国を蹴った男 の商品レビュー
人を使うこと、人を信じることの難しさが身にしみる。 相変わらず伊東イズムは漢の牢人衆や武将、高名な茶人、無名の鞠職人に至るまで義を貫く生き方の人選が絶妙。結果その先に死が待っているのだけど、家や子に縛られる女にはできない生き方に惚れ惚れしてしまう。でも、義に死なず汚名や恨みを買っ...
人を使うこと、人を信じることの難しさが身にしみる。 相変わらず伊東イズムは漢の牢人衆や武将、高名な茶人、無名の鞠職人に至るまで義を貫く生き方の人選が絶妙。結果その先に死が待っているのだけど、家や子に縛られる女にはできない生き方に惚れ惚れしてしまう。でも、義に死なず汚名や恨みを買ってでも生き延びてほしい妻の本音も分かるなぁ。どちらを選んでもそこが十人十色の人間のおもしろさ、間違いじゃないと思いたい。 表題作は短編にしておくのがもったいないほどの底光りある逸品。
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勝者がいれば敗者が存在する。 本書はその敗者に焦点を当てた短編集。 ただ、敗者といっても勝者との違いはホント紙一重だったと感じる。また、それとともに彼らの生き方に非常に感銘する点多く、その情景が浮かんできそうなくらいリアルに描かれており、面白い時代小説でした。
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6編収録の歴史小説短編集。 伊東潤さんの作品は”熱い”です! 戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を 描くからか、伊東さんも作品を書いている時、 アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの ではないかと自分は感じています。 そのアドレナリンが作品を通して読者である 自分...
6編収録の歴史小説短編集。 伊東潤さんの作品は”熱い”です! 戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を 描くからか、伊東さんも作品を書いている時、 アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの ではないかと自分は感じています。 そのアドレナリンが作品を通して読者である 自分に伝わってくるように思います。だから ”熱い”のです! どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を 描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に カッコいい作品です。 「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後 まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が 凄まじくそして素晴らしいという言葉につきます! 「毒蛾の舞」は武将という男同士の戦いという面 だけでなく、女の強さや妖艶さ、計算高さ、そして それに翻弄される男の姿を描いた、他の作品とは また違った意味で非常に中身の濃い短編になって います。 表題作の「国を蹴った男」は蹴鞠職人の男が主人公。 身分を越えた絆の強さや、選択を迫られる場面、 そして時代に翻弄された男の切なさなど、傑作 揃いの短編集の中で表題作を飾ったのも納得の 読み応えでした。 各短編に共通するのは歴史上の敗者たちの物語です。 そのため表舞台でなかなか語られることのない彼らの 物語に対し、伊東さんは敬意を持って新たに魂を 吹き込んでいる、そんな風に読んでいて感じました。 文庫表紙の著者紹介で伊東さんが「高校生直木賞」 なるものを受賞されていると紹介されていたのですが、 それもなんとなく分かります。 これは過去一年の直木賞候補作の中から、 高校生が直木賞を決めるという企画らしいのですが、 これだけ物語に魂を込められる伊東さんの物語ならば、 歴史小説というある程度読み手の年齢層が固まって しまうジャンルでも、それに関係なく読み手の心に 届くはずです。 小説のジャンルの幅が狭くなっている昨今、 いろんな世代に伊東潤さんの熱い小説が読まれて ほしいな、と思います。 第34回吉川英治文学新人賞
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信玄や信長、秀吉は天下に手を伸ばした名将でありながら、ときに義を忘れ欲から逃れられずに生涯を閉じた。一方で、彼らに翻弄されつつも、恩を重んじ、自らの信念を貫き通した者たちがいた。明日なき乱世で、誇り高き牢人、茶人、職人らが命を賭して挑む、それぞれの戦いを活写する。
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