横濱王 の商品レビュー
三渓園を作った原三渓の本ということで、ずっと読みたいと思っていた本。歴史系の本が苦手なのでなんとなく後回しにしていたのだが、とても読みやすい本だった。横浜の実業家、瀬田修司が原三渓に繋がりたくて三渓のことを調べるという展開で、三渓像ぼんやりと分かる本。瀬田という人物を描いた作品だ...
三渓園を作った原三渓の本ということで、ずっと読みたいと思っていた本。歴史系の本が苦手なのでなんとなく後回しにしていたのだが、とても読みやすい本だった。横浜の実業家、瀬田修司が原三渓に繋がりたくて三渓のことを調べるという展開で、三渓像ぼんやりと分かる本。瀬田という人物を描いた作品だった。三渓から見た世界を読みたかったので★4にしたが、内容は良かった。三渓が出来すぎていて、実在の人物じゃなかったらあり得ない人物だと不満を抱きそう。 瀬田が13歳で関東大震災にあったところから話が始まり、そこから一気にワケアリっぽい実業家となる。三渓の本質を知っていそうな人物に接触していくのが少し悪目の格好良さがある。 三渓園は20代で行った時より年を経てから行った時のほうが良かった。内面が成長したからなのか、単に年を取って古いものを愛しく感じられるようになったからなのか。行ったことないかたは横浜にお越しの際にぜひ。アクセス悪いですけどね。あと、結構なアップダウンあり、ざっくり一周するのに一時間はかかります。 裏社会の記述などもあり、やや難しいので高校くらいから。中学校でも大丈夫です。三渓園と同じで中学の頃はあまり面白くないかもね。
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大正から昭和にかけての横浜を舞台にした小説。主人公の青年実業家の調査を通して、横浜一の富豪であった原三渓の人物像を浮き彫りにしている。運命的な出会いや、震災からの復興、芸術に対する情熱など、原三渓の魅力がわかる。蓮の花やホタルを見に行っている三渓園だが、原三渓の事を知った後では、...
大正から昭和にかけての横浜を舞台にした小説。主人公の青年実業家の調査を通して、横浜一の富豪であった原三渓の人物像を浮き彫りにしている。運命的な出会いや、震災からの復興、芸術に対する情熱など、原三渓の魅力がわかる。蓮の花やホタルを見に行っている三渓園だが、原三渓の事を知った後では、感じ方が違うかもしれない。当時の横浜の様子もよく描かれている。
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原三渓という人物を初めて知ったが、実業家にして漢詩や書画、茶をたしなむ文化人、そして前田青邨などの日本画家のパトロンとして幅広く活躍したという。このような人がいたというだけで誇らしくなった。
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別の主人公を立ててはいるが、三溪園で知られる原三溪の生涯をなぞる物語。 別の人物を立てることで物語に幅と深みを持たそうとしたのかも知れないが、あまり成功していない。
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★2016年3月19日読了『横濱王』永井紗耶子著 評価B+ 初めて読む永井氏の作品。横浜本牧にある三渓園を作った有名な原家の二代目、婿養子の原富太郎通称原三渓を語った物語。表題の横濱王とは、その原三渓のこと。 直接、本人が語る形を取らず、いかにも胡散臭い中国帰りの這い上がって来た自称実業家の瀬田を通して原三渓を描く。 私は、原三渓について、その生涯を詳しく知らないので、物語がどこまで事実を書いているのかは分からない。少なくとも物語に出てきた話が事実だとすれば、さすが戦前の大実業家、人間の器が現代とは比べ物にならない大きさである。 物語としては、間接的にメインテーマの人物を描いたために、やや中途半端になった感は否めないが、新しい手法で描こうとしたトライアルに敬意を評したい。 瀬田は、一旗上げるために、原の伝手・融資を求めて、原三渓周辺の関係者、電力の鬼といわれた松永安左エ門、日本画家の前田青邨、お手伝いだった中村志乃、三渓が一時ひいきにしていた芸姑の神崎福、などに原三渓の人となりを聞く。しかし、瀬田が聞けば聞くほど、その高潔な身の処し方、立ち居振る舞い、発言には、一分の隙もない。さらには、関東大震災時には、私財をなげうって、横浜復興のために原家が傾いたほどであったことも分かってくる。 幼少期に親を失い、震災で妹を失い、金の苦労を重ねて来た瀬田には、どうにも理解を超えた人物であったことが分かる。それでも、瀬田は松永安左衛門の厚意で、とうとう原三渓その人に面会する。そして、自分の思いをぶつけるが、結局、自分が何も周りを見ていないことを思い知らされる。そして、『己の王になりなさい。ただ、胸の内に静かに問い、貴方は貴方の為すべきことを為せばいい』とアドバイスをもらう。 結局、瀬田は原から融資を受けることは諦めて、自らの為すべきことは何か、人生の処し方を考えながら、大戦を乗り越えていくことになる。
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2016年1月29日読了。戦後の横浜で財を成した「横濱王」原三渓、彼からの出資を取り付けるべく情報収集に動く瀬田だが・・・。「永遠の0」のように、三渓の周囲の人々のインタビューを繰り返すうちに当人の輪郭が少しずつ見えてきて最後に、というお話だが、インタビューされている当人が記憶に...
2016年1月29日読了。戦後の横浜で財を成した「横濱王」原三渓、彼からの出資を取り付けるべく情報収集に動く瀬田だが・・・。「永遠の0」のように、三渓の周囲の人々のインタビューを繰り返すうちに当人の輪郭が少しずつ見えてきて最後に、というお話だが、インタビューされている当人が記憶に基づいて語っているはずがいつの間にか「筆者による事実註」のようになってしまっていて、読んでいて腑に落ちない感覚がぬぐえず気になる。簡単そうに見えて難しい小説スタイルなのだろうな。最後に分かる原三渓の姿も、「こんなすごい男がいた。本当にすごい」という内容で、もっと当人に感情移入できるような描写・エピソードや弱さ、動機などを知りたかったところ。「三渓園」って、今でもあるのね。(無料開放はされていないようだが)
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