記憶破断者 の商品レビュー
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前向性健忘症を患っていて記憶が長時間保持できない主人公が記憶を改竄できる殺人鬼と戦うお話。 とにかく殺人鬼がクズ野郎なので、序盤がかなり不快でこのまま読み続けようか考えながら読んでいた。(特に最初3人の被害者は可哀想…) 結局、決着がつくまでは楽しく読めたけどラストがよく分からなくて疑問が残った。他作品に続いてるそうですが、続き読むかどうかはわからない 1番怖いのは徳さんと夏生。主人公が可哀想になる。この2人は他に出ているらしいけど、途中の冷蔵庫の描写は一体なんだったのだろうか…
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別々の物語の主人公による異種格闘もの、とも言えるかもしれない。 そういうの好きです。 貞子vs伽倻子みたいな、ね。それは違うかもしれないけど。 読み終わっても幾つかモヤつきが残って(黄色い歯の女は誰だったんだ? 北川先生は何を書き加えたんだ? 冷蔵庫の中の肉はなんだったんだ? 話...
別々の物語の主人公による異種格闘もの、とも言えるかもしれない。 そういうの好きです。 貞子vs伽倻子みたいな、ね。それは違うかもしれないけど。 読み終わっても幾つかモヤつきが残って(黄色い歯の女は誰だったんだ? 北川先生は何を書き加えたんだ? 冷蔵庫の中の肉はなんだったんだ? 話は数日遡る?) 調べてみたらこの話だけでは完結していなくてスピンオフがあるらしい。 そっちも読まなきゃ。
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前向性健忘症のために数十分しか記憶が持たない男と、他人の記憶を書き換えることで決して疑われることのない殺人鬼の対決を描いたミステリー。有名な『博士の愛した数式』では、「博士」の背広に貼り付けられたメモには“ぼくの記憶は80分しかもたない”と書かれていたが、本書では、男の持ち歩くノートに“今、自分は殺人鬼と戦っている”と記されているわけだ。 なんか妙に小物感のある殺人鬼があまりにクズすぎて、読んでいて不快になる。息をするかのように軽いノリで人を痛ぶり、そして殺すが、関係者の記憶を弄っているので捕まらない。ムカムカするので、何度本を閉じようかと思ったことか。 「あなたの思い描いていたラストは最後の一行で裏切られる」と帯に書いてあったのだが、最後まで読んでも、(テーマ的に多分作者はこういうことをしたいんじゃないかなということは何となく分かるが)どうもピンとこなかった。腑に落ちないので他の方のレビューを読むと、どうやらシリーズもので、本書だけでは完結しないらしい。「思い出せるのは事故があった時より以前のことだけ(男が記憶障害を患うことになった経緯は、普通は「事件」と呼ぶのでは?)」とか、「このノートには決して自分の名前を書き込まない」とか、まぁ一番は「黄色い歯」の女は誰?ということだけど、伏線かなと思う箇所を拾って読んでいたのだが、全然回収されず。
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普段は古典的な推理小説しか読まないのですが,前向性健忘症の主人公が手続き記憶を頼りに,記憶を操るサイキックといかにして対峙するか・退治するかという話でした。この「いかに」というところを知るために読者は読み進めるという側面もある作品ですね。前向性健忘症に理解のある人が,自分で考えた...
普段は古典的な推理小説しか読まないのですが,前向性健忘症の主人公が手続き記憶を頼りに,記憶を操るサイキックといかにして対峙するか・退治するかという話でした。この「いかに」というところを知るために読者は読み進めるという側面もある作品ですね。前向性健忘症に理解のある人が,自分で考えたことすら思い出せない健忘症者の過去の意図を汲み取り,結果解決(ドラマ「アバランチ」的なやり方)に至ります。 感想ですが,「デス・ノート」のオマージュなのではないかという気がしました。ノート(もちろん殺傷能力はない)は健忘症者が持ち,サイキックとのやり取りの中で「第2の僕,第3の僕が出てきて,お前を追い詰める」的なことを言うのですが,この言い回しがデス・ノートっぽいですよね。健忘症の人が自然に発する言葉とは考えにくいので,デス・ノートのいろんな要素を役割を変えたもののように感じました。 健忘症に関する知見を,生活のしにくさという負の側面で描いていく小説とは違ったスリリングな作品になっていると感じます。
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'21年6月27日、読了。 これは、いや、これも、面白かった!夢中で読んでしまいました。小林泰三さんの小説、3冊目。 前向性健忘症の主人公と殺人鬼のバトルの話で…極悪な殺人鬼に対して、心理戦、論理的思考と推理力で戦う主人公。いやぁ、凄かった!こんなの、よく思いつくな...
'21年6月27日、読了。 これは、いや、これも、面白かった!夢中で読んでしまいました。小林泰三さんの小説、3冊目。 前向性健忘症の主人公と殺人鬼のバトルの話で…極悪な殺人鬼に対して、心理戦、論理的思考と推理力で戦う主人公。いやぁ、凄かった!こんなの、よく思いつくなぁ。 ただ…殺人鬼が、あまりに邪悪で、嫌になりました。軽く、吐き気が…。フィクションだという事は、重々承知してますが…これを小林泰三という「人間」が書いて表現しているという事実に、具合が悪くなります。トホホ…。 あと、「夏生」という女性がちょっとだけ出てきますが、「???」 シリーズの他の作品で、活躍する人物?田村ニ吉登場作品は本作と短編を一編、読んでますが…他にもあるのかな?あるなら是非、読んでみたい! 小林泰三さん、恐るべし!次こそ「アリス」、行ってみます!
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最終的に何が事実なのかわからなくなった。 一番タチが悪いのは雲英よりもあの爺さん。 伏線回収はこの一冊ではできないので調べてみると、他の作品もあるみたい。 それをよんでも、確定はされていないようなので今後の作品に出るかもと期待したところ、小林泰三さんは去年なくなったとサイトに書いてあった。 全作品読んでみます。 ご冥福をお祈りいたします。
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前向性健忘症の田村二吉は特殊能力で記憶を改竄できる怪人と戦う→殺人鬼がゲスすぎて不快。結局、徳さんと夏生の正体がよくわからずラストが謎のまま。どうやら他にも田村二吉シリーズの作品があるらしいので読んでみよう!
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本屋さんで改題された「殺人鬼にまつわる備忘録」をつまみ読み。面白そうだったので図書館で借りた。会話の多さやそのまわりくどさは相変わらずだが、アリス殺しシリーズよりも読みやすかった。
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見知らぬ部屋で目覚めた二吉は目の前の一冊のノートにより、自分の記憶は数十分しか持たないと知ります。しかもノートによると自分は今、殺人鬼と戦っているらしい…。何度も記憶をなくしてはノートに立ち返りながら彼はひとり殺人鬼と戦います。先が気になって目が離せず一気にラストまで。ラストの展...
見知らぬ部屋で目覚めた二吉は目の前の一冊のノートにより、自分の記憶は数十分しか持たないと知ります。しかもノートによると自分は今、殺人鬼と戦っているらしい…。何度も記憶をなくしてはノートに立ち返りながら彼はひとり殺人鬼と戦います。先が気になって目が離せず一気にラストまで。ラストの展開もよくラスト一行で落とす、好みの話でとても面白かったです。いくつか中途半端に伏線が残った気がしたのですが、どうやら他の作品とリンクしているようですね。「忌憶」「モザイク事件帳」が登場人物が重なっているらしいので読んでみます。
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数十分しか記憶の持たない男と、他人の記憶を改竄する超能力を持った怪人との戦いを描くミステリ。文章は硬質的で無駄がなく、実話系ホラーにありがちな乾いた文体であるため、脳に染みやすく無機質な恐怖感が行間から漂ってくる。ストーリーも面白く、過去の記憶を持たない男が、失われた過去ではなく...
数十分しか記憶の持たない男と、他人の記憶を改竄する超能力を持った怪人との戦いを描くミステリ。文章は硬質的で無駄がなく、実話系ホラーにありがちな乾いた文体であるため、脳に染みやすく無機質な恐怖感が行間から漂ってくる。ストーリーも面白く、過去の記憶を持たない男が、失われた過去ではなく現在進行形の恐怖と戦う構図なのは中々斬新である。著者の他作品のキャラであるため、本作単体ではやや説明のつかない箇所(冷蔵庫の謎の肉や突如現れる老人と謎の女、主人公の常人離れした知性、そのバックボーン等)があり、世界観を掴みにくい面もあるものの、基本は単独で完結している話であるためこれから読んでも恐らく問題はないだろう。記憶破断者というタイトルも秀逸で、記憶が失われていく主人公だけでなく、記憶を改竄する能力を持つ怪人と合わせて二人セットでこの名なのは上手いと思った。少し現実離れしているものの、怪人の能力を行使し続けてきたが故の人間味の抜け落ちた感じや、おぞましい悪としか形容できない存在感は本作の魅力の一つであろう。クライマックスの怒涛の展開は面白く、記憶を巡った仕掛けも素晴らしいが、オチに関しては少々ホラーよりでやや悪趣味が過ぎる気もする。好きな人はこのオチは好きだろうが、清々しいエンタメ的な爽快さを求める読者は好みが分かれるかもしれない。ただこれは実話系ホラーにありがちな落とし所で、この悪趣味さは味でもあるので僕は好きです。
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