十号室 の商品レビュー
加藤元。初めて読んだが、なかなか良かった。それぞれの人がほんの少し勇気を出して、真実を言っていれば。10号室の子どもが亡くなるのは避けられなかったとしても、10号室の彼女が死ぬまで苦しむこともなかったのかと思うとやりきれない。 物語は10号室の女性が亡くなり、その姪が部屋...
加藤元。初めて読んだが、なかなか良かった。それぞれの人がほんの少し勇気を出して、真実を言っていれば。10号室の子どもが亡くなるのは避けられなかったとしても、10号室の彼女が死ぬまで苦しむこともなかったのかと思うとやりきれない。 物語は10号室の女性が亡くなり、その姪が部屋を譲り受け、そこに暮らし始めるところから始まる。10号室の女性には、20数年前に子どもが行方不明となった事件があった。 彼女は高校の元教師であり、なんの面白味もないような人物だと周りからは思われ、実際人付き合いもほとんどしてこなかった。そんな彼女にも裏の顔(良い意味で)があり、人間らしさを持ち備えている人物であった。 ラーメン屋で出会った教え子と恋人関係になり、子どもを授かったのだが、1人で育て、時期にその子が行方不明となる。彼女が死ぬまで、結局は見つけることができなかったのだが、それを姪である女性に託す。 彼女の生き方を思うと切なくなった。また、周りの人たちがほんの少し勇気を持って正直に事実を告げることができたらと思うと悔しいやら、悲しいやらで、やりきれなくなった。
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あの人情派作家の加藤元がミステリを書いたとな!とまずは驚く。 今までになくたくさんの登場人物が出て来て思わず人間相関図を書きつつ読む。 一人暮らしの70代女性の死。部屋を受け継いだ姪が解き明かしていく伯母の人生と、その秘密 同じアパートに住む人、それぞれの人生と家族との愛憎。誰も...
あの人情派作家の加藤元がミステリを書いたとな!とまずは驚く。 今までになくたくさんの登場人物が出て来て思わず人間相関図を書きつつ読む。 一人暮らしの70代女性の死。部屋を受け継いだ姪が解き明かしていく伯母の人生と、その秘密 同じアパートに住む人、それぞれの人生と家族との愛憎。誰もが自分にとって大切な人を持っている。あぁそうか。誰かを一番大切だと思うということは、他の誰かは大切じゃない、ということなのか。誰かを守るということは、他の誰かは守れないということか。 人は神じゃない。誰もが自分の一番だけを必死に守っている。人って悲しい。悲しくて寂しい。 でも、もし、自分にとって大切な人がいるように、他の誰かにも大切な人がいるのだと、そう気付けたら。きっと世界は少しだけ温かくなるのだろう。 悲しくて寂しい世界にも、きっと光が見えるのだろう
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