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尾崎翠の感覚世界 の商品レビュー

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2026/02/12

加藤幸子(1936-2024)。北海道在住のバードウォッチャー&芥川賞作家。彼女はこういうものも書いていたのか。初出は「群像」、1990年1月号。 尾崎翠の作品集『アップルパイの午後』が薔薇十字社から出たのが1971年。数年後、まだ主婦業をしていた加藤は、東京大森の古本屋でその本...

加藤幸子(1936-2024)。北海道在住のバードウォッチャー&芥川賞作家。彼女はこういうものも書いていたのか。初出は「群像」、1990年1月号。 尾崎翠の作品集『アップルパイの午後』が薔薇十字社から出たのが1971年。数年後、まだ主婦業をしていた加藤は、東京大森の古本屋でその本に出会い、たちまちに魅せられる。しかも、書かれたのが昭和初年代と知って、驚嘆する。 「第七官界彷徨」「歩行」「地下室アントンの一夜」にはまってしまったのはよくわかる。加藤は北大農学部出身。卒論のテーマは「苺の肥料別繁殖実験」。「第七官界彷徨」のモチーフそのままだもの。 書名『尾崎翠の感覚世界』の通り、生物系出身者らしく、ユクスキュルの生物の感覚世界、匂いの生理学、レイチェル・カーソンの海の自然誌にも触れている。でも、読みどころは林芙美子との対比。芙美子は翠の7歳下、『放浪記』で大ブレイクする直前、ふたりは親しく交流していた。芙美子は翠が引っ越したあとの貸家に入った。引っ越しの手伝いも、障子の張替えを手伝ったのも翠。もちろん、生き方も作風も大きく異なっていたが。 なお、本文は86ページと短い。付録として「第七官界彷徨」以下の3作品が付いている。

Posted byブクログ