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犯罪 の商品レビュー

3.9

91件のお客様レビュー

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2026/03/28

語り手の私は弁護士で、オムニバス形式で「犯罪」をえがく。犯罪者の背景も様々で、どの話も面白く、スラスラ読めた。

Posted byブクログ

2026/02/18

『犯罪』 シーラッハはわたしのお気に入りの作家の一人。 ドイツ文学は少し授業で齧ったりもしたけどこんなにも、のめり込む様な世界を与えてくれたのはフェルディナント・フォン・シーラッハだった。 「犯罪」と書かれた題名からして、そしてミステリーという区分に、きっとどんでん返しのスト...

『犯罪』 シーラッハはわたしのお気に入りの作家の一人。 ドイツ文学は少し授業で齧ったりもしたけどこんなにも、のめり込む様な世界を与えてくれたのはフェルディナント・フォン・シーラッハだった。 「犯罪」と書かれた題名からして、そしてミステリーという区分に、きっとどんでん返しのストーリーが待ち構えていると誰もが思うであろう。 11章の短編で構成されたこの本はとても読みやすく、ドイツ文学初心者の方でもするりと入り込める。 しかし、どんでん返しものではなく、現実の話のように「まあそうなるだろうな」と進む話が多い。至って単調な話の連続のように感じるが、彼の描くストーリーは調書や報告書など事務的なものから遠く、話の中には実に多種多様な背景を持ち合わせた登場人物で溢れている。 妻との約束を、妻にどんな目に遭わされても最後まで守った男、数字に囚われた強迫性障害の少年、メルヘンな残酷さを背負った寡黙な男の生きがいに、とんだカニバリズムを持ち合わせた青年(私はこの本を読んで性的衝動によるカニバリズムが、多くを占めることを知った) 気になったのは主人公が男性であることが多い、ことだ。男女比率だと男の方が犯罪を犯す確率が高いからだろうか? 最後に一つ、読んでいてとても気に入った言葉がある。 「狐は多くを理解するが、ハリネズミはただひとつ大事なことを知っている」  紀元前の詩の一節を物語に落とし込む彼のユーモアが非常に好きだ。

Posted byブクログ

2026/02/18

すごくタイプです。無駄なものや感情までもギリギリまで削ぎ落として読者に自分で考えることを突きつける。犯罪がテーマであるけれど普通のミステリーのようにヒントとか誘導とかがないのでひょっとしたらミステリーではないのかもしれないです。こんなにミニマムで先がわからずに驚愕することばかり。...

すごくタイプです。無駄なものや感情までもギリギリまで削ぎ落として読者に自分で考えることを突きつける。犯罪がテーマであるけれど普通のミステリーのようにヒントとか誘導とかがないのでひょっとしたらミステリーではないのかもしれないです。こんなにミニマムで先がわからずに驚愕することばかり。そして人間とはと考えさせられます。他の作品も読んでみます。

Posted byブクログ

2025/12/20

 続けてドイツ人作家の小説。本作の著者フェルディナント・フォン・シーラッハは、ナチ青少年最高指導者の孫だと云う。そんなの関係ねー!と思いつつ、不穏感が湧いてくるのが正直なところ…。  著者は弁護士の傍ら小説を書き始め、デビュー作の本作でドイツのクライスト賞、日本で2012年本屋...

 続けてドイツ人作家の小説。本作の著者フェルディナント・フォン・シーラッハは、ナチ青少年最高指導者の孫だと云う。そんなの関係ねー!と思いつつ、不穏感が湧いてくるのが正直なところ…。  著者は弁護士の傍ら小説を書き始め、デビュー作の本作でドイツのクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞。11篇の連作短編集ですが、それぞれにつながりはありません。  タイトル通り、罪を犯した人々の物語です。著者が実際に携わった刑事事件から着想を得たそうで、まるで11の刑事事件の実録?というほどリアルな印象です。しかし、ただの事件の羅列ではなく、描かれるのは人間の挫折・罪・素晴らしさです。  一般的な推理小説とはまるで別物です。弁護士の〈私〉から見た犯罪者を、加担も非難もせずに、淡々と誇張のない簡潔な筆致で綴る各短編は、極力無駄を削ぎ落としながら客観事実を重ね、犯罪者たちの人生が凝縮されたような描写です。  犯罪者もかつては「ただの人」だったはずで、私たちは一歩誤ると犯罪の道へ足を踏み入れてしまう危うさを孕んでいることに気付かされます。  そんなの関係ねー!と前述しましたが、弁護士として人の罪を検証し、調書を元にしてできた小説の行間に、祖父がナチ高官だったという出自がもたらす贖罪と孤独が潜んでいる、と考えるのは勘ぐり過ぎでしょうか?  著者は、人としての道徳心と法の境界線で、法制度の限界と人間への愛情を示している気がしてなりません。もはやミステリーではなく、濃密な人間ドラマと思える珍しいタイプの短編集でした。

Posted byブクログ

2025/11/28

11の短編を読み終わった時は、ほとんどの作品が怖かったと思った。殺人の描写がリアルすぎて想像できてしまうからだ。私は、あまりサスペンス系を読まないのでそう感じただけかもしれない。しかし、解説を読んで一気に見方が変わった。細かいところに張り巡らされている作者の文章を描く能力。あっと...

11の短編を読み終わった時は、ほとんどの作品が怖かったと思った。殺人の描写がリアルすぎて想像できてしまうからだ。私は、あまりサスペンス系を読まないのでそう感じただけかもしれない。しかし、解説を読んで一気に見方が変わった。細かいところに張り巡らされている作者の文章を描く能力。あっと驚かされた。1番最後のこれはりんごではない。というのがすごく考えさせられる文で、今までこんなような作品はなかったから面白かった。

Posted byブクログ

2025/11/05

淡々と無駄のない文章で語られる加害者、被害者の人生と彼らが辿った結末。 読了後、序文に書かれた作者の言葉が改めて胸に迫った。

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2025/08/16

以前にも読んだことがある作者のデビュー作。短編でありながら、短編ごとに長編を読んだ時と同じぐらいの満足感を得られるから、気に入っている作者の1人。 人が罪を犯す瞬間とそこに至る過程を通して、「犯罪とはかくも複雑なものである」と淡々と描いている。その、平坦さが好きだなと思った。

Posted byブクログ

2025/04/29

弁護士である『私』が出会った11の異様な『犯罪』を通して描かれるのは一見その辺にいるような『普通の人々』がふとしたことをきっかけとしてあっという間に『一線を越えてしまう』姿でありました。重いです。 表紙のおどろおどろしさに惹かれてつい入手して読んでおりました。筆者は現役の...

弁護士である『私』が出会った11の異様な『犯罪』を通して描かれるのは一見その辺にいるような『普通の人々』がふとしたことをきっかけとしてあっという間に『一線を越えてしまう』姿でありました。重いです。 表紙のおどろおどろしさに惹かれてつい入手して読んでおりました。筆者は現役の弁護士にして祖父はナチ党の幹部で全国青少年最高指導者という肩書きを持ったバルトゥール・フォン・シーラッハという方なのだそうです。 ここに収録されているのは全編が短篇小説で、その調書のような独特の乾いた文体で、『一戦を踏み越えてしまった人々』犯罪者達のありようやその人生を描いていきます。全編を貫くのはある種の『不条理さ』であり、一見、何の変哲も無い普通の人があることをきっかけに犯罪者へと転落していく姿がとてもやるせないものを感じさせてくれました。 そこに展開される哀しさや愛おしさというのはあるのかもしれませんが、やっぱりつらいものがあります。筆者はこういうことにおそらく日常的に接しているのでしょう。だからこういう本を書けたのかもしれませんが…。 『フェーナー氏』では『一生愛し続ける』と誓った妻を殺すという話で、『あれはしゃあないわなぁ…』と読み終えた後に感じておりました。 『タナタ氏の茶碗』はとある日本人実業家の家から街のゴロツキが金庫を盗むところから始まります。被害者は家宝の茶碗を是が非でも取り戻したいとあらゆる手を尽くすのですが…。『ガロテ』というキーワードを久しぶりに聞きました。 『チェロ』は裕福な家に生まれながらも、父親を嫌って家を飛び出し、二人だけで生きようとする姉弟のお話です。事故によって弟に障害が残り、チェロで生きていこうとした姉は…。というお話でこれも切なかったです。 『ハリネズミ』は犯罪一家に生まれた一人の人間が、警察に捕まった兄のためにあらゆる術を使って『無罪』を勝ち取る話です。主人公の末っ子は回りからバカにされていますが、実は驚くほど怜悧な頭脳の持ち主で、彼がそれを駆使する姿は圧巻でした。 『幸運』では戦争から逃れるためにドイツに不法入国し、売春で生計を立てる女性と、その恋人のお話です。『仕事中』に死んでしまった名士の遺体をどのように扱うかで物語が展開されていきます。運命に翻弄される二人が切なかったです。 『サマータイム』は不倫相手の女子大生を殺してしまったということで逮捕されてしまった実業家とその女子大生の彼氏との間で繰り広げられる三角関係を描いたお話で、ちょっとしたボタンの賭け違いが大きなずれになっていくということを実感しました。 『正当防衛』これが正直僕の中では一番好きな話で、電車の中で二人のネオナチに絡まれた男が、彼らを冷徹に殺し、警察に拘留されるという話で、彼は正当防衛を適応を検討するかどうかがミソなのですが、彼には自分を証明するものが一切無く…。そこが気に入らないということで、やきもきする刑事と弁護士である筆者とのやり取りは面白かったです。 『緑』は羊の目を恐れ、羊を殺しては眼球をくりぬくというグロテスクなことを続ける伯爵家の御曹司が主人公で、父親が持ち主の農夫にすでに弁済を済ませていたのですが、近所の少女は行方不明になるというお話です。少年が見つめていたものは…。ラストが少しつらかったです。 『棘』は彫像の『棘を抜く少年』の棘がどうなったか気になって仕方のない博物館警備員のお話で、最後の最後のカタルシスによって彼は救われたのかと未だに首を傾げてしまいます。 『愛情』は愛する女性の背中をナイフで切った青年が主人公で、本人は『事故』だと主張するのですが…。ラストを見て複雑な気持ちになりました。 『エチオピアの男』これはとても感動的なお話で、うまくいかない人生の末に銀行強盗をやらかした男がエチオピアに逃れ、逃亡先の町を豊かにするというお話で、この物語が唯一といっていいくらい『希望』をはっきりと感じさせるラストでございました。 何というのか…。全てのお話は『一筋縄ではいかない』ものばかりですが、よろしければ一読をという表現とどめます…。 ※追記 本書は2015年4月3日、東京創元社より『犯罪 (創元推理文庫)』として文庫化されました。

Posted byブクログ

2025/02/03

弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。 現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍...

弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。 現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍は〜レベル」といったような暗黙の既成観念があるように感じ、それを覆せなかった人々による犯罪は、日本にいるとあまりピンとこないように思った。読み進めると、痛々しくて生々しい人々の叫びが文中から聞こえてくるようで、淡々とした「私」視点も相まって、一篇一篇にキツイ読後感を味わうこととなった。 後書きを読んでもう一度本文を読み直したのだが、確かに全部の話にリンゴが登場しており、作者の仕掛けたちょっとしたトリックに驚かされた。「これはリンゴではない」なるほど、確かに。

Posted byブクログ

2024/11/16

東京創元社のフェアで気になり購入。犯罪者と聞くと別世界の話に感じるけど、私たちはたまたま罪を犯していないだけであって、抱える愛も悲しみも彼らと何ら変わりないことを感じる。誰かに肩入れをせず物事を平に見つめた淡々とした文章も良かった。お気に入りは、「フェーナー氏」と「チェロ」。&q...

東京創元社のフェアで気になり購入。犯罪者と聞くと別世界の話に感じるけど、私たちはたまたま罪を犯していないだけであって、抱える愛も悲しみも彼らと何ら変わりないことを感じる。誰かに肩入れをせず物事を平に見つめた淡々とした文章も良かった。お気に入りは、「フェーナー氏」と「チェロ」。"物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ" 人間の感情は自分ではどうしようもできない、理屈では説明できないことも多くとても難しいものだけど、だからこそきっと愛おしい。

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