善と悪の経済学 の商品レビュー
宗教や歴史を軸にした経済学本だが、映画からの引用もある。バーナード・マンデヴィルを知れたのは良かった。 ラディスラフ・ベイダーネクはググっても出てこなかった。 まぁいつの時代でも裕福の飢餓なんでしょ。物は溢れているけど心は満たされない的な。
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読み終わるまでかなりの時間を要した。図書館で2回借りてようやく読み終わったよ。何しろ例えで使われている書籍の大半を読んだことがないから逐一頭の中で整理しつつ読んでたら思ってたより時間がかかった。そういう意味では古今の西洋に伝わる幾つかの物語を知るのに良い本と言える。 ギルガメッ...
読み終わるまでかなりの時間を要した。図書館で2回借りてようやく読み終わったよ。何しろ例えで使われている書籍の大半を読んだことがないから逐一頭の中で整理しつつ読んでたら思ってたより時間がかかった。そういう意味では古今の西洋に伝わる幾つかの物語を知るのに良い本と言える。 ギルガメッシュ叙事詩に始まり、旧約聖書、古代ギリシャ、キリスト教を経て、哲学者、詩人、物理学者など様々な偉人たちが語ってきたことを考察しながら、現代に繋がる人間の欲望と善悪と自然について縦横無尽に話が展開されていく。正直一度読んだだけでは半分も理解できないので、いっそのこと電子書籍で購入して改めて読もうかなと思っている。 足るを知ること。幸福を追いかけ続けていたら永遠に幸福にはなれない。これからどうやって自分の欲と折り合いをつけるかを考える良い一冊になった。
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経済を歴史や倫理、哲学等の観点から深堀りした読み応えのある良書。 現代の数式やお堅い専門用語を並べがちな主流の経済学へ一石を投じる内容になっている。 文章の大半は偉人や古典文学からの引用で構成されており、現代の通説は過去の原則で成立している事を理解させてくれる。 知性は情動の...
経済を歴史や倫理、哲学等の観点から深堀りした読み応えのある良書。 現代の数式やお堅い専門用語を並べがちな主流の経済学へ一石を投じる内容になっている。 文章の大半は偉人や古典文学からの引用で構成されており、現代の通説は過去の原則で成立している事を理解させてくれる。 知性は情動の奴隷であり、「見えざる手」は人間の情動で成立している。 人の強欲さが現代の継続したGDP上昇の源泉となっている。 様々な観点から経済学を捉えてみたい。 そのためには一見関係なさそうに思える歴史や心理学にも目を向けてみよう。 そんな気持ちになれた、良い読書体験だった。
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経済の歴史をギルガメシュ叙事詩や聖書から紐解き、現在の成長一辺倒な主流派経済学に警鐘を鳴らす。経済学は元は哲学や倫理の一領域だったが、科学を指向するあまりいつしかその源流を忘れてしまった。多くの引用を交えつつ一から説明してくれるので、経済の専門家でなくとも理解するのに支障はない。...
経済の歴史をギルガメシュ叙事詩や聖書から紐解き、現在の成長一辺倒な主流派経済学に警鐘を鳴らす。経済学は元は哲学や倫理の一領域だったが、科学を指向するあまりいつしかその源流を忘れてしまった。多くの引用を交えつつ一から説明してくれるので、経済の専門家でなくとも理解するのに支障はない。読了までに一ヶ月以上かかってしまったが、実に有意義な読書体験だった。
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古典と経済に関する素晴らしい考察とは思うが、なにぶん西洋古典の世界なので馴染みがなく、とっつきづらい…時間があるときに再挑戦したい
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経済学の本というよりは、経済学の歴史の本と言った方が分かりやすいと思う。 ギルガメシュ叙事詩から聖書、そしてアダム・スミスの「神の見えざる手」理論、そして映画『マトリックス』まで。人類の初めから経済はどのように発展していったかを論じている。 経済のことを詳しく知らなくても、...
経済学の本というよりは、経済学の歴史の本と言った方が分かりやすいと思う。 ギルガメシュ叙事詩から聖書、そしてアダム・スミスの「神の見えざる手」理論、そして映画『マトリックス』まで。人類の初めから経済はどのように発展していったかを論じている。 経済のことを詳しく知らなくても、根気があれば読みこなせる。 筆者の主張としては、経済は未来永劫発展していくことはないのだから、「このあたりで満足したらどうだろう?」ってことを言いたいのだと思う。
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チェコ人の経済学者による、経済論。 歴史を紐解き、聖書や古代ギリシア、ローマにおける哲学、倫理学、数学等と経済学との関連を明確にし、善悪を含めた倫理の要素と経済学とに焦点を当て論述している。以前は倫理的要素が経済学でも大きく論じられていたが、現在は経済学と倫理学、哲学とは切り離...
チェコ人の経済学者による、経済論。 歴史を紐解き、聖書や古代ギリシア、ローマにおける哲学、倫理学、数学等と経済学との関連を明確にし、善悪を含めた倫理の要素と経済学とに焦点を当て論述している。以前は倫理的要素が経済学でも大きく論じられていたが、現在は経済学と倫理学、哲学とは切り離されている。善悪の観点を排除した現在の経済理論は、目的を見失っていると批判している。常に進歩と発展を追及している資本主義のあり方に警鐘を鳴らす著者の考え方は理解できた。 「よい経済学者であるためには、よい数学者であると同時によい哲学者でなければならない。経済学は数学に肩入れしすぎて、人間的な要素をおろそかにしてきた」p13 「現代人は進歩という概念に毒されているが、古くはこの概念は存在しなかった。時の流れは循環的であるとされ、人間が歴史に足跡を残すとは考えられていなかった」p18 「社会が全体として高度化するほど、その構成員は個人として独力では生き延びられなくなる。社会の分業が進むほど、生存に関わる程度にまで相互依存の度合いは高まる」p40 「14世紀のヴェニスでは、ユダヤ人といえば金貸しだった。経済史家のニーアル・ファーガソンが指摘するとおり、シャイロックが「アントニオはいい人間だ」と言うとき、それは倫理的によいという意味ではなく、返済能力を備えているという意味である。ユダヤ人が、金貸しはどの職業よりいい商売だと知ったのは、この頃である」p117 「プラトンもアリストテレスも、労働は生きるために必要とみなしていたものの、それは低い階級のやることだと考えていた。そうすればエリートは労働に煩わされることなく「純粋に精神的な活動すなわち芸術や哲学や政治」に専念できる。アリストテレスは、労働は「堕落であり時間の無駄であって、真の名誉への道を妨げる」とさえ考えていた」p123 「安息日は生産性を高めるために設けられたのではない。安息日は絶対であって、主が天地創造の七日目に休んだ例に倣っている。主は疲れたから、あるいは元気を回復するために休んだのではなく、大仕事を成し遂げたから休んだ。仕事をやり遂げたら、達成感に浸り、成果を楽しむ。七日目は、楽しむための日なのである」p125 「(クセノポン)家具であれば、家に十分整えればそれ以上は買わないものだ。だが銀の場合は、どれほど所有しても、これ以上いらないと言う人はいない」p148 「(マンデヴィルの平和な蜂の世界)この社会で起きたことはこうだった。蜂はいよいよ栄えてよい暮らしをするどころか、まったく逆のことが起きたのである。窓枠もドア飾りもいらない社会では、一握りの鍛冶職人しかいらない。一事が万事で、多くの蜂は職を失ってしまった。判事、弁護士、検事も失業し、法の執行を監督する役人も不要になる。贅沢も暴飲暴食もなくなり、需要が激減して、農夫、執事、靴屋、仕立屋は商売が立ち行かなくなった。好戦的だった蜂社会は平和志向になり、軍隊は廃止される。あわれ大勢の蜂は死に絶え、ごく少数だけが生き延びる」p262 「悪徳は有効需要を増やす相乗効果に相当し、経済の牽引力となる」p265 「アルコール中毒患者が飲んでも飲んでも飲みたくなるように、消費は本質的には中毒と同じではあるまいか」p312 「経済学は「稀少資源の配分」の学問とされているが、では資源が豊富になったらどうするのか」p340 「私たちは、感謝し満足することを知るべく努力しなければならない。信じられないほど貧しかった古代の哲人に比べれば、少なくとも物質的には何百倍も豊かな状況にあるのだから」p347
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無味乾燥で数式とCeteris paribus(他の条件が一定なら...)のオンパレードとなった経済学を、倫理と哲学の視点からRe-buildを諮るユニークな一冊である。 アダム・スミスの代表的著書が『国富論』と並び『道徳哲学論』であることを考えれば当然なのだが経済活動と道徳は...
無味乾燥で数式とCeteris paribus(他の条件が一定なら...)のオンパレードとなった経済学を、倫理と哲学の視点からRe-buildを諮るユニークな一冊である。 アダム・スミスの代表的著書が『国富論』と並び『道徳哲学論』であることを考えれば当然なのだが経済活動と道徳は呉越同舟である。しかし皮肉なことにアダム・スミスを契機に無機質化した経済学に再度有機的要素の復権を試みる。ギルガメッシュ叙事詩や新旧約聖書、ギリシャ哲学のなかに経済学的要素を見出し、特にマンテヴィルの「蜂の寓話」の非効率非対称だからこそ経済は発展する例えは示唆に富む。 「不足感が不足を生む」「数学はエレガントに創っているからエレガントに感じて当然」など、セドラチェク氏の逆説的論法が小気味良くて面白い。途中までは知的で大局的な内容であったが、最後で「人間的な地に足の着いた経済活動を」的なこじんまりした結論を語っているのでそこは不要だったかも。 倫理に根差した自然発生的な人間の経済活動を、「神の見えざる手」を起点に「アニマル・スピリッツ」から第三者の象牙の塔が何やら得体の知れないものとして扱い始め、ゲーム理論など一周回って余計難解な解釈に行き着いてしまっている。今一度基本に立ち返って経済を考える時期にきたのでは、という警鐘を鳴らす本であった。
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「本書は機械論的・強権的な主流派経済学に対する批判の書である」…私の習ったサミュエルソンの経済学はまるで数学書のようでしたが、セドラチェクはこれをほんの一時期の一部分を捉えたものとしています。それは言ってみればアダムスミスの「国富論」の中のほんの一言「見えざる手」を取り上げて発展...
「本書は機械論的・強権的な主流派経済学に対する批判の書である」…私の習ったサミュエルソンの経済学はまるで数学書のようでしたが、セドラチェクはこれをほんの一時期の一部分を捉えたものとしています。それは言ってみればアダムスミスの「国富論」の中のほんの一言「見えざる手」を取り上げて発展させたものなのだと。「国富論」が片足なら、「道徳感情論」がもう片足で、両方なくして経済学は立つことはできない。それこそがスミスの主張だったのだと。何千年もの間、経済は道徳、倫理、哲学などを含んでいた。ギルガメッシュ叙事詩から旧約新約聖書、ギリシャ哲学から中世の神学、ありとあらゆる古典の中に経済学的叙述は多数含まれていた。それなくして経済を考えるべきではないのだ。…うーん、これは死ぬまで一定の影響を私の中に残すでしょう。今年のNo.1ですね。
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ピケティさんの資本論が統計学と数学を用いた現代経済の分析なら、本書は哲学と歴史から分析した経済学の再定義であり、どちらも読むと良いと感じた。著者は「欲望の経済史」でも取り上げられていた若き天才セドラチェク。経済学に関する本なのに数式やグラフは一つも出てこない。むしろ、神話、ローマ...
ピケティさんの資本論が統計学と数学を用いた現代経済の分析なら、本書は哲学と歴史から分析した経済学の再定義であり、どちらも読むと良いと感じた。著者は「欲望の経済史」でも取り上げられていた若き天才セドラチェク。経済学に関する本なのに数式やグラフは一つも出てこない。むしろ、神話、ローマ・ギリシャの哲学者やキリスト教などとの関わりから経済学を語る手法で、こちらが本来の姿ではないかと思う。
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