辿りながら、女性の地位向上のために、ウルフがその考えるところを、特に同性である女性に向けて、あるときは率直に、あるところでは文学的な虚構を混じえて、語りかけたものである。  女性が小説や詩を書こうとするならば、〈年...

 本書の内容を簡潔に紹介するならば、女性の文学との関わりの歴史を辿りながら、女性の地位向上のために、ウルフがその考えるところを、特に同性である女性に向けて、あるときは率直に、あるところでは文学的な虚構を混じえて、語りかけたものである。  女性が小説や詩を書こうとするならば、〈年収500ポンド〉と、〈ドアに鍵のかかる自分ひとりの部屋〉が要ると、ウルフは主張する。  オックスブリッジで、女性であるが故に立入りを断られたことや、女性の組織が金銭的な収入を得ることが難しいことを導入的に説明した後、どうして女性が貧乏なのか答えを得ようとして、いわゆる男性識者の著作等を調べるが、それらは女性に対する偏見に満ちた噴飯物であった。  そこで、女性の文学との関わりを歴史的に考察していく。シェイクスピアにもし妹がいたならば、彼女はどのような人生を送っただろうか、という有名な話も取り上げられる。  年収500ポンドというのが、あるレベル以上の恵まれたクラスを想定しているのではないのかなど、突っ込まれそうな箇所も多いが、現代的課題に正面から立ち向かった、今日的にも意味のある著作だと思う。

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