おバカさん の商品レビュー
フランスからやってきたナポレオンの子孫ガストン.そのバカと見まごう無私の行動が引き起こす顛末.彼は何をしに日本に来たのか謎を残しつつその姿を消した.キリスト教信者らしい遠藤周作のイエスの一つのありかたのようだ.
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この作品を読んで思い出した、いつかどこかで読んだ遠藤周作の言葉↓。 神も仏もないというところから信仰は始まる。 私が神を捨てられないのではなく、神が私を放してくれない。
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再読だがすっかり忘れてる。昭和34年に朝日新聞連載とあるからリアルタイムでも読んでいるはず。軽快なノリの小説で当時の風俗を楽しめる。いや私などものすごく郷愁を感じてしまった。 『おバカさん』ことガストン・ボナパルトは『わたしが・棄てた・女』の主人公森田ミツの男性版。すなわち悲し...
再読だがすっかり忘れてる。昭和34年に朝日新聞連載とあるからリアルタイムでも読んでいるはず。軽快なノリの小説で当時の風俗を楽しめる。いや私などものすごく郷愁を感じてしまった。 『おバカさん』ことガストン・ボナパルトは『わたしが・棄てた・女』の主人公森田ミツの男性版。すなわち悲しいほどお人よしで純粋、バカみたいな不思議な人。 彼がフランスから日本にふらりと来て、しでかす椿事にまきこまれる隆盛と巴絵の兄妹はごく普通だから、その落差をまず楽しめばいい。 あまりにもドタバタ劇を繰り広げてしまうガストン、なんで日本に来たのだろう?それもこの物語のポイント、作者の意図のひとつ。 ガストンと絡まる殺し屋の名が「遠藤」作者と同名。わざと命名したのだろうか。この「遠藤」にしろ、「隆盛と巴絵の兄妹」にしろ読者にちかい。とても「ガストン」のようにおろかにはなれない。 しかし、この普通ということがいかに「悪」かということも露呈してしまう。 そしてやがて哀愁に満ちたラストで、自分はなんて不純なのだろうと思う。なんてことないのだけれど読後ズーンと響いてくるから。
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著者、遠藤周作さんの作品、ブクログ登録は5冊目になります。 遠藤周作さん、ウィキペディアには、次のように書かれています。 遠藤 周作(えんどう しゅうさく、1923年〈大正12年〉3月27日 - 1996年〈平成8年〉9月29日)は、日本の小説家。 12歳の時カトリック教会...
著者、遠藤周作さんの作品、ブクログ登録は5冊目になります。 遠藤周作さん、ウィキペディアには、次のように書かれています。 遠藤 周作(えんどう しゅうさく、1923年〈大正12年〉3月27日 - 1996年〈平成8年〉9月29日)は、日本の小説家。 12歳の時カトリック教会で受洗。評論から小説に転じ、「第三の新人」に数えられた。その後『海と毒薬』でキリスト教作家としての地位を確立。日本の精神風土とキリスト教の相克をテーマに、神の観念や罪の意識、人種問題を扱って高い評価を受けた。ユーモア小説や「狐狸庵」シリーズなどの軽妙なエッセイでも人気があった。日本ペンクラブ会長。日本芸術院会員。文化功労者。文化勲章受章。 で、今回読んだ、『おバカさん』。 この作品は、1959年に刊行されたようなので、著者が37歳位の時に書かれた作品になります。 この本の301ページに、登場人物がその妹に語る、次の言葉を確認したくて、この作品を読みました。 「人間はみんなが、美しくて強い存在だとは限らないよ。生まれつき臆病な人もいる、弱い性格の者もいる、メソメソした心の持ち主もいる…けれどもね、そんな弱い、臆病な男が自分の弱さを背負いながら、一生懸命美しく生きようとするのは立派だよ」 60歳の私は、この言葉に、大いに勇気づけられました。
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ブクログのツイート企画で当選した本。 遠藤周作さんの作品は、学生の頃、女の一生2冊と何かホラーっぽい短編集を読んだぐらい。ただ、女の一生2冊は本当に泣いた。 この『おバカさん』はナポレオンの末裔であるガストンさんが日本に来るところから始まる。 全体的に面白さと悲しみがある。ガ...
ブクログのツイート企画で当選した本。 遠藤周作さんの作品は、学生の頃、女の一生2冊と何かホラーっぽい短編集を読んだぐらい。ただ、女の一生2冊は本当に泣いた。 この『おバカさん』はナポレオンの末裔であるガストンさんが日本に来るところから始まる。 全体的に面白さと悲しみがある。ガスさんの人柄が傍から見るとおバカに見えるけど、優しいの塊。こういう人が側にいたら、自分を恥ずかしく思うことも多々あるかもしれないし、なんておバカさんなんだろうと思うこともあるだろう。 それにしても、ガスさんとは…ナゾ。 次、ガスさんはどうなるんだろうと先を読みたくなる展開。 隆盛、巴絵、大隈、蜩亭老人、遠藤、ナポレオン(犬)どの登場人物もなかなかいい人たちで面白い。キャラクターがはっきりしている。 他の遠藤周作さんの作品も読んでみよう。
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ツイッターの投票企画で当選しました。 ありがとうございます。 装丁デザインだけみて選んだのでタイトルが私に対するメッセージのように思えました。洋書のようなペーパーバックです。 ナポレオンの末裔だというがそうはみえないフランスから船でやってきたガストンさんのその人となり・生き...
ツイッターの投票企画で当選しました。 ありがとうございます。 装丁デザインだけみて選んだのでタイトルが私に対するメッセージのように思えました。洋書のようなペーパーバックです。 ナポレオンの末裔だというがそうはみえないフランスから船でやってきたガストンさんのその人となり・生き方がこの本の魅力だと思いました。まだ外国人が珍しかった時代の人々の反応。生きるってきれいごとばかりじゃないけど、一生懸命や真面目・思いやりまた、損得で物事は動くもんじゃない。そういうのが素直にいいなと思わせてくれる作品でした。出会えてよかったです。
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▼電子立ち読みあります▼ http://shogakukan.tameshiyo.me/9784093522083 純なナポレオンの末裔が珍事を巻き起こす。 春のある日、銀行員隆盛の妹、巴絵に一通の手紙がシンガポールから届く。姿を現したのは、フランス人、ガストン・ボナパ...
▼電子立ち読みあります▼ http://shogakukan.tameshiyo.me/9784093522083 純なナポレオンの末裔が珍事を巻き起こす。 春のある日、銀行員隆盛の妹、巴絵に一通の手紙がシンガポールから届く。姿を現したのは、フランス人、ガストン・ボナパルト。ナポレオンの末裔と称する見事に馬面の青年は、臆病で無類のお人好し。一見ただのうすら“おバカ”だが、犬と子どもに寄せる関心は只事ではない。 変質者か? だが、すれっからしの売春婦をたちまち懐柔したり、ピストルの弾丸を相手の知らぬ間に抜き取るなど、はかりしれない能力も垣間見える。 そして行く先々でその生真面目さから珍事を巻き起こしていく。日本に来た目的は?その正体は?そんな“おバカ”な一方で、彼は出会った人々の心を不思議な温かさで満たしていく。 遠藤周作、得意の明朗軽快なタッチながら、内に「キリスト受難」の現代的再現を意図した心優しき野心作。
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