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ベーシック・インカム の商品レビュー

3.5

35件のお客様レビュー

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2021/06/26

(2021年6月の感想) 2年前は、生活補助に対してベーシックインカムの感想を書いていた自分がいたが2年が経過して思いも変わったのですこし整理しておく。 まず生活保護受給者であるが受給者の大半は人生を歩んだ環境がとても複雑だったり深刻な心の病を患っている人等である。現在は適当な...

(2021年6月の感想) 2年前は、生活補助に対してベーシックインカムの感想を書いていた自分がいたが2年が経過して思いも変わったのですこし整理しておく。 まず生活保護受給者であるが受給者の大半は人生を歩んだ環境がとても複雑だったり深刻な心の病を患っている人等である。現在は適当な一定額を給付して「あとは自己責任でよろしく」ですませてはおらず、実際には役所の方が彼らの自立は精神的にほぼ不可能であることを感じつつ、彼らを一人の人間として扱って自立のチャンスを地道に提供している現実がある。役所の人はとても大変だけど、捨てていけないとても大事な仕事だなあって思って、そういったことをもっと積極的に知っていかないととも思っている。見捨てるのは短期的な生産性で評価すればプラスだろうけど、みんなが人を見捨てる価値観が標準な社会だったら息苦しさが半端ない、秩序に支配され個性を悪とみなす絶望社会だと思う。 そんなベーシックインカムは「キングオブ・ザ・自己責任」で人をより切り捨てる仕組みになっちゃわないかなあって憂慮を感じる。。。 未来永劫その財源が確保される保証があるのかはさておき、一部の社会サービスは確実に削減され、例えば特殊な人しか都心に住めず、地方に移住するしか術がなくなるといったようないやおうなしな必然強制事業整理が発生することも十分に考えられる気がする。ドラスティックな変化を実現できるメリットがある一方、普通に細く長く暮らしたい多くの生身の人間にとってその必要は全くなくていい迷惑でしかない気がする。。。 なので僕は2021年時点では反対かなあ。 (2019年8月の感想) BIそのものや、その利点/有益性がよくわかっていなかったのでこのタイミングでBI入門の親書を読んでみました。 ネットでも調べましたが中々ドラスティックながら一理あるシステムだなと思いました。とはいえ、現在の日本は本当に生活費が困窮してる人に対して予算がないとかいって役所が生活補助を認可しないようなバカげた社会保障ルールになってるから、いっそ抜本的にBI制にしたほうがマシなんじゃって思ってもみたりした。 「もらうべき人がもらってない」、「まともでない人にまともになってもらうよう尽力できていない」欠陥だらけの日本の福祉制度、実力不足の現在の日本の官僚と政治家じゃ解決できない。じゃあどうする?をいますこし悩み考えてたりする。 (最後のほうで本の感想からずれちゃってスミマセン...)

Posted byブクログ

2019/07/09

生活を保障するものは「地縁・家族」→「会社」という風に変遷してきた。戦後、日本国民の多くは自営業からサラリーマンとなった。企業は成長して人手を欲しがっていた。年金や保険を拡充しなければ自社に人手不足になってしまうという背景もあって、高度経済成長期を通して企業の保険に加入する人の割...

生活を保障するものは「地縁・家族」→「会社」という風に変遷してきた。戦後、日本国民の多くは自営業からサラリーマンとなった。企業は成長して人手を欲しがっていた。年金や保険を拡充しなければ自社に人手不足になってしまうという背景もあって、高度経済成長期を通して企業の保険に加入する人の割合が増えた。 しかし、非正規雇用が拡大している現在ではこのような社会福祉体制は弱くなっている。これは単に最低賃金を上げればよいという問題ではない。最低賃金の上昇は失業率の上昇を引き起こすからだ。ここで問題なのは生活保護を受給するハードル(生活保護水準)が高いということだ。このある種の選民思想的な分配法則を持つ理由は現在の福祉制度がビスマルクの政策を手本にしているからだ。その政策は弱きに目を向けないというものであるが、それは福祉国家のあるべき姿とは言えない。 日本はワーキングプアーが多い。(失業率は低いが、経済格差は大きい) これに対する政府の打ち手は公共事業で雇用を創出するというものだ。しかし、これで増える雇用は非正規であり、根本的な問題解決になっていない。このような無駄な支出を抑える代わりにより、貧困にダイレクトに響くBIを支給するべきだ、というのが著者の主張である。

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2019/01/05

手軽に読み切れるベーシックインカム本。貧困とはお金がないこと、と明快に主張し、その思想的背景とベーシックインカムの有効性・妥当性を述べる。社会保障財源を整理することで現代日本でベーシックインカムは可能だし、著者の言う「貧困」は解決しうる、と言っている。 「共産主義者」近衛文麿が...

手軽に読み切れるベーシックインカム本。貧困とはお金がないこと、と明快に主張し、その思想的背景とベーシックインカムの有効性・妥当性を述べる。社会保障財源を整理することで現代日本でベーシックインカムは可能だし、著者の言う「貧困」は解決しうる、と言っている。 「共産主義者」近衛文麿が出てきたり、なぜかABCD包囲網が出てきたり、福祉をまともでない人の矯正なんて捉えたりして、随所で読む気を削がれるが、たぶん国民経済計算の方法なんかは間違っていないのだろうから、有用な本であろうなと思った。 細かいところを除けば、「あとがき」で結論書いてあるし、寄り道を削ぎ落とせば、内容的にはパワポ10枚くらいで十分な気もする。

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2018/08/22

ベーシックインカムと生活保護について実務に携わる者として勉強しています。 将来的にはもう一度大学に戻って研究したいなと思ってます。 この本は高校の友人(大学教授)に推薦してもらったものでなかなか読み応えのある本でした。 しかし109ページに昔取材受けた内容が引用されてたので少し...

ベーシックインカムと生活保護について実務に携わる者として勉強しています。 将来的にはもう一度大学に戻って研究したいなと思ってます。 この本は高校の友人(大学教授)に推薦してもらったものでなかなか読み応えのある本でした。 しかし109ページに昔取材受けた内容が引用されてたので少し笑いましたσ^_^; もし読まれることがあればぜひ見てみてくださいd(^_^o)

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2018/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本では、約1000万人の人びとが、年84万円以下の収入で暮らしているようです。そういった貧困を無くすため、皆が最低限の健康で文化的な生活を保障するための思いきった政策として、著者はベーシック・インカムを提唱し、経済や政治の分野での込み入ったところ、細かいところまでを解きほぐす形で話を進めています。それゆえに、ベーシックインカムは、社会思想としてあるいは社会学的に語るだけのものではなく、実践的な議論をするまでの段階に来ているのだなあと読めます。雇用状況や所得状況の現実をみる第1章からはじまり、第2章ではベーシック・インカムにいたるまでの、そしてベーシック・インカムを支持するいろいろな思想や立位置、つまり、コミュニタリアン(共同体思想)であるかリバタリアン(個人自由思想)であるか、はたまた、パターナリズム(家父長主義的)であるか、反パターナリズムであるか、といったところからの考え方を紹介します。僕にはこの章での、ジョン・ロールズの「マクシミン原則」がおもしろかったです。これは大多数の幸福を優先する功利主義とは違い、最下層の人々に対する効用を最大に考えるものでした。そうやって、底上げすることでの社会的幸福があるだろうという考え方です。最後の第3章ではベーシック・インカムを実現するための財源の確保を著者なりに具体的に示し、さらにベーシック・インカムが実現することで危惧される問題についても反論しています。著者は、これまでいろいろよくないイメージをもたれているバラマキ政策だけれども、目的と効果がはっきり考えられている点で、たとえば高速道路無料化や児童手当、公共事業とは違うのだと主張しています。これはこれで、もっともな考え方なのですが、やはり財源を考えたときに、そんなにうまくいくかなあと素人なりの疑問は残りました。思った以上に政治家向けというか、図やグラフであってもなかなかややこしく、新書にしては専門的で入門書としては難易度が高めかもしれないです。それでも、がりがりとがんばって読んでみれば、この分野の知見が広まる読書になるでしょう。貧困は大きな問題ですからね、大きな舵取りだって必要なんじゃないかなと僕は思いもしました。

Posted byブクログ

2017/11/13

この著者の論説はベーシックインカムの問題のみならず、広く社会学を学ぶ上で役に立つ考え方が盛り込まれているのでかなり勉強になった。しかし、きちんとかみしめようと思うと一回読むだけでは足りない。 また、経済学の話はちょっと理解しがたい部分もあったので改めて勉強しなおさないとだめだと感...

この著者の論説はベーシックインカムの問題のみならず、広く社会学を学ぶ上で役に立つ考え方が盛り込まれているのでかなり勉強になった。しかし、きちんとかみしめようと思うと一回読むだけでは足りない。 また、経済学の話はちょっと理解しがたい部分もあったので改めて勉強しなおさないとだめだと感じた。 ベーシックインカムの議論自体は別の著者の本やコラム等で見ているので改めて語ることはそんなにないが、ベーシックインカムを導入すべきかは各人の哲学に依るという一つの事実が提示されており、その哲学の例がいくつか出されていたことは本書におけるハイライトだと思う。大変興味深い。

Posted byブクログ

2017/05/15

ベーシックインカム。それは「すべての人に生きていくために必要なお金を年齢、性別に関係なく配ってしまおう」という政策のことだ。最近ではAIの発展との関係で語られることも多くなり注目を集めている。 本書は、そのベーシック・インカムについて具体的な例をあげつつ、その実現の可能性につい...

ベーシックインカム。それは「すべての人に生きていくために必要なお金を年齢、性別に関係なく配ってしまおう」という政策のことだ。最近ではAIの発展との関係で語られることも多くなり注目を集めている。 本書は、そのベーシック・インカムについて具体的な例をあげつつ、その実現の可能性について論じている。著者の結論は「私は、日本もイギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、生活保護を受ける人の比率を高くすべきと考える」というもので、その行き着く先がベーシック・インカムだということだ。もちろん、是非はあるだろうが、現在の格差や貧困の問題を解決しうる一つの方法として学んでおきたいテーマであり、本書はその基本図書のひとつになるだろう。

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2017/04/11

特定のバラマキ政策をするよりはBIを採用する方が効果があることが分かった。基本的に全ての人の年間所得は「自分の所得×70%(30%は税金)+BI 84万円(月7万)」となり、収入のない人でも84万円が支給されるというもの。これで今の生活保護制度や年金といった社会保障等の代替えがで...

特定のバラマキ政策をするよりはBIを採用する方が効果があることが分かった。基本的に全ての人の年間所得は「自分の所得×70%(30%は税金)+BI 84万円(月7万)」となり、収入のない人でも84万円が支給されるというもの。これで今の生活保護制度や年金といった社会保障等の代替えができ、かつ財源もそこからと所得税30%でカバーできるという。あくまで理論上の話ではあるが、現状の政策はお金ばかり使って目的を果たせないのだから、実際やってみる価値がある理論だと思う。

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2017/02/05

ベーシック・インカム(BI)に関する議論は、日本では一時盛んだった。山森亮『ベーシック・インカム入門』(光文社)は2009年刊、2010年には『POSSE』や『現代思想』がBI特集を組んでいたし、それ以外にも堀江貴文や東浩紀といった様々な立場の人がBIについて積極的な発言をしてい...

ベーシック・インカム(BI)に関する議論は、日本では一時盛んだった。山森亮『ベーシック・インカム入門』(光文社)は2009年刊、2010年には『POSSE』や『現代思想』がBI特集を組んでいたし、それ以外にも堀江貴文や東浩紀といった様々な立場の人がBIについて積極的な発言をしていた。2017年の今日、議論は低調である。本書『ベーシック・インカム』が刊行された時点(2015年)でも、すでに低調だった(書店の新刊コーナーで本書を見つけたとき、妙なタイミングで出てきたものだな、と思ったことを覚えている)。低調の理由として著者・原田は、1.BIが巨額の財政支出を伴うとの誤解が広まったこと、2.貧困は必ずしもお金だけの問題ではないとの認識が広まったこと、の2点を挙げる(「はじめに」)。おそらく、大きいのは1点目であり、そして本書の特色はこれに対してなるべく具体的な解答を提示しようという点にある。 つまるところ、本書の肝はBIの財政学的検討であり、それは具体的には最終章である第3章でなされる。ちなみに、第1章では日本の貧困の現状を概観し、第2章ではBIの思想的位置づけを整理する。第2章はそれなりに有用かもしれないが、近衛文麿のくだりはあんなに紙数を割く話でもないだろう。 そして肝心の第3章である。「BIは財政的に実現可能なのか」という点のみが知りたい、という向きはこの章だけ読んでもよいかもしれない。具体的には、BIの給付水準、財源、既存の制度との整合性、などの制度設計の問題に加え、BIに関してよく話題となる「労働意欲を阻害するか」「BIは賃金を引き下げるか」といった問題も検討される。 この章に限らず、本書の特徴は多くのBI本にありがちな左翼臭さがない点である(著者自身も別に左翼ではないだろう)。理念・理想を説くという風でなく、文体なども全体的にサバサバした印象だ。そんなわけだから、左翼系の議論が避けたりごまかしたりしがちな領域にも、恐れることなく入っていく。例えば「BIと移民」の問題(152‐154頁)。著者は、この問題を論じるにあたって、まず宣言する。「BIは、移民を制限することになる」「福祉国家は、移民を制約する国家であることを、むしろあらかじめ明らかにしておくべきだ」。まぁ当然と言えば当然の話なのだが、「弱者への配慮」や「開かれた共同体」を旨とする左翼にあっては、このような言い切りがなかなかできないものなのである。 文章もわかりやすいし、気軽に読める一冊である。広く読まれてほしいものだ。確かに、日本での議論はすっかり下火だが、世界ではBIに関して様々な実験がなされつつある。依然として注目に値するアイディアだと思う。

Posted byブクログ

2016/09/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本では、990万人が年に84万円以下の所得で暮らしている。現行の社会福祉政策はあまりにも非効率で、貧困の解決には非常に限定的。それを、全国民に一律で大人一人月7万円、子供一人月3万円を無条件で支給することとし、生活保護や年金などと置き換える(なので財源確保可能)、そのうえで勤労意欲を削がないように、所得には一律30%の税を課す、というのが著者のおもな主張。 個人的には第3章が参考になった。2章は飛ばしてもよかったかも。

Posted byブクログ