1,800円以上の注文で送料無料

屋根裏の散歩者 他六篇 の商品レビュー

3.9

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/05/22

初めての江戸川乱歩の作品 以前電車に乗ってた方が、江戸川乱歩の小説を読んでいて毒々しい表紙に惹かれました。 この本は世にも奇妙な物語みたいに、奇妙なゾワっとする短編が掲載されています。 表題の屋根裏の散歩者もいいですが、私は目羅博士の不思議な犯罪がお気に入りです。 鏡のトリ...

初めての江戸川乱歩の作品 以前電車に乗ってた方が、江戸川乱歩の小説を読んでいて毒々しい表紙に惹かれました。 この本は世にも奇妙な物語みたいに、奇妙なゾワっとする短編が掲載されています。 表題の屋根裏の散歩者もいいですが、私は目羅博士の不思議な犯罪がお気に入りです。 鏡のトリックや目羅博士のおぞましい姿を読みながら、ゾワッと悪寒が走りました。

Posted byブクログ

2023/12/16

デビュー100周年、自分と乱歩が出会ってもう10年ほど…せっかくと思い春陽堂の魅惑的な表紙の本作を購入。 うちの高校にあった乱歩の本も春陽堂でした。当時はこの表紙の毒々しさが魅力的であり、持っていることに変な後ろめたさがあって買うのではなく借りて読んでいました。 さて、本書は表...

デビュー100周年、自分と乱歩が出会ってもう10年ほど…せっかくと思い春陽堂の魅惑的な表紙の本作を購入。 うちの高校にあった乱歩の本も春陽堂でした。当時はこの表紙の毒々しさが魅力的であり、持っていることに変な後ろめたさがあって買うのではなく借りて読んでいました。 さて、本書は表題作「屋根裏の散歩者」の他「鏡地獄」や「目羅博士の不思議な犯罪」といった名作六編の短編集です。個人的に好きな「鏡地獄」はいつ読んでも狂気と恍惚感が感じられ、「目羅博士の不思議な犯罪」もまた奇々怪々とした世界観に酔いしれてしまいました…! 改めて乱歩の作品に触れてみて、新たな発見として「虫」と呼ばれる作品を楽しめたことに驚きました。 学生の頃はこの作品を読んでもあまり楽しめず、おそらくは題名の虫が頭から離れなくて純粋に読めなかったんだと思っていました。 乱歩の「虫」は内気な青年が恋を意中の女性に打ち明けるも嗤われ、自身も嗤ってしまうことが発端となり恐ろしい犯罪に手を出してしまう話です。 この主人公の青年は愛に対して誰よりも飢えているのに他人を前にすると平常心でいられなくなり、人とうまく関われないコミュ障のような人物です。その結果厭人的な世捨て人同然のような生活を送るようになったのですが、こういうところに自分は共感を覚えて読むことができました。 とくに主人公の幼少期は自分と重なり合うところが多く、自分も他人と壁をつくり人形(自分だとソフビ人形)と戯れていたので彼の気持ちがよくわかってしまう。 江戸川乱歩自体が羞恥しやすい人物であったがためか、人の裡に隠れる暗い恥部を描写するととてもわかり合えてしまう。乱歩の作品を読むと何かしら自分の内気な部分と重ねることができるものがあり、それが人の形を持って主人公として作品世界で闊歩しているような不思議な感覚を持てます。 乱歩作品の魅力としてはこうした人心の奥にあるコンプレックスのような暗いものと共振するところが多く、それが主人公となり一時の夢を叶えるところにあるのだと思います。しかもそれが儚くも美しく感じられる蠱惑的な終焉を迎え、その無常感によってより一層の美しさに酔える。 本当に好きな作家です。

Posted byブクログ

2023/03/27

久しぶりに江戸川乱歩が読みたいと思って、表題の作品目当てで図書館で借りた。江戸川乱歩らしいストーリーや表現で溢れていて満足。屋根裏の〜以外の作品は殆ど学生のころ読んだらしく既視感があったが久しぶりに読むと解像度が違って面白かった。 浅草の遊園地のことを「おもちゃの箱をぶちまけて、...

久しぶりに江戸川乱歩が読みたいと思って、表題の作品目当てで図書館で借りた。江戸川乱歩らしいストーリーや表現で溢れていて満足。屋根裏の〜以外の作品は殆ど学生のころ読んだらしく既視感があったが久しぶりに読むと解像度が違って面白かった。 浅草の遊園地のことを「おもちゃの箱をぶちまけて、その上からいろいろのあくどい絵具をたらしかけたような」とか、蜃気楼のことを「蛤の息の中に美しい竜宮城の浮かんでいる」(これは江戸川乱歩オリジナルの表現ではなく伝承からきたものかもしれない……)とか、月光のことを「冷たい火のような、陰気な激情を誘発し」「人の心が燐のように燃えあがる」「詩人ならずとも、月に無常を教えられる」とか、絶妙な表現。それのおかげで、出てくるキャラクターたちのような壮絶奇怪な経験なんて勿論ないのに、なんか「それそれ」という共感ポイントになる。 特に『虫』の、「この世界の人間どもの、意地わるのくせに、あつかましくて、忘れっぽい陽気さが、彼には不思議でたまらなかった。彼はこの世において、全く異国人であった。彼は謂わば、どうかした拍子で、別の世界へ放り出された、たった一匹の、孤独な陰獣でしかなかった」ってとこ、この"彼"はかなりの社会不適合者なわけだけど、誰しも弱ってひねくれてるときはこんな感じで"孤独な陰獣"と化しますよね

Posted byブクログ

2023/02/25

内容(「BOOK」データベースより) 郷田三郎は引っ越したばかりの下宿で、偶然、屋根裏への入口を見つける。異質な空間に魅力を覚えた郷田は、昼夜を問わず屋根裏を「散歩」し、天井の隙間から他人の隠された本性や生活の秘密を盗み見る興奮に酔いしれるようになる。ある日、彼は天井裏の小さな穴...

内容(「BOOK」データベースより) 郷田三郎は引っ越したばかりの下宿で、偶然、屋根裏への入口を見つける。異質な空間に魅力を覚えた郷田は、昼夜を問わず屋根裏を「散歩」し、天井の隙間から他人の隠された本性や生活の秘密を盗み見る興奮に酔いしれるようになる。ある日、彼は天井裏の小さな穴を利用した恐ろしい犯罪を思いつく。自殺として片付けられようとしたこの事件を、名探偵明智小五郎が明敏な推理力を発揮する… 令和5年2月24日~25日

Posted byブクログ

2022/05/13

奇妙な話が記してある本。 奇妙な人間の話なのだが、読んでいくうちに奇妙なのはこの世界そのものではないか?という気にさせられる。取り込まれるというか。怖いと不思議の境界線にあるお話し。 語り口調(というか語りそのまんまなお話もある)で読みやすく、展開もユーモアがあり面白かった。

Posted byブクログ

2020/09/21

先に読んだ人間椅子より難解だった。馴染みがない言葉が出てきたり、表現が独特で難しい。全体を通して常軌を逸した人間が数多く登場して、精神が蝕まれる気分。よくもわくるも気持ちが悪い。「虫」、「疑惑」がおすすめ。

Posted byブクログ

2016/05/15

人間が持っている変態趣向を表現した短編集。 表題作も好きであるが今回初めて読んだ虫が凄まじい。殺人事件を解決する話は数多あれど死体処理に狂気と美学と破滅を盛り込んでいるのは鬼才。

Posted byブクログ

2015/10/03

深淵を覗きこんでしまった人間の末路を語る短編集。春陽堂の、活字が大きくなって解説が付いた新版で読んだ。収録作品は、屋根裏の散歩者/鏡地獄/押絵と旅する男/火星の運河/目羅博士の不思議な犯罪/虫/疑惑、の7篇。 「屋根裏の散歩者」犯罪者側から見た推理作品だが、その窃視趣味的倒錯も...

深淵を覗きこんでしまった人間の末路を語る短編集。春陽堂の、活字が大きくなって解説が付いた新版で読んだ。収録作品は、屋根裏の散歩者/鏡地獄/押絵と旅する男/火星の運河/目羅博士の不思議な犯罪/虫/疑惑、の7篇。 「屋根裏の散歩者」犯罪者側から見た推理作品だが、その窃視趣味的倒錯も魅力の一つ。明智小五郎登場作品。 「鏡地獄」鏡に魅了された男が行き着いた恐るべきアイデアとは。 「押絵と旅する男」列車の中で出会った男が大事に携えていた押絵にまつわる奇譚。 「火星の運河」幻想詩的味わいのある小品。 「目羅博士の不思議な犯罪」ある日作者が出会った青年が語る、不思議な犯罪の顛末。 「虫」厭人癖の男による偏執的犯罪の物語。心臓を締め上げられるような切ない気分になった。 「疑惑」精神分析的推理小説。

Posted byブクログ