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近代政治哲学 の商品レビュー

4.3

24件のお客様レビュー

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2024/05/18

封建国家による統治が限界を迎えた先にどのように近代国家の輪郭が形成されていったのか、その輪郭の骨子はなにかを、順に登場する各思想家の考えに沿って読み解いた本。 コテンラジオの「フランス革命編」を追体験し、より深く理解できたと感じる。 個人的におもしろかったのは、ぼんやりとしか捉...

封建国家による統治が限界を迎えた先にどのように近代国家の輪郭が形成されていったのか、その輪郭の骨子はなにかを、順に登場する各思想家の考えに沿って読み解いた本。 コテンラジオの「フランス革命編」を追体験し、より深く理解できたと感じる。 個人的におもしろかったのは、ぼんやりとしか捉えられていなかった封建国家の解像度が上がったことと、「行政権」を捉え直すことで「民主主義」という概念と実態のチグハグさが見えるようになったことか。 自身が組み込まれた政治体系をただ受け入れるだけでなく、主権の一部を担う民として政治体系を捉え直し自意識として組み込むことの重要性を主張しているように感じた。 国分さんの本は4冊目だけど、一貫してこの主張がなされている。 あとは「思想家」と「哲学者」の違いが見えたのもよかったな。根拠を提示せずにフレームを語るジョン・ロックは哲学者ではなく思想家だと感じた。 ただ、世の中を大きく変えるのは哲学者ではなく、置かれた現状を''上手に''説明する思想家なのだなぁとも。 いい本でした。

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2023/09/15

ジャン・ボダン、ホッブス、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カント。 スピノザもこの流れに入るんだ。ロックは哲学的じゃなかったんだ。 細部に驚きがあった。

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2023/04/02

各政治哲学者の思想が紹介されたうえで、「民主主義とは何か」を最後の問いを読者になげかける。 あまりに当然であり自明であった「民主主義」がいいという無邪気な精神から、すこし距離を置くことができたと思う。 あとがきのまとめ方が素晴らしく、読後感がすっきりする。

Posted byブクログ

2022/05/29

近代国家成立までの歴史や基本的な概念について。ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントの思想がコンパクトにまとまっており読みやすい。一般の教科書では「ホッブズは絶対王政を擁護した〜」とか「ロックは抵抗権を認めてた」のような記述がよく見受けられるが、解釈としてミスリーデ...

近代国家成立までの歴史や基本的な概念について。ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントの思想がコンパクトにまとまっており読みやすい。一般の教科書では「ホッブズは絶対王政を擁護した〜」とか「ロックは抵抗権を認めてた」のような記述がよく見受けられるが、解釈としてミスリーディングな部分もあり原文をしっかり読む必要性も感じた。

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2021/08/15

めちゃくちゃ勉強になった。難解な哲学をかなりわかりやすく書いているし、何より現代に引きつけて例示をしてくれたりしているので、一層わかりやすい。もちろん全て簡単に理解できるものではないので悩みながら読む時間は必要だけれど、一冊読み終わった時には自分の認識がかなりアップデートされてい...

めちゃくちゃ勉強になった。難解な哲学をかなりわかりやすく書いているし、何より現代に引きつけて例示をしてくれたりしているので、一層わかりやすい。もちろん全て簡単に理解できるものではないので悩みながら読む時間は必要だけれど、一冊読み終わった時には自分の認識がかなりアップデートされていることは間違いない。 特に立法と行政の関係は、言われたら難しい話ではないのに目から鱗だった。現役の公務員とか、実践の現場にいる人たちにも読んで欲しい一冊。 専門書という扱いではないけど、現代を生きるための大人の教養書、だと思う。

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2021/07/22

学生時代に全然ピンとこなかった「自然権」という考え方を、ようやく納得させてくれた本。 個人的に「主権とは立法権の事なのだけど、法律は抽象的なもの個別のケースにはそのままでは使えず、それを個々のものに落とすのは行政。だから行政は力を持ってしまう」という話がとても面白かった。

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2020/10/22

主要な政治理論を明晰にまとめている。多くの学者がごまかしているロック政治論の欺瞞性を指摘しているのもよい。主権概念が立法権を中心に考えられてきたことを問題化し、強大な行政権力とどう向き合うかというところで終わる。個人的には、スピノザ・ルソー・カントの章がおもしろかった。

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2019/01/28

人が集まり、そこでできる、せざるを得ないルール作り。 それが、どんな「哲学」で成り立っているのか、それを整理する著書。 分かりやすい良著。

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2021/01/26

政治思想・哲学の書でスピノザを入れているのは著者の専門性ならではだろう。特徴的なのはロック批判か。P147の社会契約論3者の自然状態・社会状態・国家状態の整理は面白い。他方、自然法や自然権については整理されていないように思えるが、そもそも著者は自然法や自然権について懐疑的なような...

政治思想・哲学の書でスピノザを入れているのは著者の専門性ならではだろう。特徴的なのはロック批判か。P147の社会契約論3者の自然状態・社会状態・国家状態の整理は面白い。他方、自然法や自然権については整理されていないように思えるが、そもそも著者は自然法や自然権について懐疑的なようなので、整理する気もないのかもしれないが。カントで締め括り、立法・行政の観点から民主主義(民主政)への問いをしているのも著者独特の信条の表れに思える。 結論としては従来、立法≒主権としてきだが、法の運用者である行政の判断によって統治がなされるという今日的課題に政治哲学がもっとアプローチしていくべきとなっている。 講義内容がベースとの事だが、内容的にはスタンダードではない印象。が、このような解釈もあるのだなと勉強にはなるので読んで損はない。

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2018/02/12

タイトル通り近代政治哲学の主要な人物における理論、主張の概説なのだが、紹介されている7人の考え方にどのような差異があり、またどのように変遷を辿ってきたのか、そしてなおも解決されていない課題には何があるのか、という点に言及がある。結論といえるものはなく、最後はこちらへ投げる形で終え...

タイトル通り近代政治哲学の主要な人物における理論、主張の概説なのだが、紹介されている7人の考え方にどのような差異があり、またどのように変遷を辿ってきたのか、そしてなおも解決されていない課題には何があるのか、という点に言及がある。結論といえるものはなく、最後はこちらへ投げる形で終えているのは、その先は我々が、あるいは読者自身が考えるもの、ということだろう。平易な文章で読みやすかった。

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