大森荘蔵 哲学の見本 の商品レビュー
前期の独我論的現象主義、中期の立ち現れ一元論、後期の言語的・社会的全体論の3段階に区分して解説しているので、大森哲学の概観を押さえる事が可能になっている。が、著者の大森哲学への独自解釈や批判が所々に挿入されていて、多少の読み難さはある。また、解説では著者の先輩である野家啓一先生か...
前期の独我論的現象主義、中期の立ち現れ一元論、後期の言語的・社会的全体論の3段階に区分して解説しているので、大森哲学の概観を押さえる事が可能になっている。が、著者の大森哲学への独自解釈や批判が所々に挿入されていて、多少の読み難さはある。また、解説では著者の先輩である野家啓一先生から、著者の解説への批判が展開されており、批判の応酬となっているのだが、哲学とはこのような対話を通じて真理を探究していくものなので、このような状況はある意味哲学的なのかもしれない(教祖崇拝の宗教では許されないだろう)。個人的には社会的全体論を展開した事により、後期の段階で独我論は脱したのではないか?という印象を持ったが。尚、本書は「思想家研究」ではなく、「思想研究」である事を非常に意識した著作である事に留意すべきである。
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