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ドイツ市民法史 の商品レビュー

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2012/12/04

著者による位置づけ通り、『近代法の形成』の続きを成す内容。近代法的諸概念が旧ヨーロッパ的思想伝統、すなわち権力機構としての国家と自由で平等な個人からなる社会の概念的未分離という状態から出発したことを詳述した前著を承けて、本書では、国家と社会が概念的に分離されていくなかでも、政治社...

著者による位置づけ通り、『近代法の形成』の続きを成す内容。近代法的諸概念が旧ヨーロッパ的思想伝統、すなわち権力機構としての国家と自由で平等な個人からなる社会の概念的未分離という状態から出発したことを詳述した前著を承けて、本書では、国家と社会が概念的に分離されていくなかでも、政治社会論に見られる社会内在的倫理による市民自身の自己規律という考えが、私的自治という概念に倫理的色彩を帯びさせていたことがまず論じられる。しかしその後の市民社会の脱倫理的発展が反倫理的発展として把握されていくなかで、職能代表制などの観念によりつつ社会の解体を防ごうとする各種の思想が展開されていく。しかし、ドイツの場合それは最終的にアトム的個人を集権的権力が直接に把握する全体主義国家へと帰結した。法に関係する諸概念を通史的に位置づけた本書は、概念史的研究にも個別的な思想研究にも必要不可欠であると言うことができる。

Posted byブクログ