人魚ノ肉 の商品レビュー
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人魚の肉を食べれば不老不死になるというのが一般的な言い伝えではあるが、この話は毛色が違って面白い。 人魚の血を飲めば不老不死になる、しかし肉を食べてしまった人間は、一刻の蕩ける様な美味の代償として、人の理を外れてしまう。その変貌の仕方は個々の人間の生き方を色濃く反映しており、例えば隻眼の剣士が不気味な複眼を手に入れたりとか、幸運の星のもと不死身を謳っていた男が文字通りの不死身になったりだとか、数々の改名を繰り返した剣豪が”もう一人の自分”を殺し続ける羽目になるといった風。 没頭して読めた。
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今もどこかで血をすすり、肉を切り、 骨を食み続けているのだろうか。 下手な怪談本より恐ろしい。 流血、死者多し注意。
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http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2015/07/post-2a3f.html
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坂本竜馬の舌の付け根で溢れ出る肉汁、平山五郎の口の中で弾ける肉の血と唾液、沖田総司、近藤勇、斎藤一らの舌に遊女が抱きつくかのように絡みつく肉、佐野七五三之助の口の中で泡雪のごとく溶けていく肉。その肉は、岡田以臓が桂浜に打ち上がった人魚から切り取って鰹のタタキよろしく食し、余すを持ち帰ったもの。不老不死を得るは人魚ノ肉にあらず血にあるが、いずれの君も肉を食らう。食らえば妖に変化て、己と葛藤しながら生死をさ迷い、あげくには非業の最期を遂げる。大胆な虚構、創作を求め、導かれてここに至る。
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毎回独特の鋭い切り口で歴史浪漫を掘り起こしてくれる木下氏が挑むのは幕末の志士と八尾比丘尼伝説のコラボ。 徹底的に遊んでいるように見えるのだがその史実に裏付けされたストーリー…例えば沖田総司の池田屋の喀血や屯所でやたらと犬を斬っていた件、斎藤一の度重なる改名などマニアが舌舐めずりし...
毎回独特の鋭い切り口で歴史浪漫を掘り起こしてくれる木下氏が挑むのは幕末の志士と八尾比丘尼伝説のコラボ。 徹底的に遊んでいるように見えるのだがその史実に裏付けされたストーリー…例えば沖田総司の池田屋の喀血や屯所でやたらと犬を斬っていた件、斎藤一の度重なる改名などマニアが舌舐めずりしそうな美味しいネタが満載の作り込みは流石と言えよう。 ただあまりにも奇妙奇天烈な設定に楽しむ気持ちも途中から徐々に興醒めしてしまったことも事実。 新選組がよくあるヒーローなどでなく京の街を血で汚す嫌われ者の極悪集団に描かれていることが興味深かっただけにちょっと残念だったかなぁ
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人魚の肉を食べた坂本竜馬、中岡慎太郎、岡田以蔵。八百比丘尼の伝説で不老不死になると言われる人魚の肉が、その後、幕末の京都の武士たちを翻弄していきます。短篇それぞれが人魚の肉をスパイスに 血でむせ返るような見事な怪異譚になっていますが、ちょっと調べれば、それぞれの登場人物の生涯や人...
人魚の肉を食べた坂本竜馬、中岡慎太郎、岡田以蔵。八百比丘尼の伝説で不老不死になると言われる人魚の肉が、その後、幕末の京都の武士たちを翻弄していきます。短篇それぞれが人魚の肉をスパイスに 血でむせ返るような見事な怪異譚になっていますが、ちょっと調べれば、それぞれの登場人物の生涯や人物像がきちんと史実に矛盾がないように書かれていることがわかり、実際の事件を追うように夢中になって読みました。とても良かった。時代小説をこんな形で楽しめるのは嬉しいです。読後ふと現在の京都に思いをめぐらすのは私だけではないでしょう。
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読書好きな友人Iさんが「めちゃくちゃおもしろい!」 とオススメしてくれた本 なんだけど…私には合わなかったかな~ オススメしてくれたIさんごめん 坂本竜馬、中岡慎太郎、岡田以蔵、芹沢鴨、沖田総司、近藤勇、土方歳三などなど… 幕末の志士&新選組メンバーたちが闊歩する幕末の京都 ...
読書好きな友人Iさんが「めちゃくちゃおもしろい!」 とオススメしてくれた本 なんだけど…私には合わなかったかな~ オススメしてくれたIさんごめん 坂本竜馬、中岡慎太郎、岡田以蔵、芹沢鴨、沖田総司、近藤勇、土方歳三などなど… 幕末の志士&新選組メンバーたちが闊歩する幕末の京都 「不老不死になる」「妖になる」という噂の人魚の肉を 彼らたちが口にしていたら…というお話 個人的には沖田総司の話がおもしろかったかな 実は喀血ではなく…ってやつ 幕末系が好きな人は好きかも…
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明治維新時に土佐で人魚の肉を食べると不老不死になるとに噂が立ちその肉を食べた土佐人人斬り以蔵、沖田総士をはじめとした新選組メンバーらの運命を結び付けた内容。
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木下昌輝2作目、前に読んだ「宇喜多の捨嫁」もそうだが、この作品も生々しい血肉感と不吉な死の臭いに満ちた作品。その類が嫌いは人には不快感が強いと思われるので、お勧めできない。かくいう俺もそういうの苦手なはずなんだが… 高橋留美子にこんな系の作品があったが、こっちも負けずに不吉でドロドロである。人魚に祟られるのが新撰組だもんなぁ。そしてこの作品フィクションのくせに史実もしくは実際に広まっている伝承を忠実に物語に再現している。俺は斉藤一の変名で気付いたのだけど、他にもかなりのネタは史実や実際にある伝承のようで、その辺が作品のリアリティをもたせるだけでなく、奥底の深い読み応え感になっているんだろうなと思う。 深く読んでいけばもっともっと伏線の妙味が味わえそう。だけど俺には一読が限界かも。それくらい血の色と死臭が漂う小説である。読後、夜の京都に出るのがおっかなくなってしまうくらい、ちょっとしたトラウマ。
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時は幕末。妖の世界へ誘われた男達の連作短編集。 短編に共通して出てくるのは勿論「人魚の肉」。 人魚の血と肉に魅入られ妖に取り憑かれてしまった男達は、怪異に襲われ自らも妖に変じ異界へと誘われていく…。 初めはあまりにも血生臭い話に背筋がヒヤリとなったけれど、物語が進むにつれ男同士の絆や生きざまに魅せられた。 舞台は古都・京都。 それも新撰組の面々ともなれば、こんな妖しい出来事が次々に起こっても不思議ではない。 この世とあの世の境界に立つ男達。 共に戦った仲間達が彼方で待ってくれている。 喧嘩がしたりねえあいつらも直に此方へ来るはずだ…。 なんかしんみりとなってしまうのは木下さんだからかも。 木下さんは戦う男達の生きざまを泥臭く生々しく描くのがとても巧い!
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