ゆらやみ の商品レビュー
以前、石見銀山が舞台である「輝山」と「しろがねの葉」を読みました。それぞれ物語が違い、どちらも素晴らしい小説でした。そして今回、同じく石見銀山が舞台であるこの作品を読みました。石見銀山は大森に住む一人の若い女郎を主人公とし、銀堀の少年との恋愛を描いた物語で、そこにはまた違ったドラ...
以前、石見銀山が舞台である「輝山」と「しろがねの葉」を読みました。それぞれ物語が違い、どちらも素晴らしい小説でした。そして今回、同じく石見銀山が舞台であるこの作品を読みました。石見銀山は大森に住む一人の若い女郎を主人公とし、銀堀の少年との恋愛を描いた物語で、そこにはまた違ったドラマがあり、とても楽しめました。 恋愛小説は好きではないのですが、こういった時代物の恋愛は、現代のような"自由恋愛"は少なく、そこに壮大なドラマがあるので結構好きです。 ***ネタバレ*** この「ゆらやみ」も、自由にいかない運命のようなドラマがあり、主人公の女郎であるお登枝の、何人に抱かれても伊夫だけを想う揺るぎない想いに圧倒されました。また、執拗にお登枝に付き纏わり、最後はお登枝を襲い手籠めにしようとする目明かしの佐助に、読みながらとてつもない苛立ちと嫌悪感を抱き、読書がこんな思いを抱く描写・筆致に、凄く感銘をうけました。 終始、この二人はどうなるんだろう?とドキドキしながら読み進めました。 最後は、結局、やり手の商売人である馬蔵さんに身請けされ、子宝にも恵まれ、これで幸せだったんじゃないのかなぁ?と、現実的には思いますが、そうじゃなかったのかな? どちらにせよ、最期まで伊夫を想い続けたんだね。 間歩の向こうの明るい世界で、伊夫と一緒になれてるといいね。
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『しろがねの葉』と同じ石見銀山を舞台にしたお話。間歩(坑道)と女性を重ねているところは似ていると思ったが、間歩で生まれ女郎を経た女性の一生を描いており最後まで面白く読んだ。
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お登枝は、世が弘化から嘉永に変わった年、石見銀山の間歩で生まれた。 親代わりの六蔵爺と、妓楼に住み、手伝いとして働いていた。 「明日は、遊女として客を取る」 その夜、想いを寄せている、伊夫の元へ走る。 引き裂かれる二人。 運命を受け入れながらも、伊夫への想いは、止まず・・ ...
お登枝は、世が弘化から嘉永に変わった年、石見銀山の間歩で生まれた。 親代わりの六蔵爺と、妓楼に住み、手伝いとして働いていた。 「明日は、遊女として客を取る」 その夜、想いを寄せている、伊夫の元へ走る。 引き裂かれる二人。 運命を受け入れながらも、伊夫への想いは、止まず・・ 想いを貫いたと言えば、聞こえは良いけど、 結局、二人の命を取り、何人かを不幸にして、自分は、商人の内儀として、70歳まで生きた・・。 なんか、割り切れない。
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うまく行かないものだ。 うまく行かないものだ。 男の欲望というものは本当に、本当にろくでもない。 ろくでもない。 女と思って馬鹿にして、力で抑え込めば何とかなると思って。 人の人生台無しにして。 それでも一生懸命生きていた。 ただ生きていたのに。 死んでもいいとは思わない。 でも...
うまく行かないものだ。 うまく行かないものだ。 男の欲望というものは本当に、本当にろくでもない。 ろくでもない。 女と思って馬鹿にして、力で抑え込めば何とかなると思って。 人の人生台無しにして。 それでも一生懸命生きていた。 ただ生きていたのに。 死んでもいいとは思わない。 でも、それぐらいの罪だとは思うよ。 人生を壊してしまう。
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初出 2013〜14年「小説新潮」 女郎と銀山坑夫の純愛物語ではない。 あさのあつこはそんなものは書かない。 坑道で産み落とされた登枝は梅の精と見まがうほど美しい娘育ち、女郎となる前夜に愛し合う隠れキリシタンの抗夫伊夫を訪ねる。そこで登枝をつけてきて犯そうとした男を伊夫が殺し...
初出 2013〜14年「小説新潮」 女郎と銀山坑夫の純愛物語ではない。 あさのあつこはそんなものは書かない。 坑道で産み落とされた登枝は梅の精と見まがうほど美しい娘育ち、女郎となる前夜に愛し合う隠れキリシタンの抗夫伊夫を訪ねる。そこで登枝をつけてきて犯そうとした男を伊夫が殺し、死体を隠した後二人は結ばれる。その後岡っ引きにしつこく嗅ぎ回られ、ふたりの障害となる岡っ引きを殺そうと画策していたが、登枝は伊夫が病気と聞いて女郎屋を逃げ出して伊夫のもとへ行って再び結ばれるが、付けてきた岡っ引をついに殺してしまう。 激しく恋する心は同時にエゴイスティックであり、光と闇が同居し逢瀬には殺人が伴う。しかし登枝はそのことには悩まない。それが登枝の魅力でもあるのだが、2度目の殺人事件後結核を発症していたらしい伊夫が死体を始末しに行って姿を消してしまうと、新興の商人に身請けされてしまう。そのあたりの葛藤は描かれずに、一気に年十年も過ぎて老婆となった登枝が、伊夫のいる場所に行こうと坑道を死に場所にするのだが、最後はなくていいんじゃないかな。。。
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2017/6/25 みなさんの評価はイマイチみたいですが、私は楽しめた!という感じですわ 恋愛ものなのに遊女があまりに美しくて天女のようだとか、相手がハーフでこれまた漫画に出てきそうなイメージの若い男 ファンタジィーともとれるような? サクサク読めたね
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登枝が遊郭「かぐら」で女将のおそのの庇護のもと,一人前の遊女に育ち,立派な商人の馬蔵の女房となる女の一生の物語だが,舞台は石見銀山.幼い頃,和一に絡まれているところを伊夫に助けられ,豪商の藤屋宗右衛門の女になる直前に密かに伊夫を訪ねるが,和一の父の与治に襲われる.伊夫が与治を殺め...
登枝が遊郭「かぐら」で女将のおそのの庇護のもと,一人前の遊女に育ち,立派な商人の馬蔵の女房となる女の一生の物語だが,舞台は石見銀山.幼い頃,和一に絡まれているところを伊夫に助けられ,豪商の藤屋宗右衛門の女になる直前に密かに伊夫を訪ねるが,和一の父の与治に襲われる.伊夫が与治を殺め,そこで伊夫に抱かれる.おそのは激怒するが,宗右衛門は登枝をかわいがる.最後には馬蔵と夫婦になるが,その直前には伊夫に会い,そこでは前から登枝を疑っていた目明しの佐助を和一が殺める.多くの男たちの中でしたたかに生き抜く登枝は,やはり凄い女だ.面白かった.
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幕末の石見銀山を舞台にした遊女と鉱夫の悲恋物語。というと一言で終わってしまうが、そこにある殺人事件やそれを執拗に追いかける目明しが絡んでくる。 全体を通しての暗く淀んだ空気は、時代や衰退する銀山という舞台をよく現しているが、特段の読後感にはつながらない。
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もっとドロドロのストーリーを期待してたが思ったよりあっさり。 純愛小説はあまり好きじゃないんだよな。。。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
幕末の石見銀山,女郎になる前のお登枝と銀掘の伊夫が出会った時から悲恋に終わるということは分かっていながら,やっぱりそうなったが,それでも不幸かというとそうでもない. あさのあつこ氏の,擬音語擬態語の効果はいつも素晴らしいと思う.今回もどきどきさせられた.
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