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切り捨てSONY の商品レビュー

3.7

23件のお客様レビュー

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2024/05/16

ソニーは1945年に創業され、現在はグループ全体で11万人の従業員を抱え、年間11.5兆円の売上をあげる日本を代表するコングロマリットである。 本書はそんなソニーの栄光の歴史を、「リストラ」という負の側面から捉えた本である。 基本的にはソニーでリストラに遭った人、「リストラ部屋...

ソニーは1945年に創業され、現在はグループ全体で11万人の従業員を抱え、年間11.5兆円の売上をあげる日本を代表するコングロマリットである。 本書はそんなソニーの栄光の歴史を、「リストラ」という負の側面から捉えた本である。 基本的にはソニーでリストラに遭った人、「リストラ部屋」に送られた人、リストラを通告する側だった人、などへのインタビューで構成されている。 2015年出版。 テーマがテーマなので全体的に暗く、構成や魅せ方が大して上手いわけではないので読んでいて面白い本ではなかったが、大手日系メーカーで勤務する自分にとっては色々と考えさせられる内容だった。 ソニーがリストラを続けるのは業績が悪いからであり、当然社員への嫌がらせではない。会社を生かすためである。本書はそこを切り取って批判的に描いているが、それはフェアではないだろう。 また批判の根拠として、「リストラを断行し続けるソニーの現状は、創業時に井深大や盛田昭夫が描いた理想とはかけ離れているから」というものが度々出てくる。 しかし、新しいものを生み出して組織を拡大させていく草創期と、食わすべき社員とサプライチェーンを持ち、組織を維持する必要がある成熟期では、求められる経営がまったく違う。ここにソニーの苦しさと葛藤があると個人的に思う。 本書における著者の描写にはこの視点がまったく抜けている(故意にかも知れないが)。 実際、ソニーは苦しい停滞期を乗り越えて、ポートフォリオを大きく変えながらも現在は高水準の利益を安定して稼ぎだすようになった。これはソニーの「リストラ:再構築」がこれ以上なく上手くいった結果だろう。 マルクスが指摘した通り、「企業の利益」=「従業員が生み出した剰余価値」である。 つまり、会社が儲かっていないのは、従業員が生み出す付加価値よりも給料をもらいすぎているからだ。 勿論、すべてが従業員の怠慢の結果ではなく、ビジネスの構造、景気サイクル、或いは経営上の悪手に起因しているものもある。それは否定しない。 とはいえ、私自身が大手日系メーカーの中で見る限り、付加価値を生めていない高級取りが多過ぎる。 彼らは往々にして保守的で、受け身で、視座が低く、そのくせに文句だけは一丁前で、自分が居なくては会社が回らないという幻想を抱えている。 そんな社員を抱えていてはビジネスとして利益が出るわけがない。彼らを捨てて、前に進まなければ一緒に沈んでしまう。 だから、本書で描かれるようなソニーのやり方も正しいと思ってしまう。 一度雇ってしまうと簡単に社員を辞めさせることが難しく、アメリカのようにレイオフもできない日本では、ソニーが断行してきた降格人事が最適解なのだ。 耳あたりの良い理想論だけを振りかざしていても成長を続けられる生温い時代はもう終わった。辛く厳しいビジョンの果てにしか改革はない。日本企業はマインドを変えなければならない。 その意味で、没落した東芝や台湾企業に身売りしたシャープよりも、ソニーは日本企業としての矜持を持った立派な会社だと思う。 カバーの裏に「It's not SONY」と書かれているが、それは間違っている。 本書のテーマであるリストラも含めてソニーの歴史であり、苦難と闘いを反映したものだ。これこそがソニーなのだ。 長々と述べてきたが、本書はこのようなことを改めて考えさせられる本だった。

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2022/11/06

出井、ストリンガー、平井の経営陣に対する批判が中心となった著書。出井や平井の著書と両面を読まないと誤解を招くリスクがあるが、現場の終わらないリストラの理不尽さを緻密な情報収集を元に述べた濃度は評価に値する。

Posted byブクログ

2021/07/27

世界のソニー、日本の技術の素晴らしさを体現し、輝いたソニー。最近は、エンタメ事業で輝きを戻しつつあるソニー。そのソニー復活の裏で行われた凄まじい首切り。時の厳しい経済環境があるもトップが変わるとこうも変わるのかと驚くばかり。創業者の井吹氏や盛田氏の様な人物が居たらと思わずには、い...

世界のソニー、日本の技術の素晴らしさを体現し、輝いたソニー。最近は、エンタメ事業で輝きを戻しつつあるソニー。そのソニー復活の裏で行われた凄まじい首切り。時の厳しい経済環境があるもトップが変わるとこうも変わるのかと驚くばかり。創業者の井吹氏や盛田氏の様な人物が居たらと思わずには、いられない。2020年、コロナで苦しみ、デジタル後進国に成り下がった日本、借金まみれの日本、そんな中でオリンピックを開催する日本。でもソニーで輝いたエンジニアの思いや開発力は、まだまだ続いていると思いたい。日本の復活を‼️

Posted byブクログ

2019/12/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ソニーの人切り、凄まじかったんだなぁと実感。今の業績V字回復は人件費削減にカメラセンサーのヒットがあったからで、、、東芝の半導体と同じで、コモディティ化しているから、一本足打法は業績のブレが半端ない、、、いつまで続くかなぁ

Posted byブクログ

2018/01/14

ソニーリストラ全盛期にリストラを余儀なくされた者、またはリストラを志願した者の心情や状況を描いた一冊。 初代社長井深、二代目社長盛田がソニーを成長させてきたが、当時のソニーは自由闊達な雰囲気であった。 それは出る杭を活かす、面白いものを創るというエンジニアにとっては楽園のような...

ソニーリストラ全盛期にリストラを余儀なくされた者、またはリストラを志願した者の心情や状況を描いた一冊。 初代社長井深、二代目社長盛田がソニーを成長させてきたが、当時のソニーは自由闊達な雰囲気であった。 それは出る杭を活かす、面白いものを創るというエンジニアにとっては楽園のような環境であり、その環境の中でソニーは成長してきた。 しかし出井、ハワード・ストリンガーに代替わりしていき状況は一変した。 彼らは大規模なリストラを行う事によって利益を生み出そうとした。その結果今まで、技術的に優れていてもアウトプットが苦手な者・会社体制に反抗的な者等が処罰の対象となり、キャリアデザイン室と呼ばれるリストラ部屋に流されていった。さらに出井はリスクに対して慎重になり過ぎていたため、イノベーションが期待出来る製品を見送ってしまい国外企業を追いかける形となった。さらにストリンガーは役員を自分に賛同する者で固め、赤字経営の状態にも関わらず経費を無駄使いする程であった。 しかし最近ではソニーは平井に代わり、復活している様にも思えるが、ハワードの弟をソニーに迎える等、役員は未だハワードの影響下にあるように思える。 巨大な企業でもこの様な事態に陥る事は案外普通にあるんだなぁと。ではこの不安定な雇用の中でどう生きるかと言えば、組織の中で生存する事を目指すよりも、個人として生きてくためのポートフォリオを組む事が重要だと感じた。別の組織に移るにも、起業するにもその力の方が必要。

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2017/01/03

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062194594

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2016/12/30

山一證券の最後の姿を描いた「しんがり」の著者の清武英利氏がSONYのリストラの実情を元社員へのインタビューや取材をもとに書いた一冊。 全編を通して思ったのが、井深大、盛田昭夫という2人が創業した当初のエンジニアが面白いものを作るという社風や魂というものがハワード氏がCEOになっ...

山一證券の最後の姿を描いた「しんがり」の著者の清武英利氏がSONYのリストラの実情を元社員へのインタビューや取材をもとに書いた一冊。 全編を通して思ったのが、井深大、盛田昭夫という2人が創業した当初のエンジニアが面白いものを作るという社風や魂というものがハワード氏がCEOになった時代からなくなったことや創業者時代からあったご意見番とでもいうべき顧問制度が廃止されたことなどがリストラを頻繁に繰り返す凋落に拍車をかけたのではないかと感じました。 報道だけでは知ることのできない内情を当事者たちの取材から赤裸々に書かれているので、リアリティーを感じるとともに衝撃の連続でした。また、リストラを受け入れた方達の覚悟やその後についても書かれており、紆余曲折はありますがSONYというブランドを捨ててもその魂は生き続けているのだと感じました。 高度経済成長期に躍進した企業の1つでもあるSONYのリストラからみる現状を本書で知ることで日本経済、社会のリアルなイマを確認できる一冊だと感じました。

Posted byブクログ

2016/12/30

よくできた本でした。 どのような会社でも、組織人が増えてくると創業時の志とは違う方向で運営されてしまうことがある、ということなのでしょうか。 払ってもいい金額:1500円

Posted byブクログ

2016/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

遅ればせながら。 2015年4月刊行の本。 SONYにおけるリストラの実態が、リアルに描かれています。 リストラに追い込まれる社員の苦悩。 リストラを宣告しなくてはいけない上長の苦悩。 旗を振って、リストラを断行しなければいけない人事の苦悩。 次は自分かと怯える社員の苦悩。 これらの結果に苦悩し、SONYを後にする事業トップ。 そんな中において、社長は高額報酬を得てその座に収まっていることが繰り返し表現されている。 それぞれの社員の私生活から仕事の経歴まで、事細かにと描かれており、サラリーマンであるなら心重なる部分は少なくないんじゃないでしょうか。否が応でも引きこまれてしまいます。 ”もし自分に起きたなら” そんなことを感じずには居られませんでした。堪えますね。 読んでるだけで、胃がキュッと痛くなりました。 この本では語られなかったこの顛末の本当のキッカケや出井さん以降、社長の目線で起きていたこと、後日談として公開される日は来るのでしょうか。 魔法の特効薬は無いと思いますが、日本の良き時代を象徴するソニー、いずれ大復活を遂げて欲しいものです。

Posted byブクログ

2016/01/26

タイトルは非常に陰なテーマだけど、 読み進めるうちに不思議と発想を産み出させてくれる不思議な1冊。 もしかして、著者もsony大勢側の一員!?(笑

Posted byブクログ