佐治敬三と開高健 最強のふたり の商品レビュー
筆舌に尽くしがたい人生を”走った”男二人。苦難を歩む2代目社長に「弟じゃあない。弟といってしまうとよそよそしい。それ以上に骨肉に近い、感じです」と言わしめた太い関係。
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経営が行き詰った寿屋が、次男を養子に出し危機を乗り切った 自分のふがいなさが、開高の気持ちをさらに重くした。-日本の空気は酸素と窒素とわびしさからできているという開高の言葉は、あるいはこのころの体験の中から生まれたのかも知れない 出版人マグナ・カルタ九章①読め②耳をたてろ③両目を開けたままで眠れ④右足で一歩一歩歩きつつ、左足で跳べ⑤トラブルを歓迎しろ⑥遊べ⑦飲め⑧抱け、抱かれろ⑨森羅万象に多情多恨たれ 明日、世界が滅びるとしても 今日、あなたはリンゴの木を植える
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本編を読む前に作者である北康利さんのお話を伺えるという幸運に恵まれて読んだ本。サントリーの二代目社長にして戦後、サントリーを飛躍的に発展させた佐治敬三とサントリー宣伝部から生まれた芥川賞作家・開高健との人生と友情を描いた評伝。 内容はどうにもこうにも熱い。それは創業者の鳥井信治...
本編を読む前に作者である北康利さんのお話を伺えるという幸運に恵まれて読んだ本。サントリーの二代目社長にして戦後、サントリーを飛躍的に発展させた佐治敬三とサントリー宣伝部から生まれた芥川賞作家・開高健との人生と友情を描いた評伝。 内容はどうにもこうにも熱い。それは創業者の鳥井信治郎の裸一貫から日本一の洋酒屋となる奮戦記であり、その志を継いでウイスキー以上に困難な挑戦といわれたビール事業への敬三の挑戦であったり、ベトナム戦争の最前線を取材して自らに"断絶"をつくり出してまでも小説を書くことに執念を燃やした開高健だったりするのだが、これは戦後の"高度成長"という日本の青春をモチーフに選んだ作者の思いの熱さであるような気がしてならない。 開高健は恐妻家であり鬱体質であり大酒飲み。故に若死にをしてしまう。他方、敬三は見事としか言いようのない人生を全うする。これほどに対照的な二人が、兄弟以上の""骨肉に近い"友情で深く結ばれていたのは実に興味深いし、生き方は対照的だったにせよ"ごっつおもろい人生"をお互い結びつきながら懸命に生き抜いたのだと思う。うーん、やはり熱い。真似したい、親友の弔辞を読みたい!そんな気持ちになる本でした。
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自分も会社の仲間とこんなふたりのような関係を築きたい。そう思わせる一冊です。 サントリーのカリスマ社長 佐治敬三とのちに芥川賞作家となる平社員の開高健の友情を越えた友情。 サントリーの創業の歴史とその中で佐治敬三が取り組んだ事業。また、ひょんなことからサントリー(当時の社名は...
自分も会社の仲間とこんなふたりのような関係を築きたい。そう思わせる一冊です。 サントリーのカリスマ社長 佐治敬三とのちに芥川賞作家となる平社員の開高健の友情を越えた友情。 サントリーの創業の歴史とその中で佐治敬三が取り組んだ事業。また、ひょんなことからサントリー(当時の社名は寿屋)のウイスキーのコピーを書くこととなった開高健。それが縁でその後のふたりは、生涯にわたりお互いにとって欠かせない友とる。 ふたりの壮絶な人生を描いた伝記。 開高健の早すぎる死が、彼の家族にとっても、佐治敬三にとっても、その他の周囲にいたひとたちにとっても、とても切なくかなしみを与えた彼の影響力の凄さを改めて感じました。 また、サントリーの歴史が水ビジネスの歴史⁈でもあったようで、ビジネス書としても参考になる本だと思います。 明日、世界が 滅びるとしても 今日、あなたは りんごの木を植える 本書のなかのこの詩に感動しました。 私もこの精神で行きたいと思いました。 力をくれる一冊でした。
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たしかに最強の2人だ。サントリー発展の歴史を佐治敬三と開高健の両氏の面から書かれている。 サントリーがいかにして大きな企業になったか、ダイナミックに描かれている。
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サントリーの歴史を紐解くことはこのふたりの人生を語ることと重なる。このふたりがいなければ、きっと今のサントリーはなかっただろう。 ドラマでも有名になった「やってみなはれ」という自由奔放に部下たちの発想を重んじ、仕事を任せた経営者、佐治敬三は父の跡を継いで、戦後サントリーを大きく飛...
サントリーの歴史を紐解くことはこのふたりの人生を語ることと重なる。このふたりがいなければ、きっと今のサントリーはなかっただろう。 ドラマでも有名になった「やってみなはれ」という自由奔放に部下たちの発想を重んじ、仕事を任せた経営者、佐治敬三は父の跡を継いで、戦後サントリーを大きく飛躍させた。彼の経営思想が発揮されたのは、「戦後」という自由でどこまでもはるかな未来に夢を見いだせた時代だったからなのかもしれない。しかし、ある意味ワンマンでそして商才のある経営者が「食」という人間にとってなくてはならない分野に存在したからなしえた業績だろう。 またそれまでの日本ではあまり考えられなかった「宣伝、広告、広報」というマーケティング戦略を重視し、ひとつの文化にまで発展させ、それがまたサントリーの飛躍の要因のひとつとなる。そこに登場したのが作家となっていく開高健、山口瞳、アンクルトリスを生み出した柳原良平だ。これらの人材を輩出したサントリーという企業の懐の深さ、鳥井信治郎から佐治敬三へと引き継がれた経営者の才覚を感じる。 ふたりの強烈な個性のある人物像がこの企業を通して浮き彫りにされる作品だ。
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サントリー3代目社長の佐治敬三氏と、敬三氏の部下であり友人であり、ある意味肉親とも言えるような存在であった作家の開高健氏のお話。開高氏がサントリーのCMに出演していたのは記憶にあるが、元々サントリーの社員だったとは初めて知った。 敬三氏の父親である鳥居信治郎氏の生い立ちから、サ...
サントリー3代目社長の佐治敬三氏と、敬三氏の部下であり友人であり、ある意味肉親とも言えるような存在であった作家の開高健氏のお話。開高氏がサントリーのCMに出演していたのは記憶にあるが、元々サントリーの社員だったとは初めて知った。 敬三氏の父親である鳥居信治郎氏の生い立ちから、サントリーの前身である鳥居商店や、寿屋洋酒店の創業当時の様子などが紹介されていてとても興味深い。寿屋時代のエピソードには、若き日の松下幸之助氏や竹鶴政孝氏も登場する。 創業者である信治郎氏が掲げていたのは、利益三分主義という理念だったそうだ。商売で得た利益を事業への再投資、顧客へのサービス、社会貢献の3つに分けるという考え方だが、サントリーが文化事業に取り組んだり、公共広告機構の創設にかかわったのも、この精神が引き継がれていたからだろう。 開高氏や直木賞作家の山口瞳氏が在籍した、寿屋宣伝部の逸話も数多く紹介されているが、たまたまこの作品読んでいるタイミングで、アンクルトリスの産みの親である、柳原良平氏が亡くなったのが非常に残念である。
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サントリーの二代目社長・佐治敬三と、その佐治にコピーライターとして雇われ、在職中に芥川賞を受賞した作家・開高健との”心の交流”を通じて、戦後〜高度成長期を強烈な個性で生き抜いた個人と組織の姿を描くノンフィクション。 ともに戦争を経験し、また近親の死や自身の健康問題といった不幸を...
サントリーの二代目社長・佐治敬三と、その佐治にコピーライターとして雇われ、在職中に芥川賞を受賞した作家・開高健との”心の交流”を通じて、戦後〜高度成長期を強烈な個性で生き抜いた個人と組織の姿を描くノンフィクション。 ともに戦争を経験し、また近親の死や自身の健康問題といった不幸を背負いながら、片やビジネスで、片や文章表現で、日本の新たな時代を切り開こうとする二人の接点が「宣伝」であり、無謀ともいえるビール事業への進出などを周囲の反対を押し切って決定する佐治と、その姿勢を粋に感じ、自らの身を削るようにして数々の伝説的なキャッチコピーや企画を生み出す開高は、単なる社長と社員という関係を超えた"化学反応"を次々に成功させる。 もともとは「佐治敬三伝」として書かれたとのことで、時代を前後しながら二人分の生涯が交差して描かれるため、予備知識無しで読むと多少混乱するが、読み物として面白いだけでなく、日本の現代史の一側面として興味深く、また大きな環境変化にあたっての経営・マーケティング戦略、或いはリーダーシップやフォロワーシップのあり方としても学ぶところの多い良書。
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堪能しました。やはりこの会社の精神、世の中に向かい合う姿勢、広告クリエイティブに対する考え方など、すべてが大好きです。ある意味「マッサン」の続編としても楽しめる一冊(サントリー目線ですが)。働く活力も貰える渾身のノンフィクションだと思います。
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