男役 の商品レビュー
宝塚歌劇団は好きです。 実際の舞台は一度しか見たことはありませんが、目眩く体験でした。 この物語も、同じくらいかそれ以上の熱量と光を感じました。面白かったです。 登場人物たちもそれぞれ魅力的で、主人公のひかるの真っ直ぐさもよかったですが、月組トップの如月すみれの描写は惹き付けられ...
宝塚歌劇団は好きです。 実際の舞台は一度しか見たことはありませんが、目眩く体験でした。 この物語も、同じくらいかそれ以上の熱量と光を感じました。面白かったです。 登場人物たちもそれぞれ魅力的で、主人公のひかるの真っ直ぐさもよかったですが、月組トップの如月すみれの描写は惹き付けられました。孤独と包容力と、トップってこういう人なんだろうなぁ…と思わされます。 伝説で幽霊?のファントムさんと、娘役だったひかるのおばあちゃんのシーンは美しくて泣けました。 男役って宝塚だけの期間限定のものですが、その儚さと、それ故の輝きにわたしは惹かれるのかもしれません。 「男役が惚れるのは、娘役やない。ましてや本物の男でもない。男役が惚れるのは、男役だけや。よう覚えとき。」という花瀬レオの台詞が印象的でした。 わりとヅカファンのいる職場で、「図書館で男役って小説を借りたんですよー」と言ったら、「男役読んだ?」と聞かれるのでオススメしようと思います。
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中山可穂だから書けた宝塚。 性愛と自己愛の描写が強かった作家が、ここまで優しい作品を書けるなんて という思いと やはり現実に対するシビアな目はいまだ持ち合わせているのだ という感慨とに揺さぶられました。 宝塚の役者さん、男役に立てた方、その舞台を支える色々な役割の方。 そして...
中山可穂だから書けた宝塚。 性愛と自己愛の描写が強かった作家が、ここまで優しい作品を書けるなんて という思いと やはり現実に対するシビアな目はいまだ持ち合わせているのだ という感慨とに揺さぶられました。 宝塚の役者さん、男役に立てた方、その舞台を支える色々な役割の方。 そして、昔事故で亡くなったトップスターの男役のファントム。 鮮烈で美しく短い世界での淡い恋愛。 宝塚は今まで一度も観たことがないのですが、特殊な旬の短い舞台に立つ人は確かにこういった悩みや葛藤を抱えているであろうと胸が締め付けられました。 最期の舞台後車に乗って去ってゆくシーンにはタナトスの背中が見えてしまう。 裏方の方々の物語への関わり方も、劇団をやっていた中山可穂ならではなのではないでしょうか。 このそこはかとなく香り立つエロティシズムと幻想的な恋愛にうっとりとします。
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宝塚ファンからすると細かなとこで これはあれ あれはあのエピソード、 あの人のあの噂といったようにくだらない邪推がバンバンできる本。 宝塚という非日常の世界の裏側を見せる本作品は、わたし的にはいろんな見方ができて面白かった。 これ、宝塚みたことない人は宝塚はこんなんなんだーと思...
宝塚ファンからすると細かなとこで これはあれ あれはあのエピソード、 あの人のあの噂といったようにくだらない邪推がバンバンできる本。 宝塚という非日常の世界の裏側を見せる本作品は、わたし的にはいろんな見方ができて面白かった。 これ、宝塚みたことない人は宝塚はこんなんなんだーと思いそうなのが若干怖いが、興味は持ってもらえそうでよいのかな。 しかし、宝塚という名前よく出せたなー。 かなり皮肉ったり危ないネタで攻めてるのに。 100年以上続く劇団は懐が深いんだなぁ! 個人的にいろんな退団したトップが頭をよぎり、悲しみのコルドバの最後を思い出しよい読書でした。 娘役も読んでみよー。
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オペラ座の怪人が好きなだけあって、物語が進むにつれてファントムさんに心酔させられていきました。 物語としては綺麗にまとまっており、ファンの真髄を知ることができた気がしました。 スピッツの愛のことばで読み終わり 次に湘南乃風のバブルが流れてきた
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これはきっとヅカファンじゃない人の方がファンタジーとしてすんなり読めるのだろうなと思った。なまじヅカファンなだけにどうでもいいところがいちいち気になって。 読後感はすっきりまとまった綺麗なファンタジー、という感じ。 しっとりした世界観は好きなので他の作品も読んでみたいな。
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ファンタジー。 オペラ座の怪人をモチーフに、紫のバラの人的な話かと勝手に思い読んでみたら…全然違った。 途中から読むのが面倒になったのは、展開が読めるのと、宝塚という舞台の特殊性によるためか表現が華美で情緒過多に感じたため。 好きな人はとても好きだろうと思う。 個人的には、宝塚の...
ファンタジー。 オペラ座の怪人をモチーフに、紫のバラの人的な話かと勝手に思い読んでみたら…全然違った。 途中から読むのが面倒になったのは、展開が読めるのと、宝塚という舞台の特殊性によるためか表現が華美で情緒過多に感じたため。 好きな人はとても好きだろうと思う。 個人的には、宝塚の業を嫌らしく書いていたなら面白く読めたと思うのだけれど。 良くも悪くも普通な話、と感じた。
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「男役」は,現実世界の「娘役」と打って変わって,ほぼ最初の辺りから「ファントムさん」という幽霊が登場する,本物の?ファンタジー。事故で亡くなった偉大な男役,その相手の娘役の孫(主人公),その孫が敬愛する偉大な男役の先輩がメインとなる話。ファントムさんと主人公の祖母が再会して出て行くシーンはとても綺麗で,映画になりそうと思った。先輩の宝塚の引退にあたっての悲壮感がものすごく,現実の宝塚の人々もこういう思いをしているのだとしたらとおもったら,とてもつらいと思った。本当に自分の大好きな職業に就いてしまったら,こういうことってあるのかもしれない。もし,これらの作品に続編が出るのであれば,是非先輩の引退した後の幸せな描写もほしい。 2作を通じて出てくるのは,花瀬レオという男役のキャラクターだった。この2作,近々映画化されるかも,とおもった。 あと,読む順は「男役」→「娘役」がいいかもしれない。出版日もその順になっているみたいです。
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恐ろしいファントムかと思いきや,切なく優しいファントムで,まさしく純愛!宝塚の男役についてよくわかった.
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この作者の作品は調子のいい時でないと読めない。 そして、読み終わった後軽く放心状態になる。 今日、ふと図書館に行ったらこの本があって速攻手に取った。中をパラ見することも、表紙をめくったところに貼ってある帯を確認することもなくそのまま手に取ってカウンターへとGO。 舞台は宝塚で、オペラ座の怪人をオマージュしている作品だった。宝塚は一度「ベルサイユのばら」を見に行ったことがある。「きゃー!!ベルばら!!」とはなったけれど、特定の役者さんにはまることはなかった。 「オペラ座の怪人」は劇団四季と映画版を見た。 その程度の知識しかなくても十分楽しめる。 なんだか嗅覚に訴える作品だった。その場の匂いをまるで本当に嗅いだことのある気分にさせられる。今作品では劇中劇に使われているスペインや、闘牛場の血の匂い。あるいは稽古場や劇場に漂う人いきれと汗やどうらんの甘いにおいまで伝わってくるようだった。 「ファントム」が相手役だった神無月れいを現世から連れ去るシーン。ここを読んでいる時は何かがのど元にせりあがってきて、背筋がゾクゾクした。そのシーンが終わって「ああ、クライマックスは終わったな」と思ったのだけれど、それだけではなかった。最後のパッパさんのサヨナラ公演の描写もゾクゾクした。このパッパさんの男役にかける意気込みと言うのも本当に素晴らしい書かれ方だった。 以前読んだ(これもいつかは感想をアップしたい)、「感情教育」や「猫背の王子」「マラケシュ心中」では、一人称のイメージがあり、主人公(とその相手)に視点が合わせられていたように感じていたのだけれども、今回は広く視点が変わるようなイメージを持った。一組のカップルをじっくり書くのではなく、色々な人間関係を広く見渡せるような感じ? 読んでていてぐいぐい引き込まれてしまうため、読み終わりが近くなってきたころトイレに行きたくなったのにそれをも我慢して最後まで一気読みだった。ちびらなくてよかった。 小さなところなんだけど、「夢ぴりか」という芸名を見て「米かよ(笑)」となったのは、私だけでしょうか。 この興奮が冷めやらないうちに、もう一度好きなシーンを読み返そうと思う。
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