月にハミング の商品レビュー
第一次世界大戦中、豪華客船ルシタニア号が沈没するという史実を基にしている。 グランドピアノの上で漂う少女を助けたのはドイツ軍兵士であり、彼らは少女が生き延びることを願いながら無人島に少女を残す。 そんな瀕死の状態にある少女をシリー諸島に住むジムとアルフィ親子が家に連れ帰る。 し...
第一次世界大戦中、豪華客船ルシタニア号が沈没するという史実を基にしている。 グランドピアノの上で漂う少女を助けたのはドイツ軍兵士であり、彼らは少女が生き延びることを願いながら無人島に少女を残す。 そんな瀕死の状態にある少女をシリー諸島に住むジムとアルフィ親子が家に連れ帰る。 しかし、母を亡くし海に投げ出されるという苛酷すぎる状況の中少女は言葉と記憶を失くしたまま、アルフィの母であるメアリーの献身とクロウ医師の愛情に満ちた的確なアドバイスのもと少女は元気になっていく。 少女はドイツ人なのではないかという噂が広まり一家も含めて村八分。校長や牧師の非情な人格は、かえってウィートクロフト一家の愛する者を守ろうとする愛情を浮き彫りにする。 マイケルモーパーゴの作品では、どんな状況にあっても良識を失わない生き方が示される。どんな短編でも彼の作品は私たちに救いを与えてくれる。
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第一次世界大戦中シリー諸島で言葉を話さないひとりの少女が発見された。 献身的な家族に支えられ、少しずつ回復していくが、どこからどうやって来たのか、何もわからない。 戦争という悲劇を描くと同時に記憶を失った少女の再生の物語。デモをしたり声高に反戦を訴えるより戦争はしてはいけ...
第一次世界大戦中シリー諸島で言葉を話さないひとりの少女が発見された。 献身的な家族に支えられ、少しずつ回復していくが、どこからどうやって来たのか、何もわからない。 戦争という悲劇を描くと同時に記憶を失った少女の再生の物語。デモをしたり声高に反戦を訴えるより戦争はしてはいけないということを感じることができる。信じられないような実話。
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すばらしかった。 なにか、今の状況と重なりすぎてつらくなるところもあるのだけど、モーパーゴさんの筆致には、いつでもどこかあたたかい人間性とユーモアがひそんでいて、厳しい時代のことを描いていても大きな愛情を感じながら読めるのがいい。 とちゅうではさまれるメリー視点の回想が、幼い女の...
すばらしかった。 なにか、今の状況と重なりすぎてつらくなるところもあるのだけど、モーパーゴさんの筆致には、いつでもどこかあたたかい人間性とユーモアがひそんでいて、厳しい時代のことを描いていても大きな愛情を感じながら読めるのがいい。 とちゅうではさまれるメリー視点の回想が、幼い女の子の口調ではないのが不思議だったけれど、それも最後まで読むと納得がいく。とても繊細な心遣いでつむがれた訳文もすばらしくて、一気に読み終えた。 あ、あと、子どもの本らしく着地してはいるけど、そのとちゅうであばかれる人間というもののどす黒さは決して消えたわけではなく、今の世の中にもそのままつながっているのがつらい。それでも作者が人間に希望を失っていないのが救いなのだと思った。
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イギリスの作家マイケル・モーパーゴ、2014年発表の小説。第1次大戦下のイギリス、シリー諸島を主な舞台に、無人島で発見された記憶喪失で言葉を話せない少女の物語。戦争のもたらす悲劇を、声高に訴えるのではなく、淡々と、しかしリアルで感動的な物語として描き出した佳作。 シリー諸島の漁...
イギリスの作家マイケル・モーパーゴ、2014年発表の小説。第1次大戦下のイギリス、シリー諸島を主な舞台に、無人島で発見された記憶喪失で言葉を話せない少女の物語。戦争のもたらす悲劇を、声高に訴えるのではなく、淡々と、しかしリアルで感動的な物語として描き出した佳作。 シリー諸島の漁師の父子が漁の最中、無人島で衰弱しきった少女を発見します。家に連れ帰り、少女は一命はとりとめるものの、相当な精神的ショックを受けている模様、記憶喪失で言葉も話せず、心を閉ざしています。漁師一家で少女の面倒を見るのですが何ヶ月経っても一向に改善の兆しは見えず・・・。 シリー諸島での物語の合間に数ヶ月前に遡っての少女の物語が時々挟まります。少女がシリー諸島にたどり着くまでの経緯が描かれていき、読者には早い段階で少女の身元が明かされるわけです。 心を閉ざした少女は漁師一家との触れ合いや、音楽、馬との関わりの中で次第に心を開いて行くものの、少女がドイツ人ではないかとの疑惑から一家は村八分となり・・・。 いじめ、村八分、教師の横暴、といった良くある話ではあるものの、戦争が人々の心を蝕みゆがめていく様がとてもリアルに説得力ある形で描かれています。それと共に敵味方関係なく信じ合い助け合う姿もまた描かれ、最終的に少女が記憶と言葉を取り戻すクライマックスに繋がるわけですが、何だかその辺が唐突であっさりしすぎているような感も受けました。 全体的に良くある話の集成譚、ではあるものの、シリー諸島という舞台設定が素晴らしく、良い物語だと思います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
原題は「Listen to the Moon」。舞台は、第1次世界大戦中のシリー諸島(英国南西部の諸島。初めて知った)。ある無人島に置き去りにされていた、言葉と記憶を失った一人の少女。彼女は何者なのか。これは、戦争がもたらした悲劇の物語であると共に(遭難の場面は読むのが辛い)、戦争という極限状況の中でも示される尊き人間愛の物語でもある。
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