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もののはずみ の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/09/04

「もの」たちとの出会いやその背景の物語を綴ったエッセイ。 読みながら感じるのは自分には「もの」への執着がないということ。 世界を旅して出会う「もの」には特別な感情を抱くのか。 「ランシャンタン」は少し惹かれる。 いやまだまだ経験が足りない。

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2021/12/01

はたから見ればただのがらくたに過ぎない中途半端な物たちに惹かれる著者が、主にフランスで出会った物たちについてペンを走らせた好エッセイ。 スライド映写機、珈琲ミル、陶製のペンギン、木製のトランク、ドアノブ、キッチンスケール、木靴、ビー玉etc. 年代物の高価な骨董品ではなく、2...

はたから見ればただのがらくたに過ぎない中途半端な物たちに惹かれる著者が、主にフランスで出会った物たちについてペンを走らせた好エッセイ。 スライド映写機、珈琲ミル、陶製のペンギン、木製のトランク、ドアノブ、キッチンスケール、木靴、ビー玉etc. 年代物の高価な骨董品ではなく、20年から100年くらい前の使われなくなったものたちである。 「物心」という言葉があり著者はそれに心思いを馳せる。 もののはずみで買ってしまったものたちは、著者と心を通わせ世界を広げるための力となっていく。 堀江敏幸さんの文章は、小説にしてもエッセイにしても独特の静けさを持っていて大好きだ。 芥川賞作家であり、明大教授の堀江さんは毎日多忙な生活を送ってらっしゃると思うのに、彼の描く世界はまるで時がゆっくりと再生しているようで、その静謐の中に贅沢な空間を見出す。 劇的主題を持つわけでもなく、強烈な光を放散するでもなく、レトリックに凝るわけでもない。 静かに時を流し、静かに独創的な世界を作り上げる。 その白き静けさに堀江さんの文章を読んでいるとゆっくりと満たされていくのだ。

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2018/04/08

ものが持つ、独特のいい雰囲気。 堀江さんがここで取り上げるのは、フランスの蚤の市や古道具屋で見つけた過去の生活道具たち。 アンティークとしての価値がつくほどまではいかない、ちょっと過去の生活道具。 そのもののもつ、独特なたたずまいを、短いエッセイの中で掬い取っている。 古道具を...

ものが持つ、独特のいい雰囲気。 堀江さんがここで取り上げるのは、フランスの蚤の市や古道具屋で見つけた過去の生活道具たち。 アンティークとしての価値がつくほどまではいかない、ちょっと過去の生活道具。 そのもののもつ、独特なたたずまいを、短いエッセイの中で掬い取っている。 古道具を自分の生活に取り入れたり、そうでなくても賞翫するというのは、センスがないとできるものではない。 この本で、自分は文章を通して、堀江さんの目を通してそれらのものに触れて、良さがわかった気がしているが、実際にそのものを見て、その良さがわかるとは思えない。 写真や文章から漂うおフランス的な雰囲気への憧れもあるのか、と幾分やっかみながら、そう思う。 ただ、ものが、あるものの隣に置いたとたんに精彩を放ち始めたり、違う光、違う空気の中にあることで、魅力を失ってしまうことは、自分の経験にもある。 そういうところのリアルさは、よく理解できる。

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2017/10/05

偶然に出会った「もの」たちをめぐるエッセイ集です。対象に対する逸話と愛情が、心地よく混じり合っています。 小川洋子さんとかなら、これら「もの」たちをモチーフにして物語を紡いでいるかもしれません。しかし、堀江敏幸さんの場合、あくまでエッセイにとどめている感じが個人的には好印象です...

偶然に出会った「もの」たちをめぐるエッセイ集です。対象に対する逸話と愛情が、心地よく混じり合っています。 小川洋子さんとかなら、これら「もの」たちをモチーフにして物語を紡いでいるかもしれません。しかし、堀江敏幸さんの場合、あくまでエッセイにとどめている感じが個人的には好印象です。

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2015/09/14

フランスで出会ったものについて綴る、短いエッセイ。ヴィンテージのようなものから、とりたてて価値はないけれど自分の琴線に触れたものまで。 いいエッセイだなぁと思う書き手は、視野が広いというより(狭いわけではない)、細かいところまでよく見ているんだなぁ、と思う。毎日のこと、なにげない...

フランスで出会ったものについて綴る、短いエッセイ。ヴィンテージのようなものから、とりたてて価値はないけれど自分の琴線に触れたものまで。 いいエッセイだなぁと思う書き手は、視野が広いというより(狭いわけではない)、細かいところまでよく見ているんだなぁ、と思う。毎日のこと、なにげないことでも流さずに見つめている。

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2015/06/05

『もの』をテーマにしたエッセイ集。この場合の『もの』とは、新品でも骨董でもなく、微妙な古さの『古道具』。 各エッセイには写真が1枚ずつ添えられているが、古ぼけてくすんだ『もの』が、不思議な味わいを見せている。また、エッセイも、小説めいたエピソードが違和感なく混じり合っていて、写真...

『もの』をテーマにしたエッセイ集。この場合の『もの』とは、新品でも骨董でもなく、微妙な古さの『古道具』。 各エッセイには写真が1枚ずつ添えられているが、古ぼけてくすんだ『もの』が、不思議な味わいを見せている。また、エッセイも、小説めいたエピソードが違和感なく混じり合っていて、写真とともに本書の味わいに深みを加えていた。 実際に自分が使うかどうかは別として、『もの』に対する著者の愛が伝わるエッセイ集だった。

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