為吉 北町奉行所ものがたり の商品レビュー
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宇江佐真理「為吉」、北町奉行所ものがたり、2015.8発行。奉行所付き中間為吉、下手人磯松、見習い同心一之瀬春蔵、与力の妻村井あさ、岡っ引き田蔵、下っ引き為吉の連作6話。読み応えがあります。ストーリーは私好みではありませんでしたがw。
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北町奉行所の中間をしている為吉は,本来なら呉服屋の摂津屋の跡取り息子。だが押し込み強盗で両親もろとも殺され,戸袋に隠れた為吉だけが助かっていた。 事件の時に親身になってくれた同心の計らいで奉行所の中間となったのであった。 それまでは,母親の妹,叔母のうちで厄介になっていた。叔母の...
北町奉行所の中間をしている為吉は,本来なら呉服屋の摂津屋の跡取り息子。だが押し込み強盗で両親もろとも殺され,戸袋に隠れた為吉だけが助かっていた。 事件の時に親身になってくれた同心の計らいで奉行所の中間となったのであった。 それまでは,母親の妹,叔母のうちで厄介になっていた。叔母の夫は岡っ引きで,強欲でいじめられて育った。 自分の働きで,食い扶持をもらうようになってから一生懸命働いた。あるとき、未解決だった多くの強盗を働いた大泥棒がお縄になった。。。 奉行所の牢屋敷の中と外。同心や与力、お奉行,はたまたその妻たちの人間関係。 犯人と被害者、日々起こる事件のうち外を知る為吉だった。 宇江佐真理さんの心優しい物語は,それぞれの物語にも温かい眼差しが注がれる。。。
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目次 ・奉行所付き中間 為吉 ・下手人 磯松 ・見習い同心 一之瀬春蔵 ・与力の妻 村井あさ ・岡っ引き 田蔵 ・下っ引き 為吉 「北町奉行所ものがたり」となっているが、奉行所が舞台というわけではない。 「為吉」というタイトルだが、全ての話に出ているわけではない。 北町奉行所という組織の下っ端で働く人たちが、ゆる~く繋がった連作短編。 しかし、あまり人と打ち解けて付き合わなかった為吉が、最後の方では恋もして、家族も出来て、人として成長しているところがいいですなあ。 起きた事件はそれぞれ、普段は隠していた心の闇がなさしめた、後味の悪いもの。 そんな中、「見習い同心 一之瀬春蔵」は、普段から同僚の弱みを探し回っているような嫌な奴の代表格、臨時廻り同心の神谷舎人の心のうちがとてもよかった。 江戸の町を守るものであるという矜持。 人を見る目は厳しくも温かい。 「与力の妻 村井あさ」も、しみじみよかったなあ。 男女の愛と夫婦の情。 家族といえども、自分が気づかぬ面を持っているということ。 「下手人 磯松」は切なかった。 磯松には、悪い心というのはなかったのに。 うっすらと笑みを浮かべて刑に服した磯松の人生は、幸せだったのだろうか。 最後に笑えたから、幸せといってもいいのだろうか。
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宇江佐真理氏の北町奉行所物語。 6話からなる連作短編集。 押し込み強盗で、運よく一人だけ難を逃れた幼い為吉だったが、家は取り潰され、叔母さんの所でも、苦労しながら、中間をしてきた。 与力、同心、岡っ引き、そしてその家族の人間模様と心の揺れ動きを、上手く描いている。 一之瀬春蔵の見習い同心は、臨時廻り同心の神谷舎人とうまく付き合えるか悩んでいた。 神谷のヒール役の意味を知って、本当の同心というものを知る。 与力の妻の村井あさ。嫡男の兄が亡くなったせいで、許嫁までいたあさは、養子を迎えることになるのだが、、、、 村井家の家族の人柄皆いい事に、微笑ましく読んでしまった。 両親、子供達、そして、夫の愛情が、どれほど深いのかと、、、 いつもの宇江佐氏の人情味ある描き方である。 岡っ引き田蔵と、下っ引き為吉、、、十手を預かる家から竹次を縄付きで出さないといけなくなる。 ここでも、人の優しさと、御上の采配の上手さを現して、ホットさせる終わり方であった。
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与力、同心、中間、岡っ引きとその家族たちの連作短編集でした。苦しい環境で育ってきた人間のうち、苦労しても幸せをつかむ者と罪を犯して落ちていく者と。 冤罪、汚職、ブラック職場、いじめ、裏切りなど、江戸の世に現代をみごとに投影していて時にはどきどきして読んだ。いつの世も、まともな人間...
与力、同心、中間、岡っ引きとその家族たちの連作短編集でした。苦しい環境で育ってきた人間のうち、苦労しても幸せをつかむ者と罪を犯して落ちていく者と。 冤罪、汚職、ブラック職場、いじめ、裏切りなど、江戸の世に現代をみごとに投影していて時にはどきどきして読んだ。いつの世も、まともな人間を作るには、やはり思いやりと正義が必要なのだと思った。地味な作品だけどとても味わい深くてよかった。
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【収録作品】奉行所付き中間 為吉/下手人 磯松/見習い同心 一之瀬春蔵/与力の妻 村井あさ/岡っ引き 田蔵/下っ引き 為吉
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北町奉行所に勤める中間、同心、岡っ引きなど様々な人々のドラマを描く連作短編集。 押し込み強盗からの生き残り、中間の為吉の成長もはさみながら進んでいく。 複雑な心境を丁寧に細やかに描くところは宇江佐さんらしくそれでいて読みやすい。 これからも彼らを見ていきたいと思ったが、宇江佐さん...
北町奉行所に勤める中間、同心、岡っ引きなど様々な人々のドラマを描く連作短編集。 押し込み強盗からの生き残り、中間の為吉の成長もはさみながら進んでいく。 複雑な心境を丁寧に細やかに描くところは宇江佐さんらしくそれでいて読みやすい。 これからも彼らを見ていきたいと思ったが、宇江佐さんが亡くなられたという衝撃的なニュースが舞い込んだ。 新刊はもう読めないが、今ある作品を大事に読んでいきたい。
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L やっぱりいいね、宇江佐作品。 不幸な生い立ちの為吉が、奉行所の中間から縄張り持ちの下っ引きになるまで。 奉行所の中間が主役なんて、なんて目の付け所なんだ!と感激したけど、最終的に岡っ引きへの道へ進みそうなのでちょっとがっかり。まぁ中間じゃ自由が効かないから仕方ないか。 あい...
L やっぱりいいね、宇江佐作品。 不幸な生い立ちの為吉が、奉行所の中間から縄張り持ちの下っ引きになるまで。 奉行所の中間が主役なんて、なんて目の付け所なんだ!と感激したけど、最終的に岡っ引きへの道へ進みそうなのでちょっとがっかり。まぁ中間じゃ自由が効かないから仕方ないか。 あいだに、悲しい下手人磯松の話、見習い同心の春蔵が臨時廻りの神谷の真の姿を垣間見る話、与力の妻あさが夫を見直す話、とまぁ、為吉がほとんど出てこない話もあり。月刊誌掲載されていたようなので、この構成はしかたないかぁ。 書き下ろしを望みたいけど。
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大店の子どもに生まれたものの、盗賊にあい家族を失い、店も失った為吉。 そんな彼が中心人物ではあるが、主人公であったり、彼の携わっている事件であったり、彼や北町奉行所に関わる事件の推移とともに為吉の成長もあり、これぞ宇江佐真理の江戸物語という物語。
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宇江佐先生の本は、いつもあっという間に江戸の市井に私をタイムスリップさせてくれる。物語の人々と一緒に喜んだり悲しんだり胸騒ぎしたり胸をなでおろしたり。おおむね後味の良いお話が多いものの、最後の話で悪事を働いた竹次に驚くとともに悲しかった。
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