原爆を盗め! の商品レビュー
第2次世界大戦において、勝利の鍵となったのが「原子爆弾をどの国が早く完成させるか」 本書では、アメリカの原爆完成までの物語と、イギリスや反ドイツ勢力による、ドイツの原爆工場の破壊工作の物語が描かれている。 また、それと同時に、アメリカに主導権を握られたくないソ連は、自国での原爆完...
第2次世界大戦において、勝利の鍵となったのが「原子爆弾をどの国が早く完成させるか」 本書では、アメリカの原爆完成までの物語と、イギリスや反ドイツ勢力による、ドイツの原爆工場の破壊工作の物語が描かれている。 また、それと同時に、アメリカに主導権を握られたくないソ連は、自国での原爆完成を目指すが、遅々として研究が進まず、アメリカからの原爆の情報収集を目論むスパイ活動もしっかりと描かれている。 以前読んだ『原子爆弾の誕生』は、アメリカ内部のことをもっと深く掘り下げていたが、本書は、ドイツ、ソ連、イギリスのそれぞれの思惑や、原爆を研究している当の科学者が苦悩しながらもスパイへ情報を渡していく心情がよくわかる。 ハラハラ、ドキドキ。映像化しても面白いと思った。
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2019/01/11 読了 図書館 ●原爆を巡る,米英,ドイツ,ソビエトの三つ巴の戦い。 ●時系列に物語が進む中,テニアン島から原爆が運び出される描写は,胸が痛くなる。 ●8月6日の広島の朝,なにも知らない人たちは,普通の生活を送っていたわけで,そこに,とんでもないもの運ん...
2019/01/11 読了 図書館 ●原爆を巡る,米英,ドイツ,ソビエトの三つ巴の戦い。 ●時系列に物語が進む中,テニアン島から原爆が運び出される描写は,胸が痛くなる。 ●8月6日の広島の朝,なにも知らない人たちは,普通の生活を送っていたわけで,そこに,とんでもないもの運んできて,落として逃げた,,, ●今,その跡地に住むもののとしては,いたたまれないものがある。
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第1部 三つどもえの競争 第2部 連鎖反応 第3部 原子爆弾のつくり方 第4部 最終組み立て おすすめコメント
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原子力爆弾の出現は、人類の歴史を大きく変えた。 時は第二次世界大戦下。ドイツの科学者がウラン原子が分裂することを 発見してから、ドイツ・アメリカとイギリス・ソ連が、他国を出し抜こうと最高 機密のプロジェクトして開発を始めた。 開発競争の一方で、もう一つの闘いが繰り広げ...
原子力爆弾の出現は、人類の歴史を大きく変えた。 時は第二次世界大戦下。ドイツの科学者がウラン原子が分裂することを 発見してから、ドイツ・アメリカとイギリス・ソ連が、他国を出し抜こうと最高 機密のプロジェクトして開発を始めた。 開発競争の一方で、もう一つの闘いが繰り広げられていた。ナチス・ドイツと の闘いで手いっぱいのソ連は、対ドイツでは手を結んだアメリカから原爆 開発計画の情報を得ようと暗躍する。 オッペンハイマーが責任者となって、アメリカとイギリスの有能な科学者を 集めて始まった「マンハッタン計画」。ニューメキシコ州ロスアラモスの 研究所は人の出入りは厳重に管理され、そこで何が行われているかに はかん口令が敷かれていた。 研究の為に呼び集められた科学者たちにはFBIの目が光る。しかし、それ でも情報はソ連側に漏れていた。しかも、原子爆弾そのものの設計図ま でも…だ。 スパイ映画やスパイ小説は大好きだ。だが、本書は映画や小説よりも 面白い。原書が出版されたアメリカではヤングアダルト向けということな で、中学生・高校生向けに書かれた内容なので原爆の仕組みについて も小難しいことは書かれておらず、大まかな概要だけを専門用語を抜き して説明されている。 映画えは「ノンストップ・ムービー」と呼ばれる作品があるが、その言葉を 借りるなら本書は「ノンストップ歴史ノンフィクション」である。スパイという 興味深い題材もあるのだが、各章の構成がうまく、「え、この後、どうなる の?」と次が気になって、危うく時間を忘れそうになった。 ノルウェーがナチス・ドイツに侵攻されたことは知っていたが、ノルウェー のレジスタンス運動が重要な役割を担っていたのを本書で初めて知った。 これまで原爆開発について個々で知っていたことが、すべて本書で 繋がっている。歴史は俯瞰して見なきゃいけないんだなと改めて思った。 『図書館戦争』のように、劇画的な小説がある。映像が想像できる小説を 私はそう呼んでいるのだが、本書は劇画的なノンフィクションだと感じた。 そのうち映画化されないかな。原爆開発競争入門としては秀逸な作品。 ただし、原爆の仕組み・開発等を深く知りたいと思う人には物足りない かもしれないが。 ハラハラドキドキ。手に汗握るスリリングな展開が好きな方にはおすすめ の作品だ。私はこういう歴史ノンフィクションも「あり」だと思う。 余談だが、マンハッタン計画には若き日のリチャード・ファインマン氏も 参加している。機密が漏れていないかとFBIがピリピリしているのに、 家族宛ての手紙に暗号を使ったり(勿論、FBIが検閲している)、欲しい 資料が同僚のファイルにしまわれていればキャビネットの鍵を壊して 取り出したりと、野放図なのである。 「ご冗談でしょう。ファインマンさん」ならぬ「ご冗談はおやめください、 ファインマンさん」とFBIは思ったことだろうな。
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ノンフィクションだけどスパイ映画を観ているようにハラハラした、「ミリタリーテクノロジーの物理学」多田将 著を読んでいたため原爆の設計が詳しく分かってより面白くなった。
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「牛乳は見えないインクとして使うのにうってつけだ。」 原爆開発からの話。核分裂が発見され、そのエネルギーで爆弾が制作できないか考えられた。原爆が核分裂で、水爆は核融合の力だ。 ソ連によるスパイがアメリカの原爆を情報を盗む。自分ら側の人間が同情意識からソ連に原爆情報を流すのはえ...
「牛乳は見えないインクとして使うのにうってつけだ。」 原爆開発からの話。核分裂が発見され、そのエネルギーで爆弾が制作できないか考えられた。原爆が核分裂で、水爆は核融合の力だ。 ソ連によるスパイがアメリカの原爆を情報を盗む。自分ら側の人間が同情意識からソ連に原爆情報を流すのはえげつない。 ドイツの重水施設を破壊した話もあった。ドイツは人種差別を過激に行い、優秀な脳を国外に流出させてしまった。
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原爆がどうやって生まれたのか。大国はどのように核開発競争へと突き進んでいったのか、騙し合いと破壊工作。そして科学者たちの熱狂と、自らの理論の正しさを証明出来てしまったが故襲ってくる恐怖と苦悩。 実戦における実験であり、自らの力を誇示する為の広島、長崎。 人物描写を中心に、小説...
原爆がどうやって生まれたのか。大国はどのように核開発競争へと突き進んでいったのか、騙し合いと破壊工作。そして科学者たちの熱狂と、自らの理論の正しさを証明出来てしまったが故襲ってくる恐怖と苦悩。 実戦における実験であり、自らの力を誇示する為の広島、長崎。 人物描写を中心に、小説のごとく分かりやすく、スリリングな展開で読ませてくれる。 核について知りたい時、技術的な本と合わせて読みたい一冊。 そして持論。 ナチスドイツに対抗するという「大義名分」があったとは言え、結局は世界における自らの絶対的地位を得るためにアメリカやその他大国はこれを手に入れ、身勝手に実験を繰り返し、今も独占し自らの都合の良いように利用ようとしている。 これら大国の姿勢が改まらない限り、世界の核をめぐる争いは無くならないであろう。
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物理学 未踏領域への挑戦。 悪の枢軸ナチス撃滅の為。 科学者達はそれぞれに信念を持って、人類史上最悪の破壊兵器を作り出し、やがて意義を見失い、所持する事に畏怖を感じつつ、『バランスを取る為に』その技術を結果、拡散させてしまった。 大戦後の技術・情報漏洩スパイ合戦については、期待程...
物理学 未踏領域への挑戦。 悪の枢軸ナチス撃滅の為。 科学者達はそれぞれに信念を持って、人類史上最悪の破壊兵器を作り出し、やがて意義を見失い、所持する事に畏怖を感じつつ、『バランスを取る為に』その技術を結果、拡散させてしまった。 大戦後の技術・情報漏洩スパイ合戦については、期待程のボリュームで無かったが、良く纏まったノンフィクション。 “『ほかに道はない』のでは無い、『ほかの道を見出すには才知が足りない』というべきなのだ。”
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sashaさんのレポを読んで、面白そうだったから読んでみた。 この本はドイツ、アメリカ、ソ連が三つどもえとなって争った原爆の開発合戦を記したノンフィクションだ。 アインシュタインを筆頭とする物理学者はナチスドイツが原爆を開発しているという情報をつかみ、アメリカ大統領に原爆開...
sashaさんのレポを読んで、面白そうだったから読んでみた。 この本はドイツ、アメリカ、ソ連が三つどもえとなって争った原爆の開発合戦を記したノンフィクションだ。 アインシュタインを筆頭とする物理学者はナチスドイツが原爆を開発しているという情報をつかみ、アメリカ大統領に原爆開発を進言する。ナチスに先を越されたら、いくら優秀な戦車や戦闘機があってもナチスに勝てない。そうならないためにはアメリカが先んじて原爆の開発しなくてはならない。そして 英米の優秀な物理学者たちが集結し始まったマンハッタン計画。その指揮はオッペンハイマーに任された。 アメリカは歴史が証明するように独力で原爆を開発した。 ドイツには世界的にも有名な物理学者ハイゼンベルグがいた。しかし原爆開発には成功していない。 別の本でナチスが嫌いだったハイゼンベルグが意図的にサポタージュしていたという説を読んだことはあるが、その理由は本書にもほとんど書かれていない。 一つの要因としてナチス支配下のノルウェーの重水工場を破壊したことが大きいらしい。重水というのが、自分にはこれまたよくわからないものなのだけれども、これを破壊できたことによって核分裂の重要な実験ができなくなったらしい。 いざとなったらハイゼンベルグさえ殺してしまえばいいと、暗殺を企てたスパイの話もスリリングだった。 ソ連にも優秀な科学者はいたが、開発は行き詰まっていた。しかし優秀なスパイがアメリカから情報を盗むことで遅れを取り戻そうとした。原爆開発の中枢のからも協力者をつくりだすことに成功する。ソ連が開発した原爆第一号はアメリカのそれと瓜二つだった。それもそのはず設計図がスパイの手によってソ連に流れたからだ。 先日のNHKスペシャルでも、マンハッタン計画に関わったある若き天才物理学者が、アメリカの核の独占を危険視し、今でいう核抑止論で戦争を食い止めるためにソ連に情報を漏らした、といった内容の放送をしていたが、そのエピソードもこの本のなかに描かれている。 でも他にも別のルートからもソ連は情報を仕入れていたようだ。持ち寄った情報の付け合わせもちゃんとしている。共産主義に共鳴するアメリカ人は意外と多かったのだろうか。 こんな国家の重大事が共産主義にシンパシーを持っている人から流れたんだから、 戦後の赤狩りの暴風も理解できなくもない。 一番興味を惹かれた記述はポツダム会談のエピソードだった。 会談に臨んでいたトルーマンとチャーチル、そしてスターリン。その夜、原爆実験の成功の報がトルーマンに届いた。 トルーマンは「我々は並外れた破壊力を持つ新兵器を手に入れた」と何気になくスターリンにつぶやく。それを聞いたスターリンは顔色一つ変えず「それはなにより。日本軍相手にそれをうまく使われるといい」と返した。スターリンを驚かして優越感に浸りたかったトルーマンとチャーチルは「きっとなんのことかわからなかったのだろう」と興ざめした。しかしスターリンは原爆のことだとわかっていた。(すでにおわかりの通りアメリカの原爆開発の情報はスターリンに筒抜けになっていた)そして開発を急がせた。 原爆をただの強力な兵器としてしか捉えていない当時のリーダーたちの姿がうかがい知れるエピソードで恐ろしかった。この本を読んだアメリカの若者はきっと、原爆は必要悪だったと思うだろう。被爆国の日本の発信力は控えめすぎるのかもしれない。何を言われようと原爆の使用は悪魔の所業だと非難しないとアメリカ人は永遠に気づかないように思う。
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原爆開発競争を、マンハッタン計画と、ドイツの原爆開発阻止、そしてソ連が原爆情報をえるためのスパイ活動を軸に描く。 静と動、サスペンスとアクションが組み合わされていて、読んでて飽きなかった。スパイ、科学者、レジスタンスなど、様々な視点から、映画顔負けの原爆開発競争の実態が描かれてい...
原爆開発競争を、マンハッタン計画と、ドイツの原爆開発阻止、そしてソ連が原爆情報をえるためのスパイ活動を軸に描く。 静と動、サスペンスとアクションが組み合わされていて、読んでて飽きなかった。スパイ、科学者、レジスタンスなど、様々な視点から、映画顔負けの原爆開発競争の実態が描かれている。 小説風ノンフィクションだそうで、参考文献のページもかなりあったし、歴史として読んでも信頼度は高そう。 物語の締め方が、著者が、核兵器というものについて真摯な考えを持ってるようで安心した。 本書で紹介されている、2010年のサイエンティフィック・アメリカン誌によれば、印パの小規模核戦争を想定した場合でも、その影響は数十年に及び、世界中で餓死者が出るというのがびっくりした。核兵器の問題は、いまや大国間だけの問題じゃなく、小規模で局地的な限定的核戦争でも影響は世界におよぶんだな。 開発着手から使用後まで、それぞれの段階で、それぞれのセクションの人が、どのように考え、どのような思いで行動したのかっていうのは、核兵器について考えるときには参考になると思うし、核兵器について考えてみたい人は読んでおいていい作品だと思う。
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