猿の悲しみ の商品レビュー
樋口作品で初めて女性が主人公のものを読んだ気がしますが、優しいけれどどこか厭世的な男性が主人公じゃないと持ち味が出ないのかな。 いつもの緩さというより冗長さを感じ、またサエが頻繁に見せる息子への執着もクドく感じてしまった。 また、登場人物の関係性もややこしくて、内容を盛り込みすぎ...
樋口作品で初めて女性が主人公のものを読んだ気がしますが、優しいけれどどこか厭世的な男性が主人公じゃないと持ち味が出ないのかな。 いつもの緩さというより冗長さを感じ、またサエが頻繁に見せる息子への執着もクドく感じてしまった。 また、登場人物の関係性もややこしくて、内容を盛り込みすぎた印象です。
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弁護士事務所で働くサエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。16歳の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口でターゲットを探る調査員。 著者初の女性主人公。 タイトルは、デズモンド・モリスの「裸の猿」から。 つまらない人間特有の感情に流されそうになると「私なんかの...
弁護士事務所で働くサエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。16歳の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口でターゲットを探る調査員。 著者初の女性主人公。 タイトルは、デズモンド・モリスの「裸の猿」から。 つまらない人間特有の感情に流されそうになると「私なんかのしょせんはただの猿」と自分ら言い聞かせる主人公。 人生を達観しており、潔く格好いい。
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弁護士事務所の表向きは事務員として働く主人公、風町サエは、殺人罪で服役経歴があり高校男子の息子を持つシングルマー。この設定だけでかなりハードなのだが、樋口有介の独特の文体と周りのキャラの設定で気軽に楽しめる。 タイトルにある猿を意味するものは、動物学者デスモンド・モリスの『裸のサ...
弁護士事務所の表向きは事務員として働く主人公、風町サエは、殺人罪で服役経歴があり高校男子の息子を持つシングルマー。この設定だけでかなりハードなのだが、樋口有介の独特の文体と周りのキャラの設定で気軽に楽しめる。 タイトルにある猿を意味するものは、動物学者デスモンド・モリスの『裸のサル』に因んでいて、サエの愛読書という設定。 最近この本を目にしたような記憶があったのだが、『世界を変えた150の科学の本』で紹介されていた本だった。ヒトという種について動物学的な視点から考察した科学書だ。 しかし当時のペーパーバック版の表紙では全裸の男女と娘の後ろ姿。まだ性については保守的な当時は、卑猥だという判断で図書館から排除された数少ない本の一つだという。意味深なタイトルだ。
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殺人罪で服役経験をもつシングルマザーの風町サエは、現在弁護士事務所の調査員。無敵の彼女の唯一の弱点は息子だけという新たなヒロインが登場する異色のハードボイルド小説。 登場人物や組織にそれぞれモデルがあって世界観に馴染みやすいのと、なんといってもヒロイン・サエの個性に魅了される。気...
殺人罪で服役経験をもつシングルマザーの風町サエは、現在弁護士事務所の調査員。無敵の彼女の唯一の弱点は息子だけという新たなヒロインが登場する異色のハードボイルド小説。 登場人物や組織にそれぞれモデルがあって世界観に馴染みやすいのと、なんといってもヒロイン・サエの個性に魅了される。気は優しく力持ち、そして類いまれなる美貌に美脚。外国映画の女性ハードボイルドもの、『グロリア』や『私はウォシャウスキー』をイメージすればよいか。
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風町サエシリーズの1作目。 続編の「遠い国からきた少年」から先に読んでしまったのだが、どちらも読みごたえは十分。 殺人を犯し、刑務所に服役。その時の弁護士だった羽田のもとで、「調査員のようなもの」として勤める風町サエ。 この物語には、正義面する人間は出てこない。 誰もが個...
風町サエシリーズの1作目。 続編の「遠い国からきた少年」から先に読んでしまったのだが、どちらも読みごたえは十分。 殺人を犯し、刑務所に服役。その時の弁護士だった羽田のもとで、「調査員のようなもの」として勤める風町サエ。 この物語には、正義面する人間は出てこない。 誰もが個人的事情を抱え、トラブルやモメごとの真っ只中を突き進んでいく。 メインキャラ、サエの関心事は、ただただ、溺愛する息子、聖也との静かな生活。 「人殺し」で服役した母を持つ聖也の将来のため、1億円を貯めると心に決めている。 そのためには、汚れ仕事だってなんだってやる。 いや、自ら望んで手を染める。 羽田が依頼された裏仕事はサエ担当、必然的に、世の中の闇の部分、人間の汚れを真っ向から浴びることになる。 だが、ひるまないし、そういうワルたちに脅しをかけもする。 刑務所時代に愛読書となった「裸の猿」にある通り、ヒトも所詮ただのサルと割り切り、腹式呼吸をしてやり過ごす。 タフで、弱音を吐かないサエに、拍手喝采してしまう。 出版コーディネーター、東宮路子が殺された事件で、第一発見者となったカメラマンの水沼一良がどこまで事件に関与しているのかを探るよう、羽田に依頼される。 調査を進めると、今度は水沼が不審死を遂げる。 警察は、痴情のもつれで水沼が東宮を殺害、水沼は心臓発作による病死として事件を終わらせた。 サエも事件から手を引こうとしたが、水沼の母親から、息子は本当に殺人犯なのか、その「心証」を知らせてほしいと頼まれ、調査を続行する。 だが、事件の裏には、警察上層部をも黙らせる巨大な団体の影が浮かび上がり…。 ただ一つ、結末で、サエを驚愕させた疑惑が何だったのかわからないのが悔しい。
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弁護士事務所で、表向き事務員、実はすご腕調査員のシングルマザーが主人公。 クールで、冷徹とも思えるところがあるのだけど、息子にはでれでれになる。そのギャップが面白い。彼女が服役していたことや、シングルマザーになってことも、割と早いうちに明らかになっていてノンストレス。 ...
弁護士事務所で、表向き事務員、実はすご腕調査員のシングルマザーが主人公。 クールで、冷徹とも思えるところがあるのだけど、息子にはでれでれになる。そのギャップが面白い。彼女が服役していたことや、シングルマザーになってことも、割と早いうちに明らかになっていてノンストレス。 女性が殺され、その容疑者になっている男の調査をするうちに、話が大きくなっていく。 ラスボス(ww)がよいです。 主人公と互角にさせてるあたりがいい。 も、これで続編書くしかないよね、って思う。 調査員ってことで、人の暗部ばっかり見てるようだけど、彼女はそれはそれ、って割り切れる強さがある。まぁ、それは一人息子のために、っていう揺るぎないものがあるからこそなのかもしれないけれど。とういか、息子は彼女にとって<善>なるものの象徴なのかもしれないな。 だからこそ、ラスボスの残した一言が強烈になるだけどね。 面白かった。
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異色の主人公。元ヤンキーで殺人の前科があり、16歳のときに産んだ息子を持つ32歳の女性サエ。世話になった弁護士をオヤジと呼び、そのオヤジの事務所に勤めている。表向きは事務員だけど、解錠その他、元不良らしく、さまざまな特技を駆使して、顧客の依頼に応じた危ない調査いろいろ。 著者の...
異色の主人公。元ヤンキーで殺人の前科があり、16歳のときに産んだ息子を持つ32歳の女性サエ。世話になった弁護士をオヤジと呼び、そのオヤジの事務所に勤めている。表向きは事務員だけど、解錠その他、元不良らしく、さまざまな特技を駆使して、顧客の依頼に応じた危ない調査いろいろ。 著者の作品ではおなじみの、いわゆる「ワイズクラック」な話し方が今回はなりをひそめているものの、会話のテンポのよさは相変わらず。いくつかの仕事が最後に絡み合うのかと思ったらそうではなかったのがちょっと残念ですが、クールなシングルマザーのハードボイルドといった風情で飽きさせません。シリーズ化、歓迎。
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弁護士事務所で働く風町サエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。十六歳で不登校の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口で依頼主の要望に応える調査員。プロ野球選手とモデルの離婚慰謝料を巡り動くサエだったが、同時にある殺害事件についての調査も言い渡される。歪んだ愛の発...
弁護士事務所で働く風町サエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。十六歳で不登校の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口で依頼主の要望に応える調査員。プロ野球選手とモデルの離婚慰謝料を巡り動くサエだったが、同時にある殺害事件についての調査も言い渡される。歪んだ愛の発端は三十四年前に遡り―。
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「笑う少年」を先に読んでからシリーズ物と知り読んでみました。 「笑う少年」がちょっとグダグダ感があったので期待せずに読んでみたら意外と面白かった(*´∀`) 息子ラブなかーちゃんには変わりないが本作はラブ度が少なめでちょっとユーモアのあるハードボイルド風で女版「探偵はBARにいる...
「笑う少年」を先に読んでからシリーズ物と知り読んでみました。 「笑う少年」がちょっとグダグダ感があったので期待せずに読んでみたら意外と面白かった(*´∀`) 息子ラブなかーちゃんには変わりないが本作はラブ度が少なめでちょっとユーモアのあるハードボイルド風で女版「探偵はBARにいる」を狙っているかのような作品になっている。 一番の悪は表だって動かないもんだよなあ(苦笑)
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