花鳥の夢 の商品レビュー
いっしん虎徹もそうだったが、著者の主人公は思い詰めて激情に駆られる、心力が迸るような描写が引き込まれる反面、読後感にぐったりするような感覚がある。 この後、未読の「等伯」を読んで見たくなった。
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一気読み。 永徳が描くことを止められないように、その勢いに巻き込まれる感じで止められなくなった。 思い描いていた永徳像を裏切らない。 気力を尽くして描き、生きるその様が、とても苦しく悲しく、とにかく疲れた。 才を持って生まれてしまった人の業。ただただ壮絶。 これだけ身を削らな...
一気読み。 永徳が描くことを止められないように、その勢いに巻き込まれる感じで止められなくなった。 思い描いていた永徳像を裏切らない。 気力を尽くして描き、生きるその様が、とても苦しく悲しく、とにかく疲れた。 才を持って生まれてしまった人の業。ただただ壮絶。 これだけ身を削らなければならなかったのか。 そうでなくては描けなかったのだろう圧倒的な画。 そうまでして作り上げたものの悉くが、灰燼に帰してしまうその運命はあまりにも悲しすぎる。 時代とは言えもっと、後世に残っても良かっただろうに。見たかった。 等伯夫妻の登場でより深く、暗く、画業に囚われていく心理が鬼気迫る。 何度も打ちのめされ、それでも屹立する強さは、もう異常。 最期の最後まで画の苦しみと喜びに夢を見る。 読み終えても満足はできない。心が締め付けられる。 でも、これも一種の感動なのだろう。
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狩野永徳の一代記。書きたいものと書かなくてはならないものとの葛藤。一族を背負う重圧。長谷川等伯への嫉妬。とかく人の世は生きにくい。
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直木賞受賞作『等伯』の前にこちらを読む。 どの時代にもライバルというのはつきもの。あってこそお互いに磨きがかかる。 また逆もあったりするから面白い。
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最初はあんまし面白くないなぁ、と思ってて。 何故かとよく考えたら、主人公家柄にも才能にも恵まれ、最初から順風満帆。みんなに尊敬されて、目上にも可愛がられてなにかと引き立てられる。 そんな話、誰が読みたい? 面白くなるのは、長谷川等伯が出てきて、嫉妬で非常に狂ってくるあたりから。
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寺院や山門の天井とかが気になるようになった。絵師かあ・・実在した時代があったことがファンタスティック。
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戦国時代を中心に、読み応えのある歴史小説を次々と発表した、山本兼一。 残念ながら2014年に亡くなってしまいましたが、その作品の文庫化は、まだ続いているようです。 本屋を散策していると、この作品が並べられていたので、読んでみることにしました。 主人公は戦国期に活躍した絵師、狩野...
戦国時代を中心に、読み応えのある歴史小説を次々と発表した、山本兼一。 残念ながら2014年に亡くなってしまいましたが、その作品の文庫化は、まだ続いているようです。 本屋を散策していると、この作品が並べられていたので、読んでみることにしました。 主人公は戦国期に活躍した絵師、狩野永徳。 祖父の代から栄えてきた絵師集団の、後継ぎとして育った永徳。 祖父からも認められた才能をさらに高めようと努力する、10代後半の時点から、物語は始まります。 天皇家や武将から、絵を依頼されて納める。 そんな狩野家に求められるのは、絵の「端正さ」。 子供の頃から、そのように教え込まれた永徳。 しかしある日、生き生きとした鳥の絵を目にし、その技量と自由な表現に驚きを感じます。 そんななか、父とともに納めた絵が、室町将軍家に認められます。 そして大作の依頼を受けて・・・という展開。 天下第一の絵師を目指し、時の権力者からの依頼に対峙していく彼の奮闘が、「ライバル絵師」との競争もまじえて、描かれています。 絵を描き、人に見てもらうとはどのようなことなのか。 一つの分野、特に芸事の世界で突き進もうとする人物の描き方は、「さすが山本兼一だな」と感じました。 そしてこの時代の権力者と絵師との関係、さらには狩野永徳と長谷川等伯という、同時代の絵師のライバル関係を、初めて理解することができました。 千利休など、これまでの山本兼一作品の主役が「チョイ役」で登場するのも、良い味付けとなっています。 晩年に複数の作品を発表したようなので、この後の作品についても、文庫化されるのを待ちたいと思います。 『信長死すべし』山本兼一 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4041021685 .
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地位も名誉も技術もありながら、悩み続ける様子がとても印象に残りました。 まだ天下人ではない、信長・秀吉と対面するシーンも良かったです。 次は「等伯」を読み、違った視点からの狩野永徳を知りたい。
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2015.5.17 天才狩野永徳の生涯に迫った力作。 強烈な嫉妬心が人間らしく、天才の苦悩を上手く描いている。また芸術家は果たして、誰の為に絵を描くのか?自分の為か?客の為か?という問いにも迫っている。答えは、恐らく両方の為。父の絵との対比で、そこはうまく表現できている。また、利...
2015.5.17 天才狩野永徳の生涯に迫った力作。 強烈な嫉妬心が人間らしく、天才の苦悩を上手く描いている。また芸術家は果たして、誰の為に絵を描くのか?自分の為か?客の為か?という問いにも迫っている。答えは、恐らく両方の為。父の絵との対比で、そこはうまく表現できている。また、利休のことばも、それを表現している。 時代小説は、権力者にスポットが当たったものしか、経験なかったが、美術家にせまり、時代を描いた力作。山本兼一の他の作品も読んでみたい。 良作?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
天才絵師 狩野永徳 天才ゆえに弟子に任せられきれない葛藤、 狩野派頭領としての守りの立場と一絵師としての新たな境地を切り開く攻めの気持ちとの葛藤、 長谷川等伯の技量を認めながら、それに負けまいとする矜持、 常に葛藤を抱えながら、国宝を次々と産み出し、絵を描き続け、絵を描いている最中に過労で亡くなる。 絵については負けることを許さず、描き続ける壮絶な人生を、絵を描くことで得る至福の中で終える事ができたのであって欲しいと思う。
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