ザ・ドロップ の商品レビュー
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パトリックとアンジーのシリーズの作者だったので。 仔犬が登場していたのに、面白くなかった。 内向的で孤独に暮らすバーテンダーのボブ、 ケガをした仔犬を拾い、同時に女性と知り合う。 仔犬を巡ってほのぼのするかと期待したが違った。 バーは強盗に入られ、 チェチェン人のマフィアのものだった金を盗られる。 かつてはバーのオーナーだった従兄弟、 十年前にバーから行方不明になった男、 同じ教会に通う刑事、 行方不明の男を殺したと噂のある男、 なんだかよく分からない人たちの、 よくわからない関係と展開。 一応殺人もあるし、謎解きははあるけど、ミステリ―なのか? 雰囲気があるのは否定しないが。
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デニス・ルヘイン著『ザ・ドロップ』ハヤカワ・ポケットミステリ ボストンが舞台のクライムノベル。雇われバーテンダーのボブが通りのゴミ箱に捨てられていた仔犬(アメリカン・スタッフォードシャー・テリア)を拾い育て始めたことから、少しずつ人生へのコミットメントを取り戻すが・・・というあ...
デニス・ルヘイン著『ザ・ドロップ』ハヤカワ・ポケットミステリ ボストンが舞台のクライムノベル。雇われバーテンダーのボブが通りのゴミ箱に捨てられていた仔犬(アメリカン・スタッフォードシャー・テリア)を拾い育て始めたことから、少しずつ人生へのコミットメントを取り戻すが・・・というあらすじ。 野良読書家集団Riverside Reading Clubが"True Dog Story"と銘打ってボストン・テラン著『その犬の歩むところ』に続きTBSラジオで紹介していたのがきっかけで手に取りました。 タイトルにある「ドロップ」というのは違法博打やドラッグの売上を一時的に保管しておく場所のことです。本作に続いて読んだ『拳銃使いの娘』やNetflixオリジナル『21ブリッジ』も、呼び方は違いますが同じドロップがキーとなるストーリーでした。本作では主人公の従兄弟が経営するバーがそれにあたり、主人公もそのバーで働いている設定です。アメリカ合衆国のボストンを舞台に、チェンチェン人がのしているアングラ世界を描いているのですが、そのじめっとした描写のリアルさは『ミスティック・リバー』『シャッター・アイランド』を書いた大御所デニス・ルヘインの面目躍如といったところでしょうか。 しかしこの小説、メインプロットがアングラ犯罪界隈なのですが純文学と言ってもいいくらいのヤサグレおっさん人生取り戻せストーリーなのです。 それが成就するかどうかは読んでいただいてのお楽しみとして、本作の最大の魅力は虐待を受けて捨てられた仔犬を拾った主人公ボブが途中途中にふと差し込む心情描写だと思うのです。決してネガティブな心情描写ではなく、「あ、俺が今感じてるのって幸福感なのかな?」という水面に顔が出た瞬間にフッと息を吸い込めたかのような述懐がたまらなく心に迫ってくるのです。 それほどたくさん描かれるものではありませんが、孤独な中年男性が生きることの実感に指先がかかった瞬間に静かに紡ぐモノローグが胸をかきむしられるように愛おしく感じられます。 そこに、ト書きでものを語らない犬が相棒として寄り添う、いや主人公ボブが犬に寄り添う情景がミステリーやハードボイルドの枠外の素晴らしい味わいを添えているのです。 不思議と、とっておきにしたい大切な作品になりました。
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従兄のマーヴの店でバーテンダーとして働くボブ。 コツコツと地道に働き、毎週日曜は教会に行く。 人との関わり合いが苦手で、会話に華が咲くことはなく、面白味のない人間と捉えれがちだが、真面目で律儀な性格故のこと。 ある日、ゴミ箱の中から傷付いた子犬を発見するところから、よき理解者ナディアに出会い日常が色彩を帯び始めることに。 元は短編だったという本作品。 なるほど、短編が肉付けされて育つとこんな中編になるのねという感じの筆回り。 登場人物達のバックグラウンドの書き込みが少ないかなとか、展開の唐突さを感じるところもあるけれど、出自を思うとその端切れの良さが味なのかとも。 本質的な造形を壊すことなく、絶妙に落とし込まれたシュールな結末は嫌いじゃない。
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従兄弟のバーでバーテンダーとして働くボブが捨てられた子犬を拾った。それが縁でナディアと知り合い、直後に店に強盗に入られて…。バーの真の持ち主のチェチェン人マフィア、確信を付いてくる刑事トーレス、ナディアと子犬に付きまとう前科持ちのエリック…。どんどん物騒な人物の登場と出来事が起こ...
従兄弟のバーでバーテンダーとして働くボブが捨てられた子犬を拾った。それが縁でナディアと知り合い、直後に店に強盗に入られて…。バーの真の持ち主のチェチェン人マフィア、確信を付いてくる刑事トーレス、ナディアと子犬に付きまとう前科持ちのエリック…。どんどん物騒な人物の登場と出来事が起こり、はじめはパッとしなかったボブが変わっていく様子がとても面白い。それぞれの人物描写が切れるのだけれど、中でも何をしでかすか分からない危険な臭いプンプンのエリックが最高だった。気持ち悪さを残すラストも良い。とても濃い〜話だった。
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どうしようもない境遇の元で、もがくように生きる人を描かせると、ルヘインの筆は冴えがすごいねんなぁ。久々のルヘインワールドだが、堪能させてもらいました。 どいつもこいつも、自分ではどうしようもないことで貧困社会に生まれ育ち、なんやかんやでスネに疵を持つヤツらばっかり出てくる。その中にあって主人公のボブは、与えられた境遇の中を真正面から受け止めて生きている。言い方を変えれば器用に立ち回れない愚直な男である。このボブがカッコいい…まったくスタイリッシュではないのだけど、カッコいい。 ページ数の少ない本だが、読んだ後の満足感はたっぷり。余韻もしっかり。デニス・ルヘインのノアールはやっぱり素晴らしい。
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邦訳ミステリ?みたいなものが急に読みたくなり、コンパクトさに惹かれて手にした一冊。 気の滅入る様なギャングスタの話かと思いきや、子犬を拾う初っ端から主人公がポジティブになって行くのがちょっと嬉しい展開でした。ラストは成程その前向きさはそう云う過去からの繋がりなのね、云う、胸のすく...
邦訳ミステリ?みたいなものが急に読みたくなり、コンパクトさに惹かれて手にした一冊。 気の滅入る様なギャングスタの話かと思いきや、子犬を拾う初っ端から主人公がポジティブになって行くのがちょっと嬉しい展開でした。ラストは成程その前向きさはそう云う過去からの繋がりなのね、云う、胸のすくような終わり方です。読み始めと読了後と、作品の色合いが違って見えます。
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面白かった。ボブが良いヤツなんだよ。ともすれば愚鈍な印象を与えるんだけど、どこかしら影があって、読み進めると・・・小品ながら良質のノワール小説が堪能できました。
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はじまりは犬だった。映画『ティファニーで朝食を』のように、ごみ箱から助け出されるのが猫だったらもっとよかったのにと思ったけど、頭のイカレた男に殴られても死ななかったのは、ピットブルだったからで、猫だったら死んでいただろう。そう考えると、犬でよかったのだ。捨てられていたのは、ナディ...
はじまりは犬だった。映画『ティファニーで朝食を』のように、ごみ箱から助け出されるのが猫だったらもっとよかったのにと思ったけど、頭のイカレた男に殴られても死ななかったのは、ピットブルだったからで、猫だったら死んでいただろう。そう考えると、犬でよかったのだ。捨てられていたのは、ナディアという娘の家のごみ箱で、偶然前を通りかかったボブが、ごみ箱の中で何かが立てる物音を聞きつけたのだ。 ボブは、カズン・マーヴの店のバーテンダー。つけをためて深夜までねばる老女にも、死んだ仲間を偲んで集まる連中にも親切だった。内気で、人と付き合うのが苦手。当然恋人もいなかった。それが、犬のおかげでナディアと話をするようになる。前に獣医の手伝いをしていたナディアは犬の扱いに詳しかった。時々、いっしょに犬の散歩にも行くようになったころ、元の飼い主が現れる。エリック・ディーズは前科者で、精神病院に入っていたこともある。十年前、ボブのバーを出てそのまま姿が消えた男を殺したと噂になっている男だ。 デニス・ルへインはクリント・イーストウッド監督の映画『ミスティック・リバー』の原作者。本作も同じ町、ボストンのイースト・バッキンガムが舞台。カズン・マーヴは、ボブの実の従兄弟で、二人は昔つるんでやんちゃなこともしていたが、今は実直に働いている。ただ、名前は「カズン・マーヴの店」だが、経営権はチェチェン・マフィアの手に握られている。金貸しと集金で稼いでいたマーヴは、今は故買屋と店をマフィアの賭けの上がりを一時的に預かる中継所(ドロップ)とすることで手間賃を稼いでいた。 そのマーヴの店が強盗に襲われ、店の売り上げ五千ドルが奪われる。マフィアのボスの息子チョフカが店に現れ、ボブとマーヴに金を探せと脅しをかけてくる。強盗事件を操作するのはトーレスというプエルトリコ人刑事で、ボブとは教会で顔をあわす顔なじみだ。二人とも熱心なカトリック信者だが、なぜかボブは聖体拝受をしない。常々それに疑問を感じていたトーレスはマーヴの店で十年前に起きた失踪事件を再捜査し始める。ウィーランというその男がヤクを買いに行った先のひとつがディーズのところだった。 誰もが顔見知りで、同じ教区に住む者は行きつけの店もそれぞれ決まっていて、仲間内の結束の固いアイルランド系移民が集まる下町。ただ、そこもチェチェン人に限らず、新興のギャングたちが勢力争いを繰り広げ、表面は信心深い人々が暮らす町も一皮むけば地下は危険が渦巻いている。そんなイースト・バッキンガムの死んだ両親が残した家で、それまで誰の目にもとまらないようにひっそり暮らしていたボブは、犬を飼い始めてから人が変わったように見える。生きがいを見つけたのだ。 マーヴは追い詰められていた。父の入っている施設に払う金にも困っていたところに降ってわいたような強盗事件。マフィアには脅されるし、同居する姉の面倒も見なければならない。マーヴは最後の荒稼ぎを計画する。スーパー・ボウルの日、自分の店にドロップされる大金を強奪しようというのだ。実行犯として目をつけたのが出所したばかりで顔を知られていないディーズだった。ディーズはディーズで、自分から犬も女も奪った大男の存在が面白くない。一泡吹かせようとナディアを連れてカズン・マーヴの店に顔を出す。 マーヴの最後の賭けはうまく行き夢の海外暮らしに出発できるのか。父親に虐待された過去を持ち、執拗にボブとナディアにつきまとうディーズの真の思惑とは。周囲からは善意の人と見られているボブは、信心深い信者のくせに何故頑なに聖体拝受を避けるのか。ナディアの首に残る傷跡は彼女の過去に何があったことを物語るのか。二人の間に愛は生まれるのか。過去を引きずる者たちのそれぞれの因縁がスーパー・ボウルに湧きたつイースト・バッキンガムの一夜に収斂する。 小さな町に起きた十年前の事件の真相が今暴かれる。チェチェン・マフィアの暗躍やカトリック教会内の性的虐待事件等々の実態を効果的に使用しながら、過去に起こした事件に首まで浸かって身動きの取れない男たちのどうしようもない悪あがきが、とんでもない結果を招く。教訓。見かけが大人しいからといって決して人を見くびってはならない。この結末のつけ方に共感を抱けるかどうかは読者次第。ただ、本作も映画化されたと聞くと納得のいく出来栄えではある。いかにもアメリカ映画のラストシーンにありそうな決着のつけ方といえる。
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久々に一気読みできる本に出合った 本邦映画未公開だがDVD「クライムヒート」が出ている 原作との違い、ボブがブサメンではない…w
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ルヘインらしく、自分に与えられた「どうしようもない生」をもがくように生きる人物が描かれる。省略の多いあっさりした書き方で、すぐに読めてしまうが、ラストに唸った後、最初からもう一度読んでしまった。主人公の造型が独特。今の私には、このような環境で生きることを実感をもって理解するのは困...
ルヘインらしく、自分に与えられた「どうしようもない生」をもがくように生きる人物が描かれる。省略の多いあっさりした書き方で、すぐに読めてしまうが、ラストに唸った後、最初からもう一度読んでしまった。主人公の造型が独特。今の私には、このような環境で生きることを実感をもって理解するのは困難だけれど、心を揺さぶられてしまうのがルヘインのすごさだと思う。
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