悲しみと無のあいだ の商品レビュー
林京子さん、語らない父の葬送と松尾あつゆき日記、往還しながら語られていた。悲しみと無、どちらをとるか、またそのはざまにある生を見つめ続けている。読むことと書くことについても作者の意義も垣間見える。
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長崎に落とされた原爆の日を思う2編。 句碑に刻まれた松尾あつゆきの日記 原爆で亡くなった彼の妻と3人の子、生き残った父と娘一人。 当時を体験し、次の世代へとそれを伝える林京子さんに対する気持ちと、 自分はあの日の現実を聞いて想像するしか出来ないもどかしさ。 被爆者である父が、亡くなるまで結局語らなかった8月9日の詳細に思いを馳せる。 亡くなった父の少年時代と養父母とのやり取り、あくまで想像であって、 海外小説の戦争の話。 原爆についての話が多い著者にとって 一番身近な人の被爆の話を聞けなかったのは心残りだね。 もし詳細を父に聞けていれば、この小説はまた違う形になったのかな。
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