ヴァルカンの鉄鎚 の商品レビュー
悲惨な核戦争後にコンピュータ“ヴァルカン3号”を中心とした世界連邦政府によって統治されることになった世界を描くディストピアSF小説です。 北部アメリカ担当弁務官のウィリアム・バリスを主人公に物語が進みますが、前半はゆっくりで後半は激流のようでした。 この世界では世界連邦の弁務官同...
悲惨な核戦争後にコンピュータ“ヴァルカン3号”を中心とした世界連邦政府によって統治されることになった世界を描くディストピアSF小説です。 北部アメリカ担当弁務官のウィリアム・バリスを主人公に物語が進みますが、前半はゆっくりで後半は激流のようでした。 この世界では世界連邦の弁務官同士でも昇進目当てで争い、更にコンピュータ統治に反対する“癒しの道”教団によるテロも横行しています。 高性能な機械に支配されているはずなのに秩序が乱れ混沌としていることに読者はきっと疑問を持ちますが、読み進めていくと驚愕の事実が明らかに…。 フィリップ・K・ディックらしさが溢れる一冊でした。
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「ヴァルカンの鉄槌」、ついにフィリップ・K・ディック長編作品として最後の初邦訳! いつ読めるかわからないけど、とりあえず予約しとくしかないか。
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断続的一人ディック祭り再開! ディックの作品を発表年代順にたどることによって、その時代に影響を受けたディックの悪夢自体を体験する。 1960年は東西冷戦がますますエスカレートし、宇宙規模の恐怖が覆ってくる時代。システム化された体制のもとでも平和は簡単には訪れないという悪夢を、宗...
断続的一人ディック祭り再開! ディックの作品を発表年代順にたどることによって、その時代に影響を受けたディックの悪夢自体を体験する。 1960年は東西冷戦がますますエスカレートし、宇宙規模の恐怖が覆ってくる時代。システム化された体制のもとでも平和は簡単には訪れないという悪夢を、宗教団体をからめて変態ディックは描く。宗教団体を絡めてくることが今と通じるところが大きく感じられます。同じ組織内ですらはびこる人間の不信感も現代的で恐ろしい。ディックの描くテクノロジーはその時代ですらたぶん時代遅れな感じがするものだと毎回思うのです(なんで破壊したコンピューターの部品を再利用する?工業製品なんだから生産でいいのでは?)が、なんとなくスチームパンク的な扱いで読むと独特の世界に感じられます。 この2年後に「高い城の男」が発表されることを考えると、やっぱり波のある作家なのだな〜
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1960年の作品 大好きなディックの初期作品。コンピュータ同士の戦いというプロットかな。当時に思いついたのが素晴らしい。 人物に魅力がないのが残念だが、その分ストーリーに集中できると思い込もう。少し長めの中編なんだが、10章以降だけでも十分な気がするなぁ。短編でまとめても...
1960年の作品 大好きなディックの初期作品。コンピュータ同士の戦いというプロットかな。当時に思いついたのが素晴らしい。 人物に魅力がないのが残念だが、その分ストーリーに集中できると思い込もう。少し長めの中編なんだが、10章以降だけでも十分な気がするなぁ。短編でまとめても良い作品だな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いつもの。あと未読なのはずっと積読状態の「市に虎声あらん」くらいか…。文庫あとがきでも指摘されているとおり、「電気羊」のレイチェルの原型とおもわれるレイチェル(人妻)もおもしろかった。襲ってくる「ハンマー」のビジュアルもおもしろい。2015年の今、そのまんま映像化したら、スチーム・パンクっぽくなっておもしろいかも!
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知られざる事実の暴露とか、どんでん返しとか ストーリー上の仕掛けを楽しんで、 難しいことを考えず読めるエンターテインメントSF。 人物の背景や組織の裏は、明かさず隠し、 物語の盛り上がりに合わせてバン!と突きつけ 「そうきたか」(他でも知ってる?)となる割に はじめから目の前にあ...
知られざる事実の暴露とか、どんでん返しとか ストーリー上の仕掛けを楽しんで、 難しいことを考えず読めるエンターテインメントSF。 人物の背景や組織の裏は、明かさず隠し、 物語の盛り上がりに合わせてバン!と突きつけ 「そうきたか」(他でも知ってる?)となる割に はじめから目の前にあるタイトルは比喩ではなく、 ド・ストレートに、しかし何気なく名無しで登場し いつの間にやら当然のように居座るという、 「勢いで書いてたら、インパクトのある タイトルにたどり着いたんじゃない?」と疑う。 間違いのなさに盲信して、いつの間にやら 人類の愚かさを晒すことへの警鐘は、 今となっては、それほど目新しくもなく ガツン!と一発、精神的ではなく肉体的に鉄槌!!
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20年以上続いた第1次核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定を巨大コンピュータ〈ヴァルカン3号〉に委ねた。極秘とされるその設置場所を知るのは統轄弁務官ディルただ一人。だが、こうした体制に反対するフィールズ大師は〈癒しの道〉教団を率いて政府組織に叛旗を翻し...
20年以上続いた第1次核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定を巨大コンピュータ〈ヴァルカン3号〉に委ねた。極秘とされるその設置場所を知るのは統轄弁務官ディルただ一人。だが、こうした体制に反対するフィールズ大師は〈癒しの道〉教団を率いて政府組織に叛旗を翻した。ディルは早々に大師の一人娘を管理下に置くが……。ディック最後の本邦初訳長編SF! 解説=牧眞司
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