雪と珊瑚と の商品レビュー
『雪と珊瑚と』はビルドゥングストーリーと分類されることが多いけれど、私はそれだけではないと感じた。 かつては一人の娘であり、大人になってからは離婚を経験し、一人娘と生きるために必死に考え続ける母であり──そのどちらの時間も含めて、周囲の温かな愛情に支えられながら「珊瑚さん」と...
『雪と珊瑚と』はビルドゥングストーリーと分類されることが多いけれど、私はそれだけではないと感じた。 かつては一人の娘であり、大人になってからは離婚を経験し、一人娘と生きるために必死に考え続ける母であり──そのどちらの時間も含めて、周囲の温かな愛情に支えられながら「珊瑚さん」という一人の女性が自分を発見していく物語だと思った。 くららさんの考え方や人生経験、料理の知識、そして日々の小さな発見を大切にして生きる姿勢には、思わず憧れを抱いた。 行動する中で出会う人たちとの一期一会を大切にし、自分の気持ちに正直に進んでいく珊瑚さん。 アドバイスを素直に受け止め、自分の足で前に進んでいく姿には、共感と尊敬の気持ちが湧いた。 特に心に残ったのは、学生時代にお世話になった先生が去り際に言った言葉だ。 「おかあさんは世間的な尺度で自分の行動を決めたことは一度もなかった(中略)あなたのおかあさんは潔い人だった。昔からずっと」 その言葉は、珊瑚さんの中にも確かに受け継がれているものだと感じ、胸が熱くなった。
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終わって欲しくない世界にずっと居させてもらえた。あったかいし、由岐ちゃん良かったなあ。良い子だし、ズバズバものを言うし、なんか珊瑚が迷ったときに「ここが良い理由とか惹かれるものはある?」って察して聞けて、「それならそうしようそう言うものが珊瑚さんのエネルギーの源になるような気がす...
終わって欲しくない世界にずっと居させてもらえた。あったかいし、由岐ちゃん良かったなあ。良い子だし、ズバズバものを言うし、なんか珊瑚が迷ったときに「ここが良い理由とか惹かれるものはある?」って察して聞けて、「それならそうしようそう言うものが珊瑚さんのエネルギーの源になるような気がする」って言ってて、こんなことをサラッと伝えれるの凄いなあ羨ましいなと思って素敵に見えた。料理の描写も素敵だしみんなが良かった。少しずつあったかくなってきた冬の終わりに読んで欲しいなあ
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久しぶりの梨木香歩さん。 めちゃくちゃいい!!本当に優しい物語 梨木さんといえば「西の魔女が死んだ」が有名だけど私はこの作品も遜色ないと思う 読んで良かったぁ
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1歳に満たない娘(雪)を抱える21歳のシングルマザーの珊瑚の物語です。「食」がkey wordになっており、主人公・珊瑚の成長が温かく描かれています。梨木さんの主人公の心理描写がとてもていねいで、自然と応援しながら読みました。 珊瑚には不遇な生い立ち、経済的な困窮状況があっ...
1歳に満たない娘(雪)を抱える21歳のシングルマザーの珊瑚の物語です。「食」がkey wordになっており、主人公・珊瑚の成長が温かく描かれています。梨木さんの主人公の心理描写がとてもていねいで、自然と応援しながら読みました。 珊瑚には不遇な生い立ち、経済的な困窮状況があったものの、淡々と触れられ読み手にいたたまれなさや辛さをあまり感じさせません。 苦しい時に手を差し伸べてくれた中学のスクールカウンセラー、娘を預かり食の温もりを教え助けてくれたくららさんの存在が大きく、珊瑚は出会いに恵まれていた印象です。 幸運が重なったという見方もできますが、それを呼び寄せたのは珊瑚の人を頼った行動でした。珊瑚は自分以外の人が、愛情と関心をもって接してくれる有り難さを繰り返し感じます。 人に頼ることは、簡単なようで難しいですね。勇気が出ない、恥ずかしい、同情や施しを受けたくない…など、プライドが邪魔をしますから…。 多くの人に支えられ、珊瑚は生き方を模索しながら夢を膨らませていきます。心を満たす食を目指した「総菜カフェ」経営を実現させるのでした。珊瑚はいろいろと葛藤しながらも、最後は自分の感覚を信じて決断する芯の強さをもっていました。 ただ、本作は単なる成功物語ではなく、思いの外深いです。食の温かさが如何に人へ好影響を与えるか、食が人を形づくることを知らしめてくれます。 さらには、先々の懸念材料や不安要素も描かれ、人生が順風満帆なまま進むはずもない暗示も示しているようです。 思わぬ展開が待ち受けていても、様々な人や出来事に折り合いをつけながら、人として母として成長していく珊瑚を見届けました。辛いことも少なからずある人生でも、次への一歩を踏み出す勇気を与えてくれる物語でした。
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お腹がすいて、誰かに会いたくなって、子供に戻りたくなって、大人になりたくなる、総じて、生きたくなる本
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人との関わりで一回りも二回りも成長していく21歳でシングルマザーの珊瑚。 美味しそうな食べ物の描写だけで人はパワーをもらえるんだな。 珊瑚を取り巻く登場人物が皆芯のある人で、私まで一緒に救われた様な、成長できた様な気持ちになる。 何より雪の『おいちいねえ、ああ、ちゃーちぇねえ』が...
人との関わりで一回りも二回りも成長していく21歳でシングルマザーの珊瑚。 美味しそうな食べ物の描写だけで人はパワーをもらえるんだな。 珊瑚を取り巻く登場人物が皆芯のある人で、私まで一緒に救われた様な、成長できた様な気持ちになる。 何より雪の『おいちいねえ、ああ、ちゃーちぇねえ』が何と愛らしく、幸せなことか。胸がジーンとした。 私の精神状態的にいつ読んでも良い作品。程よく温かく希望をもらえる作品でした。 (日頃21歳の年頃の方と接する機会がないからか、どうしても珊瑚の年齢を忘れてしまい、40代くらいに感じてしまった。それくらい精神年齢が高いと感じた)
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くららさんがずっと私の中で謎の人のままだった なかなか現実はこのストーリーのようにうまくいかないけれど 主人公珊瑚の人となりが変わっていく様がとてもよかった 宗教にはまってるお母さんが少し心配だけれど…
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わたしも死別じゃないのに片親…って少し思うところがあるなぁって感じちゃうタイプ。 それでも子どもがいることを言い訳にせずむしろ子供のために切り開いていく珊瑚を見ると、希望を感じる。 『なるようになる』という言葉があるけれど、それは『なるようにしてくれる』なのかもしれない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
美知恵の手紙は衝撃的だった。結婚して、ラブラブであるならば、あなたのせいで私は幸せになれないという世間によくある責任転嫁型の怒りではない。情報発信のツールが今の時代と違うとはいえ、珊瑚が分析したようにもっと陰湿にダメージを与えることもできたはずだ。やり口も内容も全く賛同はしないけれども、この手紙は美知恵にとって正当な抗議だったのだろう。 珊瑚は、自分が望む事と相手の行動はきちんと分けている。相手の気持ちを汲み取ろうとする素直さがある。そして行動力がある。アドバイスを自分なりに考えて、自分で決める。相手に依存しない。この素直さと潔さが、ご縁ができる理由なのではないかと思う。 けれども、美知恵にはそのご縁が欺瞞と映っているようだ。恐らく美知恵は世間的な尺度で自分の行動を決めてきたのではなかろうか。だから、その尺度を持たない珊瑚の行動が、いいかげんにしか見えないのかもしれない。 手紙を出したことだけで、美知恵の気が晴れる事もないような気がする。いいかげんな生き方の罰を受け、自分の考えが正しかったことが証明されることがない限り。しかも、珊瑚以外の人でも、世間の尺度に沿わない生き方をしているくせに称賛されていると同じように不愉快になるのだろう。 珊瑚は望むものを得られなかったことで傷ついているが、望みを抱くことは否定していない。単なる諦めではなく、諦観ともいうべき静かな覚悟を感じる。珊瑚にはこれからも辛いことはあるのだろう。けれども、辛い中でも幸せを感じ取れる人だと感じた。 幸せの本質とは何であるのかを考えさせられる作品だった。
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食べることは生きること。 珊瑚さんは無理せず、雪ちゃんはすくすく育つことを願うばかり。 くららさんの優しさが身に染みる。
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