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2023/04/30

あまり好きではなかった。これは姜尚中先生自身を慰める私小説であって、きっと作中で出てた“なぜ罪のない人が死ななければならないのか”“どう生きるのか”という問答めいた展開も先生自身の葛藤の中で見つけた最適解なのではないかと思い、深く共感ができなかった。この切り口は難しい。だからこそ...

あまり好きではなかった。これは姜尚中先生自身を慰める私小説であって、きっと作中で出てた“なぜ罪のない人が死ななければならないのか”“どう生きるのか”という問答めいた展開も先生自身の葛藤の中で見つけた最適解なのではないかと思い、深く共感ができなかった。この切り口は難しい。だからこそ宗教があり、神がいる。身近な大切な人を失ったエピソードをベースに良い話として仕立てているけれど、私はこれは文化人ならではの発想だと自分の中で切り捨ててしまった。 しかし、本当にわかりやすく美しい文章を書く人だと思う。

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2022/10/03

3.11の震災を経験し、ライフセービングで遺体の引き上げのボランティアをした青年の、生きるとは、死とはまた僕って何を深く問い詰めた本。  それでも生きろと励ましている本。姜尚中氏が息子を自死で失いながら息子へのオマージュにした本。

Posted byブクログ

2021/03/15

姜尚中の「心」を読みました。 まあちゃんさんが、いつかご紹介になった「生姜みたいな字を書く作家」。 (^_^) 姜尚中さんっていうと、本職は国際政治学者ですが、最近ではベストセラーの本をたくさん出されている作家として有名ですね。 もちろん、テレビや新聞でも売れています。 私とし...

姜尚中の「心」を読みました。 まあちゃんさんが、いつかご紹介になった「生姜みたいな字を書く作家」。 (^_^) 姜尚中さんっていうと、本職は国際政治学者ですが、最近ではベストセラーの本をたくさん出されている作家として有名ですね。 もちろん、テレビや新聞でも売れています。 私としては、東大教授(最近辞めた)よりも、ICUの準教授というイメージが強いのですが(昔から準教授という肩書きだったしとくに印象が)。 今年5月、テレビを見ていたら、姜尚中さんが、4年前に息子さんを自殺で亡くされたという話をしていました。うつ病で長年悩んでいた息子さんだったそうで、20代半ばだったそうです。 「悩む力」という姜さんのベストセラー本があります。新書で、私も読みました。発行年月日を見ると、2008年。 息子さんを亡くされる1年前なんですね。 悩む力で、いわば、大いに悩みなさいと説いた1年後に、「息子を死なせてしまったのは自分かもしれない」などと悩むとは・・・なんとも言えない運命というか。 ある大学での教え子が、東北で津波に流されて行方不明になっている人の死体捜索のボランティアをしているとのこと。彼に会って、自身の息子さんとダブり、小説を書いてみようと心に決めたそうです。5月にそのことを知って、すぐに図書館に予約を入れておきましたが、2日ほど前にやっと順番が回ってきて読みました。 姜さんは夏目漱石作品の評論でも有名ですが、読んでいて、ふと気付きました。漱石の「こころ」と少しシチュエーションが似ているなあと。「こころ」は、親友が自殺したのですが、「心」は病死。でも、共通の女性を好きになっているという点は同じ。 この小説では、青年とのメールでのやりとりを通じ、姜尚中さん自身が、まだ息子さんの死にまともに向き合っていない点を顧みて、必死にもがいている様子がうかがえます。ただし、小説としてはあまり面白いとうか、上手な作品ではありません。 ライフセービングの資格を持つ青年が死体を見つけるボランティア。 やっと見つけてくれたと家族に感謝される一方、中には、「どうしてこんな遺体を見つけたのよ」と怒る遺族もいるという。 それを含めて、全てを受け入れる。 していることは、「デス・セービング」。 なかなか深い言葉でした。

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2019/05/19

どう生きるか、死とは何か。 最初、青年がちょっと面倒な若者だなと思ってしまったのですが、先生が丁寧に対応していくうちに、私も少しずつ親しみを覚えた。 本当に「真面目」なんだと思う。 最後に「受け入れる」という先生の言葉に、本当にそうだなと感じた。ただ、若い頃はこの「受け入れる...

どう生きるか、死とは何か。 最初、青年がちょっと面倒な若者だなと思ってしまったのですが、先生が丁寧に対応していくうちに、私も少しずつ親しみを覚えた。 本当に「真面目」なんだと思う。 最後に「受け入れる」という先生の言葉に、本当にそうだなと感じた。ただ、若い頃はこの「受け入れる」が難しい。 苦しいけど、すべてを受け入れて生きていくしかない。 死と生は半々。 何となくだけど、納得した。

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2019/03/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者の身の回りに起こった題材をもとにした小説。 終盤はいささか青臭い青年の主張だが、震災が絡んでいるだけに真実味がある。 生きる悲しみ、死ぬ寂しさに迫る。

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2017/12/18

「死」とはなんだろう? という問いに対する著者の思いを小説仕立てにしたもの。何に期待するのかによって印象は違うと思うけど、問わずにいれない問があり、それをこうした形にしておきたかったのだろうと思う。東日本大震災も描かれているけど、不愉快な感じはなかった。

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2016/12/10

この本の存在を知った時、自分は疲れていたのかも知れない。それでも、死の事を考える程ではなかった。ただ、状態を言葉に変換できず、だからこそ行動にも繋がらず、モヤモヤとした嫌悪感を抱えたまま、救いを求めていた。本を読む事が救いであり、その世界から、また新たに姜尚中の心という本を知った...

この本の存在を知った時、自分は疲れていたのかも知れない。それでも、死の事を考える程ではなかった。ただ、状態を言葉に変換できず、だからこそ行動にも繋がらず、モヤモヤとした嫌悪感を抱えたまま、救いを求めていた。本を読む事が救いであり、その世界から、また新たに姜尚中の心という本を知った。佐藤優の本だったと思う。佐藤優の紹介から、この著書がその時の自分とシンクロしたような気がしたのだ。 著書は、生と死を見つめた内容で、一人の青年と姜尚中自身のやりとりを通じ、生きる意味を考えさせられる内容だ。自分のモヤモヤした気持ちを少しシフトさせるに、読んで良かったと思う。そんな風にしか、折り合いがつけないような事ってあるものだ。まさに、姜尚中自身もそうしたトラウマにありながら、独白していく。シンクロの訳は、そこにあったのかも知れない。

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2016/08/30

著者自身がモデルと思われる大学教授の「わたし」が、西山直広(にしやま・なおひろ)という大学生から手紙を授かります。そこには、友人の恋を踏みにじったのではないかという彼の悩みが綴られていました。「わたし」は彼の真剣な悩みに向き合いながら、現代の日本が直面している問題と、その中で苦し...

著者自身がモデルと思われる大学教授の「わたし」が、西山直広(にしやま・なおひろ)という大学生から手紙を授かります。そこには、友人の恋を踏みにじったのではないかという彼の悩みが綴られていました。「わたし」は彼の真剣な悩みに向き合いながら、現代の日本が直面している問題と、その中で苦しみながらも前を向いて歩んでいく青年の姿に感銘を受けます。 西山青年は、白血病で死んでいった「与次郎」というあだ名で呼ばれていた親友の長与次郎(ながよ・じろう)から、一通の手紙を託されていました。それは、西山や与次郎と同じ演劇部に所属する黒木萌子(くろき・もえこ)という女性への恋文だったのですが、与次郎と同じく萌子に心を惹かれていた西山は、けっきょくその手紙を萌子に渡すことのないまま、与次郎の死の報せに接することになります。 与次郎を裏切ったという思いに苛まれる西山ですが、その一方で萌子はしだいに彼に親しげな様子を示すようになり、ますます西山は良心の呵責を覚えるようになります。萌子はゲーテの『親和力』を現代の舞台に翻案した劇を作成し、「わたし」はそこに含まれる「自然」と「反自然」の関係に瞠目します。 その後、東日本大震災が起こり、海中の遺体を引き上げるヴォランティアに従事することになった西山は、人の死とは何かという大問題に直面することになります。「わたし」はそんな青年の一途さに心を揺さぶられながらも、彼のナイーヴな心が孕んでいる危うさを心配します。やがて『海の棺』と題された彼らの劇が上演されることになり、西山はそのクライマックスで「生」への希望を語ります。その後彼は、萌子の気持ちと向き合うという、もう一つの試練を迎えて、物語は終幕となります。 最初は、反時代的な煩悶する青年像に戸惑いを覚えましたが、「自然」と「文明」が「国土」という中間項によって平板に接続されてしまうところに、「生」と「死」という垂直軸が切断をもたらすという構図を描けば、本書のテーマが捉えやすいのではないでしょうか。言うまでもなく夏目漱石の『こころ』を踏まえた物語ですが、「解説」で佐藤優が指摘するように、私小説的な構成を取っています。佐藤が述べようとしているのは、状況の中で悩み立ち尽くす青年を「わたし」が導くのではなく、「わたし」も青年の悩みに寄り添う一つの実存として描かれているということでしょうか。それはちょうど、物語の終わりに描かれる西山と萌子の関係とパラレルなものとして理解するべきなのかもしれません。

Posted byブクログ

2015/09/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

わたしは箱の中にしまってあった青春の遺留品を一つひとつ確認するように、思い出の本をよんでいった まるごと受け入れることです 「生きとし生けるもの、末永く元気で」と最後の言葉を残して、自ら死んでいった息子のを思い、この物語を書いたと思う

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