映画にまつわるXについて の商品レビュー
映画とはなにか。 正解などないであろうこの問いにおいて、1人の映画に携わる監督の頭の中を覗くことが出来るという意味でとても有意義であったと感じた。
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映画「ゆれる」が印象深かったので、監督さんの頭の中を覗いてみたいと思い、かるい気持ちで手に取った。 ら、めちゃめちゃ面白かった。 ゆれる、のプロダクションノーツを読めたのも良かったが、冒頭の朝青龍の話から勢いがあった。 特に感心した部分。 「私はひどく頭を悩ませた。「困った...
映画「ゆれる」が印象深かったので、監督さんの頭の中を覗いてみたいと思い、かるい気持ちで手に取った。 ら、めちゃめちゃ面白かった。 ゆれる、のプロダクションノーツを読めたのも良かったが、冒頭の朝青龍の話から勢いがあった。 特に感心した部分。 「私はひどく頭を悩ませた。「困った顔」をしている人の心情は、必ずしも困っているばかりとは限らないからだ。一人の主婦がある日突然、出入りの三河屋から愛を告白されたとしたらー」 是非ご確認を。
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文章は読み易い。読者を楽しませる精神も旺盛だ。そんな人が自分の作る映画について書く。中でも映画「ゆれる」の制作話は面白かった。映画もぜひ観たいな。
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有名な映画監督の西川美和さんの著作。先日観た『ゆれる』についてのことも書かれており興味深く読んだ。オダギリジョーさんのこと、香川照之さんのこと、松たか子さんとフォークリフトの免許を取った時のことなどなど、俳優さんや女優さんとの関わりや助監督時代の動物を使うことの難しさ、音を作り出...
有名な映画監督の西川美和さんの著作。先日観た『ゆれる』についてのことも書かれており興味深く読んだ。オダギリジョーさんのこと、香川照之さんのこと、松たか子さんとフォークリフトの免許を取った時のことなどなど、俳優さんや女優さんとの関わりや助監督時代の動物を使うことの難しさ、音を作り出す仕事をしている人の話など、映画に関わることが詰まった一冊。読み終わると同時にもう一度西川監督の作品が観たくなった。きっと同じ作品を観ても違う視点で楽しめる気がする。
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ベラボーに面白いです。こりゃ凄い。こりゃお見事です。 西川美和、という人は、自分の思っていること、考えていることを、自分以外の他人に伝えることが、めちゃくちゃ上手いなあ、ってね、思いました。 映画監督としては、自分の思いを、映像情報として他者に伝えることが、ベラボーに上手い。 小説家、エッセイストとしては、文字情報として他者に伝えることが、ベラボーに上手い。 ということなのかな?と思うのですが、うーむ。なにしろ「わたしはこう思っています」ということを、これほどに見事に他者に伝えることができるものなのかね?と、驚嘆。つまるところ、西川美和さんは、コミュニケーション能力が途轍もなく高い人なのだろうなあ、と、思います。なんか、対人関係はめちゃ苦手そうな自分の書き方をしておられる場面は多々ありますが、「自分の思いをつたえる」というコミュニケーション能力は、ホンマに高いと思う。それがすなわち「共感力」ってことなんじゃないのかね?とかね、思う次第ですね。 西川さん、結構「それを意見の俎上に乗せるのは、そうとうヤバい話題ではないのかね?」って事も、臆せずに、語りますよね。その勇気は、尊敬します。あたりさわりの無い事を言っておいてお茶を濁す、とか、しない。そもそも、その話題に触れないければ、なんも波風立てないで終わるからそれで良いことなのに、でも西川さんは、その話題に、触れる。その勇気。うむ。尊敬します。もう、素直に、尊敬します。 あと「ゆれる」という映画を本当に本当に心の底から愛している自分にとっては、その「ゆれる」のプロダクション・ノーツが読めただけでも、この本読んだ甲斐あった!って感動。「夢のあとさき」と名付けられた、この一章。本当に素敵です。「映画」というものの本当に抗いがたい悪魔的な天使的な魅力を、これでもか!と語っている西川さんの姿が最高です。「ゆれる」は、ホンマになあ、、、途轍もない映画だよなあ、、、「映画は、一人で作るより、人と作った方がいい」というさりげない一言が、これはもうマジで映画の本質を言い当てまくっていて感涙。 ま、映画監督・西川美和に、心を撃ちぬかれまくっている自分にとっては、聖典みたいな本ですね。珠玉の言葉が並んでいます。手元に大事においておいて、一生、ことあるごとに読み返したい。そんな素敵な、素晴らしすぎる一冊です。いや最高ですよコレ。
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西川美和は、公開されたならば無条件に万難を排して観に行く監督の1人です。「ゆれる」を観た時のショックはちょっと言葉では言い表せられない。その西川美和が冒頭、朝青龍というヒールならぬヒーローの話を書いた後に、するすると30年ほど昔の『恐怖の24時間』というテレビドラマの話を書いてい...
西川美和は、公開されたならば無条件に万難を排して観に行く監督の1人です。「ゆれる」を観た時のショックはちょっと言葉では言い表せられない。その西川美和が冒頭、朝青龍というヒールならぬヒーローの話を書いた後に、するすると30年ほど昔の『恐怖の24時間』というテレビドラマの話を書いています。 連続殺人犯が弁護士になりすまして教誨師の家を隠れ家とする話で、その逮捕劇の顛末です。西川美和解説に耳を傾けると、その殺人犯は、若い頃の役所広司が演じていて、グレて親不孝を働いていた長男を捕まえて説教をしたり、布団を羽交い締めにして咽び泣いたり、逮捕された後も家族に屈託なく笑って去ってゆくそうです。西川美和は、役所広司に朝青龍と同じヒーローを感じて、風呂の中で泣けたそうです。映画ファン的な興味としては、この2010年の文章が、やがて監督の師匠・是枝和弘監督の『三度目の殺人』に関係している気がするし、今年の最新作『すばらしき世界』に直結している予感がする。西川美和は書く。 「凡そ人の風上にも置けない主人公にばかり惹きつけられてきたような気がする。みんな人格も行動も間違いだらけで、賢人の忠告をはねのけ、自分の失態で人生が台無しになっている。けれど、まだ諦めきれない、もう一度闘うんだ、やりなおすんだ、と歯を食いしばっているような人物たち。そういう悔恨だらけの、黄昏の中に佇むヒーローを、心の糧にしてきた」(16p)思えば確かに、西川美和作品の主人公はみんなそうだ。美人で世界的名声をモノにしている監督は、人一倍コンプレックスの塊だった。 読めば読むほどファンになってゆく。外見とは裏腹に、西川監督はかなり男前な性格だということもよくわかった。そう言えば、西川美和は過去直木賞にもノミネートされています。その文章力は折り紙付きです。松たか子と一緒にお忍びフォークリフト講習に行き免許を獲った顛末記などは、一篇の短編コメディのようでした。 倉敷蟲文庫という美人の店主がいる古本屋でゲットした本でした。
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香川照之の良い意味で暴君のち仏なところ・・・魅力的すぎてズルイんだなあ・・・ あと向田邦子のくだり、めっちゃ分かりみが深い
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全体的には軽めのエッセイなどのまとめ集なのだが、『ゆれる』ができるまでの流れについてはかなり興味深く、改めて映画を観返したくなる。むしろもう少し踏み込んで書いて欲しかったくらい。 映画未見の読者に配慮してネタバレせずに書かれたからだと思うが、例えば香川照之が最終稿の脚本から第5稿のセリフに戻してくれと言った部分は、映画の要である兄弟の直接対決のシーンとのことだが、具体的にどのセリフなのか気になるー。
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読めば読むほど、なぜだろう目が潤んでくるのを止められなかった。寂しさ、諦めにも似た文章からは西川さんの不器用だけど真っ直ぐな性格がにじみ出ているのだが、そのことはどうでもよくなるほど、なんだろう…悲しみなのかな…そんな感情を感じるというか。読んでると動揺してしまう。
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『遠きにありて』に次いで二冊目。 著者の本業(映画監督)に関するエッセイだ。特に前半、本書タイトルにもなっている連載部分が面白い。変数「x」に、「ヒーロー」「裸」「オーディション」「アプローチ」「音」など、さまざまなテーマを当てはめて語っていく。 まだまだ大家とは言い難い、いつまでも“若手”と言われる著者の、本業だけに深き悩みが生々しい。 特に、今回面白かったは、「音」の章だ。 障碍者に向けてガイダンスを付ける作業で、著者はさまざなことに気づかされる。自分の撮った作品のワンシーンにガイダンスを付けるのであるが、 「自分が映画の中で、一体何を見せて、何を聴かせているのかということを、改めてワンカットずつ逐一検証させられることになった」 と語る。これは解説すべきことなのか、どうなのか?と悩んだであろうということが容易に想像が働く。そういう作業をしていて当然著者も、以下の思いに至る。 「私は、言葉の威力といものが怖い。ガイダンスや字幕のように短いセンテンスになればなるほど、描写力のエッジは強くなり、ずばりと型にはめていく霊力に似たものを発揮する。それゆえに、「言葉」に圧倒され、潰されていくのだ。映画の中の、「得も言われぬもの」が。それこそが、私たちが、死にもの狂いで捉えている映画の真骨頂なのに。」 映画は、あるいは、文章であれ、絵画であれ、あらゆる「作品」は、どこまでガイダンスが必要なのかと大いに考えさせられる。 作品そのものが、鑑賞者の知覚を刺激しながらも、新たな気づきに導くだけのガイダンスも含んだものになれば、何よりなのだろう。 だがしかし、そんな製作側の意図のままに納得してしまうのもどうかとも思うところ。著者の先輩が指摘する言葉もイミシンである。 「作り手が初めから落とし所のわかっているドキュメンタリーってつまんないぞ、と。」 観る側も、作意も理解した上で、それをも超越した新たな何かを期待している。
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