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デビュー作を書くための超「小説」教室 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2015/05/09
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要約 1章まずは、新人文学賞選考会について知ろう ・新人文学賞は日本独自のシステム ・作家たちのギルドへの招待 ・完成度より可能性を重視する ・新鮮さ独創性をてらうのならむしろジャンルを超えた新人賞に応募するのも意表を突ける 2章つづいて、選考委員について知ろう ・文学史の地図を片手に持って読んでいる人もいる ・名も無き怪物を求めて冒険に高い評価をつける ・幻の作品を読む人種 ・読むことにフェアであるように ・「分からない」のススメ;選考会場で話し合う 3章いよいよ、新人作家の条件を考えよう ・「読む他者」を書き手自身の中に持つ;自分の中に「書く他者」「読む他者」両方必要。 ・高度な恥じらい;「人間は皆自分のことしか考えていない」など、金言やアフォリズム、分かっているのに普段口に出して言わないことをわざわざ書く。書く方だって本当は恥ずかしい。わざわざ言うまでも無い無粋なことを敢えて書く恥じらいをもって、小説が面白くなる。恥じらいをふくんで敢えて書く。いい小説は少し過剰。少し言い過ぎる。それをのびのび発揮できるのがデビュー作です。限界を超えて自分を解放して良いのです。 ・ただしい暴走「小説という概念を拡張しようとする無謀な挑戦」として何にも臆せず誰の顔色も伺わず、妙な目配せなんか覚えなくていい。どうしようもなく作ってしまう、という情熱によって「暴走」を何度か繰り返して漸く形になっていく。それで良い。 ・ブレイクスルーする;暴走を何度か繰り返してただしい暴走にたどり着けたとき、訪れる。これを迎えていないと作家になるのは難しい。でも完成度が高ければあるいは後からこれがついてくる。 ・「生きているうちに、見つけてくれて、ありがとう」 4章2000年以降、全選評;ここが大変参考になるが、書の約半分を割いており、字が細かいのでボリュームがある。「評価する他者」の視線をつぶさに感じられる。 @@@ 基礎の基礎は修了し、ブレイクスルーの壁を前にしている人向けと感じた。小説、とは何かを考える一助になるだろう。しかし肝心のブレイクスルー、正しい暴走、言い換えれば作家独自の確固たる個性の確立(固定観念から脱却し思考を自由に保ちながら、文章日本語としての法則を自分のものにできている状態)へ具体的にどうやって到達するかは、当然書かれていない。まあ当たり前だけど。小手先じゃ無くて本質で勝負してよ、が新人賞の特徴なのかなと思った。 選考委員の厳しくて暖かいまなざしを知ることが出来る一冊。

Posted byブクログ

2015/04/30

将来小説家になりたいと夢見る人はもちろんのこと、ただ単に小説が好きな人でさらにいうと新人賞受賞作はとりあえず読んでるって人は、ノウハウ的なの抜きにして楽しめると思う。事実読んでいて魅力が詰まりすぎていてでくらくらした。あの作家のデビュー前の選考秘話的なのもあり。とくに中原中也賞受...

将来小説家になりたいと夢見る人はもちろんのこと、ただ単に小説が好きな人でさらにいうと新人賞受賞作はとりあえず読んでるって人は、ノウハウ的なの抜きにして楽しめると思う。事実読んでいて魅力が詰まりすぎていてでくらくらした。あの作家のデビュー前の選考秘話的なのもあり。とくに中原中也賞受賞した川上未映子さんのエピソードと、ペンネームのインパクトの山崎ナオコーラさん、さらに完成度が高すぎた故に優秀賞となった島本理生さん、村田沙耶香さんの箇所は強く印象に残った

Posted byブクログ

2015/04/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小説の新人賞という物がある。これは日本独自のもののようで、欧米では新人も出版社に直接作品を送るか、エージェントを雇うかするそうで、随分日本の方が門戸が開かれているようではある。 とはいえそれが狭き門であるのも確かで、毎年たくさんの新人候補が涙をのんでいることに変わりはない。 作家高橋源一郎が、新人文学賞の選考委員の目から、新人達をどのように迎えようとしているか、厳しくも温かいまなざしが見て取れる。 小説を書く。 そもそも一篇の小説を書き上げること自体が、遥か遠い夢のような、難しいものに感じる僕にとっては、どんな酷い小説であってもそれを書き上げただけで、既に選ばれた人なのではないかと思ってしまう。

Posted byブクログ

2015/03/24

高橋ファンなので期待はしてたけど、それをはるかに超える読み応え。著者の経験を交えて小説新人賞の選考について書きつつ、広く「読む/書く」とはどういうことか、みたいなところにまで射程が伸びていく。愛情あふれる文芸批評だと思った。

Posted byブクログ