1,800円以上の注文で送料無料

月にハミング の商品レビュー

4.2

15件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/01/25

戦争によって辛い体験をする少女のお話だけど、美しい物語でした。 人々が敵国かどうかで態度を一変させて憎むようになってしまう悲しい時代でしたが、モーパーゴが焦点をあてて書いているのはその中でも決してなくならない人の優しさでした。 置かれている立場が違うだけで、元々はみんな思いやりを...

戦争によって辛い体験をする少女のお話だけど、美しい物語でした。 人々が敵国かどうかで態度を一変させて憎むようになってしまう悲しい時代でしたが、モーパーゴが焦点をあてて書いているのはその中でも決してなくならない人の優しさでした。 置かれている立場が違うだけで、元々はみんな思いやりを持ち助け合うことのできる人間同士。 そんな人々がいるからこそ希望が持てるし、戦争の意味のなさを感じます。 読み終わった後は胸が温かくなりました。

Posted byブクログ

2022/04/10

SL 2022.4.7-2022.4.9 第一次世界大戦の時代を2014年に描いた作品。 2022年、ロシアによるウクライナ侵攻の最中に読むと、複雑な感情に揺さぶられる。 酷すぎる差別も描かれるが、この作品の主題は、国や人種を越えて愛情、友情が生まれ得ることだと思うけど、現在進行...

SL 2022.4.7-2022.4.9 第一次世界大戦の時代を2014年に描いた作品。 2022年、ロシアによるウクライナ侵攻の最中に読むと、複雑な感情に揺さぶられる。 酷すぎる差別も描かれるが、この作品の主題は、国や人種を越えて愛情、友情が生まれ得ることだと思うけど、現在進行形の侵攻からはもっと残酷な現実も見えてしまう。 でも、だからこそこういった作品が子どもたちに読まれるべきなんだとも思った。

Posted byブクログ

2020/12/23

まるで良質な映画を見終わったような、映像がありありと浮かび、登場人物とともに不思議な、壮絶な体験をした気持ちになれた小説。 海で見つかった謎の少女、温かく迎えて世話をする家族、敵意をぶつける周囲、別の関わり方を選ぶ人々。 児童文学だけど、大人が読んでも味わい深い、生きることの厳し...

まるで良質な映画を見終わったような、映像がありありと浮かび、登場人物とともに不思議な、壮絶な体験をした気持ちになれた小説。 海で見つかった謎の少女、温かく迎えて世話をする家族、敵意をぶつける周囲、別の関わり方を選ぶ人々。 児童文学だけど、大人が読んでも味わい深い、生きることの厳しさと優しさ、人間の愚かさ弱さと誇り、仁愛が描かれている。 小学生だった当時の自分に手渡してあげたいと思えた良書。 他の作品も読まなくちゃ!

Posted byブクログ

2020/09/30

もちろん、少女が何者かなんて、すぐにわかるのだけれど、おもしろかった。 牧師さんや校長が戦争賛成派なのは驚きだ。 戦争反対と毅然とした態度をとる人がつらい立場に立つのはよくある話だけれど、ほんと、厳しい・・・

Posted byブクログ

2020/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「はじめに」を読むと、これは本当にあった話なのではないか?と思わせる書き出しで一気に物語の世界へ引き付けていく。 歴史上を過ぎ去った出来事と距離を置かずに、その時代を生きた人を読者(子ども)の親や祖父母にすることで物語を身近に引き寄せる、その導入がいつも本当にうまいと思う。 それはモーパーゴが最も大切にしている「過去の出来事を過去として葬り去らない、過去から学ぶ、過去が今に繋がっている」そのための方法でもあるのだろう。 無人島で発見された話せない記憶もない女の子、ルーシー。人魚伝説を思い起こさせる話の始まりで、ぐいぐい引っ張られる。 そんなルーシーが月にハミングする情景が美しく、物悲しく、切ない。 ルシタニア号の沈没、ドイツの汽船シラー号の沈没のシリー諸島の人々の救援活動、知らなかった歴史を絡め、その時代を生きた人々を描く。 権力のある校長がルーシーたちを追い詰めるように子どもたちを仕向けていく様、戦意を高め敵に憎むように仕向けていく様、牧師が信者を一つの方向へ導く様に怖さを覚える。そして大勢はそれに同調する。 「人間は信じたいことを信じるのよ」というメアリーの言葉からもわかる。これまでどれだけ同じことが繰り返されてきたことだろう。 そんな人間の愚かさとアルフィ一家を代表する人の優しさの両方を描きながら、人への信頼を失わないモーパーゴの視線を感じる。 最後のクロウ医師の言葉「ウィートクロフト家の家族やメリー・マッキンタイア(ルーシー)やヴィルヘルム・クロイツのような人間がいる限り、この戦争が終わったら、また世界は幸せな場所に戻るにちがいない」希望の言葉を投げかけるモーパーゴの優しさが好きだ。

Posted byブクログ

2020/08/27

ルーシーが幼少期に過ごしたマンハッタンでの日々、特に父親との思い出の描写が素晴らしかった。 もしも子どものころ読んでいたなら、大人になってもふと思い出す物語として記憶されるだろう。そういう類の作品。

Posted byブクログ

2018/06/08

あくまで「史実に基づいている」がノンフィクションではない。なのに読んでるうち、ストーリーのけっこう細かいところまで本当にあった話だと錯覚してしまう私w まして、最後の方で、「ぼく」が祖母の話を聞き取ったような構成なので、作者の祖母の話なのか!と。 で、グーグルマップだと、写真がい...

あくまで「史実に基づいている」がノンフィクションではない。なのに読んでるうち、ストーリーのけっこう細かいところまで本当にあった話だと錯覚してしまう私w まして、最後の方で、「ぼく」が祖母の話を聞き取ったような構成なので、作者の祖母の話なのか!と。 で、グーグルマップだと、写真がいくつか見られて、ベロニカ農場とかもちゃんとあって、どこまでがリアルなのじゃ~ あと、校長ひどすぎる。今だったら、この校長、即クビだ~と思ったけど、やっぱりこういう考えが偏った人と、それに煽動されていく群衆は今でもいる。でもウィートクロフト家や、クロウ先生やナイチンゲール先生のような「救い」も確実にあるのだ。 本の装丁がよい。

Posted byブクログ

2020/11/18

第一次世界大戦中のイギリス、シリー諸島。学校をサボって父の漁を手伝っていたアルフィーは、普段だれも近づかない島から、奇妙な声を耳にした。咳まじりの泣き声の主は女の子で、痩せてケガをして死にかけていた。母親のメアリーは彼女を引き取り、家族同様に献身的な看護をする。言葉を話せないなが...

第一次世界大戦中のイギリス、シリー諸島。学校をサボって父の漁を手伝っていたアルフィーは、普段だれも近づかない島から、奇妙な声を耳にした。咳まじりの泣き声の主は女の子で、痩せてケガをして死にかけていた。母親のメアリーは彼女を引き取り、家族同様に献身的な看護をする。言葉を話せないながらも、彼女は少しずつ回復し、地域社会にも溶け込んでいったが、彼女のいた場所からドイツ語の名前が書かれた毛布が見つかったことで、敵国ドイツ人ではないかと疑われ、彼女も、アルフィーと家族も、酷いいじめにあってしまう。 シリー諸島の美しく大きな自然を背景に、戦争の痛ましさと、人の心のふれあいの尊さを描く。 *******ここからはネタバレ******* モーパーゴ作品には珍しくオムニバス形式で物語は進んでいきますが、最後にはきちんと希望があり、ほっとします。 最後の急展開があまりにもうまく進み過ぎで、それだけがちょっと興醒めでしたが、メリーのサバイバルは、読むだけで胸が痛くなります。 この物語が、ともすると争いがちな人々の心に、善意が世界を救うことを思い起こさせてくれることを願います。 数多いモーパーゴの作品の中でも、好きなお話。

Posted byブクログ

2017/06/09

これが児童向けの本なの?って感じ。 大人が読んでも十分に面白い。 戦争とか、集団心理とか、学校とか色々考えさせられる。 情けは人のためならずって教訓ぽいけど、 戦争とかあっても、人の心の奥にある優しさ、というか、ただのひとりの人としてみたときに、みんな心の奥に優しさって持ってる...

これが児童向けの本なの?って感じ。 大人が読んでも十分に面白い。 戦争とか、集団心理とか、学校とか色々考えさせられる。 情けは人のためならずって教訓ぽいけど、 戦争とかあっても、人の心の奥にある優しさ、というか、ただのひとりの人としてみたときに、みんな心の奥に優しさって持ってるんじゃないかな、と思わせる本だった。 ミステリー要素もあって、読むのを止められなかった。

Posted byブクログ

2017/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロマンチックなタイトルだが、話は第一次世界大戦のイギリス シリー諸島での物語。 戦争という時代の中で、本来、善良である人々の気持ちや行動が、どのように煽られて方向性を見失いがちであるか、それを淡々と描いている。 正直、話の展開は先が読めてしまい、また、少し都合が良すぎるように思うけれど、実際にあったUボートによるルシタニア号の沈没のことなどを取り混ぜ、時代や人々の戦時下の複雑な立場が、ストレートに伝わってきた。 同じような状況下で、理性を持ち、国同士の戦争の最中にも、個人を見つめることは、簡単なことではない。他人事と思わずに考えておくことが、実際、何かが起こった時に(起こっては困るが)、正しい行動をする手助けになるのかも。物語は、そのために存在するのかもしれない。

Posted byブクログ