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日本の大問題「10年後」を考える の商品レビュー

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2015/07/26
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 (堤)オバマケアを日本の皆保険制度と同じようなものだと思っている人が多いのですが、実は、両者には決定的な違いがあります。日本の皆保険制度は、国家が国民の生存権を守るための、憲法25条をベースにした「社会保障」です。一方、アメリカの医療は値札の付いた、れっきとした商品です。オバマケアはこの構図には一切メスを入れずに、民間の保険に加入することを義務化した。(p.115)  (堤)これまで私は、命や教育など本来は商品にしてはならないものまで商品にしてしまったアメリカを取材してきました。バランスシートの数字に表れないものは何も価値がないという価値観が、たくさんの大切なものを犠牲にしてきたのを見てきた今改めて思うのは、たとえいろいろな問題があったとしても、制度としての国民皆保険制度が持つ、「共同の精神」は守らなければいけない、ということです。(pp.120-1)  (大澤)理想やユートピアが不可能になる。これを、20世紀末以降の、よく使う言葉で言えば、ポストモダンな社会です。ポストモダンな社会というのは、理想やユートピアを、実際、事実として難しいということだけではなくて、強烈な理想やユートピアを持つこと自体が規範として望ましくないと感じられる時代です。  これは、簡単に言うと、相対主義の時代ということです。つまり、何か一つの理想や理念を絶対的に正しい、それが全員にとってのユートピアであるというふうに掲げて、人に押しつけるような生き方が、最も恥ずべきこと、悪いことであるという感覚です。(p.205)  (上野)自分が弱者になった時に安心できる社会を作る、というのが大事です。競争に勝ち抜いて、人を蹴落として商社に残ろうっていう、そういう時代はもう終わったはずなんですね。たとえ勝者になっても、勝者のままでは死ねません。(p.155)  (姜)あるべき社会の網の目の中で、人は初めて個人として生きることができる。ですから、個人の能力や意識を高めるにしても、それは同時に、社会を強くしていくことと並行して進んでいかなければいけない。そういう意識が三人の講師に共通していたのではないかと思います。それはまた、2020年の東京オリンピック後の日本社会を考えていくうえでも、示唆に富む私的だと思っています。(pp.264-5)

Posted byブクログ