随想 春夏秋冬 の商品レビュー
著者は作家として自信がつくまで、座右に明の呂坤の「呻吟語」を置いて自分を律していたそうだ。そういう襟を正した感じがこのエッセイ集にも漂っている。作家になる前の若い時のことや結婚の時のこと、旅行の話など、この人の小説の小気味よく決めていく文章と同じスタイルで書かれている。俺はこう思...
著者は作家として自信がつくまで、座右に明の呂坤の「呻吟語」を置いて自分を律していたそうだ。そういう襟を正した感じがこのエッセイ集にも漂っている。作家になる前の若い時のことや結婚の時のこと、旅行の話など、この人の小説の小気味よく決めていく文章と同じスタイルで書かれている。俺はこう思うから何と言われようとこう書くという感じなので、そうそうそうだねと共感するわけではないが、一つの生き方を示されたようではある。愛知県の蒲郡出身なので親しみはわく。子どもの頃、実家から見た海がとても美しかったそうだ。
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エッセー集。うーん、この人の地元にはなじみがないこともあってか、印象にあまり残らない。書き味というか文体というか、そういうのも私に合わない。感覚があわない点があるというか。この人の生き方は好きな方なはずなんだけど。
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・石水院は高山寺内の建物で、国宝である。石水院のなかにはいり、明るい縁側にすわってみる優雅な赤松の多い山容は絶景である。京都では、どこかへゆくより、この風景を観るために石水院にきたほうがよい
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いやぁ、予想以上に面白かったです。 本書、宮城谷昌光氏の随想となっていますが、つまり昔の様々な出来事を思い出しながら執筆されたエッセイ集と言えるでしょう。 著者が、色々な出版物で依頼されたときの作品も多数含められているようです。 著者本人も、一人の作家の随想なんて読んでも、読...
いやぁ、予想以上に面白かったです。 本書、宮城谷昌光氏の随想となっていますが、つまり昔の様々な出来事を思い出しながら執筆されたエッセイ集と言えるでしょう。 著者が、色々な出版物で依頼されたときの作品も多数含められているようです。 著者本人も、一人の作家の随想なんて読んでも、読者はオモシロイとは思わないんじゃないかというようなコトワリを書かれていましたが、どうしてどうして、下手なショートショートを読むよりも格段に面白かったです。 著者については、歴史作家のイメージで定着していましたが、意外な側面を多数紹介されていました。 クラッシック音楽や陶磁器、カメラにのめり込んだ経歴の持ち主かと思えば、英語の学習塾をされていたり、かと思えば競馬で生計をたてていた時代もあるとか(笑)。 しかしいずれにしても、そののめり込みようが半端ではない。しかも、好奇心のアンテナの感度が素晴らしい。反応しないかと思う対象にも、反応してしまったりする。 博学で、しかもボキャブラリーが恐ろしいほど豊か。そして文章が美しい。カッコイイ作家ですね。よりファン度が増しました。
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氏の作品にしては異色。かなり笑わせられた。見合いの席で昌光氏が「今まで楽しかったことはありましたか」と問えば、聖枝氏は「何もありません」。昌光氏も「僕も」と応える。喋っている時間よりはるかに長い沈黙。また、細部を観察するあまり、どんな顔をしていたのかさえ覚えていないという有様。と...
氏の作品にしては異色。かなり笑わせられた。見合いの席で昌光氏が「今まで楽しかったことはありましたか」と問えば、聖枝氏は「何もありません」。昌光氏も「僕も」と応える。喋っている時間よりはるかに長い沈黙。また、細部を観察するあまり、どんな顔をしていたのかさえ覚えていないという有様。ところが脚を見て妻になりうると直感し1回の見合いで結婚を決める。何もかもが意味不明。真実をいたって真面目に書いているのだろうが捧腹絶倒の連続。英語が苦手なのに自虐性で英文科に入ったこと。大学4年間就職活動といったものを全然していなかったこと。若い頃のエピソードはどれも昌光氏らしい。ひょうひょうとして些かの虚飾もない宮城谷昌光氏。とってもいい。
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歴史小説作家 宮城谷昌光氏のエッセイ。見合いで妻を見て、一目で結婚することにした理由がユニーク。氏の私生活を垣間見ることができ、肩が凝らずに楽しく読み進めることができる。
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エッセイ集である。採録された物はこれまでこうして単行本としてまとめられなかったものばかりと思われるが、年代や初出の先がバラバラである。 古くは91年の物から、最近では14年の物まで、元は小説新潮での連載が半ば以上を占めている。 その意味で、前半の小説新潮連載分のまとまりに比...
エッセイ集である。採録された物はこれまでこうして単行本としてまとめられなかったものばかりと思われるが、年代や初出の先がバラバラである。 古くは91年の物から、最近では14年の物まで、元は小説新潮での連載が半ば以上を占めている。 その意味で、前半の小説新潮連載分のまとまりに比べると、全体的にはやや雑多な感も否めないが、なんにせよ、ひさびさに宮城谷先生の随筆に触れさせていただいた。やはり上手い。描写の美しさに心惹かれるところなど、らしいなと。 写実的な描写が写真趣味から来ているだろうことを指摘しているところなどは興味深く読ませていただいたし、見合いの話などの私的な話は初出であろう。 ファン向けではあろうが、良い一冊だった。星としては四つ半と評価している。
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