オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家 の商品レビュー
「オリヴィエ・ベカイユの死」 オリヴィエ・ベカイユは貧しい家の娘マルグリットに結婚を申し込む。本人は乗り気じゃなかったが娘を厄介払い出来る両親は承諾。彼女もその現実を受け入れた。田舎の生活に嫌気が指していた妻の気持を察し、二人はパリに仕事を見つけ出て来た。しかしパリに到着してすぐ...
「オリヴィエ・ベカイユの死」 オリヴィエ・ベカイユは貧しい家の娘マルグリットに結婚を申し込む。本人は乗り気じゃなかったが娘を厄介払い出来る両親は承諾。彼女もその現実を受け入れた。田舎の生活に嫌気が指していた妻の気持を察し、二人はパリに仕事を見つけ出て来た。しかしパリに到着してすぐにオリヴィエは病気になり、体が硬直して声も出せなくなる。周りの人間は彼が死んだと思って葬式の準備を進める。気落ちした妻を同じアパートに住む青年が慰めたり、オリヴィエは気が気でない。そして意識があるまま彼は墓に埋められてしまう。 「ナンタス」 田舎からパリに出てきた有望な青年ナンタスはなかなか仕事が見つからず困窮の果て餓死寸前になっていた。そこへある中年の婦人が現れ、不義の子を身籠ってしまった令嬢の恋人役を依頼される。父親はしぶしぶ結婚を認め、二人の契約結婚は成立する。ナンタスは仕事で成功を治め人生は順調…ではあったが、仮初の妻フラディを心から愛してしまう。しかし彼女の態度は冷たく…。 「呪われた家」 語り手はある日荒れ果てた一軒の家を発見する。そこは近所の者から幽霊が出ると噂されていた。そこにはかつてアンジェリーヌという美しい少女がいたが、継母に殺されてしまった…というものだった。しかし実際は…。 「ジャーブル氏の貝」 シャーブル氏は45歳、裕福で若いきれいな妻がいる。しかし子どもが出来ないのが唯一の悩みだった。医者から貝を食べるといいと言われ、妻と共に海辺の保養地へ行く。妻は田舎の生活に退屈するかと思いきや、そこで知り合った土地の青年と親しくなり、海辺の生活を楽しみ。貝をたくさん食べて、パリに戻ったシャーブル氏にようやく子どもが生まれるが…。 「スルディス夫人」 フェルディナン・スルディスは絵の才能があったが生活のために田舎の中学の自習教師(臨時教員の用なもの?)をやっていた。画材屋の娘アデルは彼の才能を見抜き、父が亡くなり遺産が入った段階で彼に結婚を申し込み二人でパリに出る。 フェルディナンは不細工なアデルを好きではなかったが、生活のための仕事から解放されることを喜んだ。パリで発表した最初の絵が話題になり彼は一躍時の人に。しかし元来怠け者の性質からなかなか絵を描かない。そのうちアデルが手伝うようになり、徐々にアデルの仕事量が増えていく。 ―ーーーーーーーーーーーーーーー 最初に、これはゾラなのか?と思った。 私はゾラと言えば小田光雄、或いは伊藤桂子の訳で読んでいたため、文章が今っぽくて変な気がした。 しかし読み進めていくと、やっぱりゾラだ! 面白い! あらすじには敢えてオチを書かなかったので、気になる人は是非手にとってみてください。
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「オリヴィエ・ベカイユの死」がポーの「早すぎた埋葬」と似ているのは偶然なのだろうが、同時期に西洋では「生きたまま埋葬されるかもしれない」という恐怖が共通認識として広まっていたというのは興味深いことだ。
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男は死んだと思われ埋葬された。生きる理由をなくし、死神に見放され…切なすぎる。ゾラショートセレクション 猫の楽園にも「オリビエ・ベカイユの死」があります。
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一番読み応えのあったのは、「スルディス夫人」次が、「ナンタス」、そして「オリヴィエ・ベカイユの死」「呪われた家ーアンジェリーヌ」「シャーブル氏の貝」 物語にグイグイひきこんでかれる感じがする。時代性を感じさせないものの不自然さや読みにくさがない、まるで19世紀のフランスにこちら...
一番読み応えのあったのは、「スルディス夫人」次が、「ナンタス」、そして「オリヴィエ・ベカイユの死」「呪われた家ーアンジェリーヌ」「シャーブル氏の貝」 物語にグイグイひきこんでかれる感じがする。時代性を感じさせないものの不自然さや読みにくさがない、まるで19世紀のフランスにこちらがタイムスリップした感覚にさせられる。違う作品も読んでみたい。 「オリヴィエ・ベカイユの死」 普通なら嫉妬にたぎり元の妻。追いかけ回すか、悲観に苛まれもう一度死のうとするかやけど、彼女の愛する人ではなかったと達観し、優しくもなり、名もなきひととしていろんなところへ旅するという、なんと爽やかな終わり方やねん!
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傑作。どれも面白いが最後の「スルディス夫人」がいい。売れてないが才能ある画家がいて、絵の具屋の娘が目を付ける。彼の美貌と才能に惹かれて遺産を援助し結婚して生活する。話の筋としてはよくある事なんだが、これでもかこれでもかと作者が描写する表現が、惹き付け惹き付け。 1ヶ月前に同じ作者...
傑作。どれも面白いが最後の「スルディス夫人」がいい。売れてないが才能ある画家がいて、絵の具屋の娘が目を付ける。彼の美貌と才能に惹かれて遺産を援助し結婚して生活する。話の筋としてはよくある事なんだが、これでもかこれでもかと作者が描写する表現が、惹き付け惹き付け。 1ヶ月前に同じ作者の文庫を読んで、それを忘れている位に前回は印象に残らなかった。同じタイトル名がありそのことに気付いた。訳者出版社によってここまで印象が変わるとは、言語とは、このように扱いによって大きく変化する繊細な物なんだな。
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