人間の証明 の商品レビュー
何かで面白いという評判を目にして読んでみた。時代設定は70年代か。ホテルのスカイレストランへ向かうエレベーター内で死亡した黒人男性の事件の謎を、西條八十の詩をキーワードに追っていく。情景描写が豊かで目に浮かぶように想像が膨らみ、実際に自分もその場にいるかのように感じられる。伏線...
何かで面白いという評判を目にして読んでみた。時代設定は70年代か。ホテルのスカイレストランへ向かうエレベーター内で死亡した黒人男性の事件の謎を、西條八十の詩をキーワードに追っていく。情景描写が豊かで目に浮かぶように想像が膨らみ、実際に自分もその場にいるかのように感じられる。伏線はここまで繋げるとやり過ぎに感じるが、これを差し引いても俄然面白い。失踪した妻の行方を、警察顔負けの捜査で真犯人まで辿り着いた小山田が凄い。因果応報は唯一ジョニーには当てはまらない点が切ない。
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今頃になって、初めて読みました 初めて読んだけれども、動機も犯人も知っています。 被害者が言った謎の言葉「ストウハ」の意味も知っています。 中学校の英語の先生が「アメリカ人の発音でストローハットと言っても、日本人の耳にはストウハと聞こえる」とネタバレしましたからな。 当時はネタバ...
今頃になって、初めて読みました 初めて読んだけれども、動機も犯人も知っています。 被害者が言った謎の言葉「ストウハ」の意味も知っています。 中学校の英語の先生が「アメリカ人の発音でストローハットと言っても、日本人の耳にはストウハと聞こえる」とネタバレしましたからな。 当時はネタバレに寛容だったので。 でも知っていたのはマスコミで流れた部分のみ。 実はいくつかの事件が縄を綯うように互いに絡みながら進んでいく話とは思いませんでした。 で、読んだ感想としては「因果応報」。 これに尽きると思います。 森村誠一と言えば社会派ミステリーで、社会はミステリーと言えば刑事が足で証拠をみつけていく話だと思っていましたが、この作品に関していえば、確かに社会派で、足で証拠を探していますが、ラッキーな偶然が多すぎます。 それというのもこの作品は、通奏低音として「因果応報」が存在しているからと思いました。 表立った意見の被害者と加害者だけではなく、関係者の心の中で消せない、事件とならなかった事件が、その無念を晴らすかのように偶然を連れてきたのかな、と。 作者あとがきで、当時この作品が「情念のミステリー」と言われていたことを知りましたが、確かにこれは情念の物語です。 黒人青年を殺した犯人は、今でいうサイコパスのように描かれていますが、多分心から大切にしていたのが黒人青年との日々だったのだと思います。 その後の人生は犯人にとって何の意味もない、興味もない、形だけの人生だったのかもしれない。 ただその形だけの人生が成功してしまったから、大切だった心から愛していた過去と形だけ成功した現在との相剋の中の一瞬の躊躇が、すべてを終わらせてしまったのではないでしょうか。 だとすると、哀しい物語だなあ。 ママは思い出しはしなかった。 だって忘れてなかったのだから。 読んだ気になってパスしなくてよかったなあ。
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kindle unlimitedにあったので読んでみた。 すごく昔に書かれた本だ。 本屋ではきっと手に取ることのない本も、 kindle unlimitedなら出会える。 (決して回し者ではない。) 全く違う場所での出来事が章ごとに書かれ、 やがて収束に向かう。どんどん読んでし...
kindle unlimitedにあったので読んでみた。 すごく昔に書かれた本だ。 本屋ではきっと手に取ることのない本も、 kindle unlimitedなら出会える。 (決して回し者ではない。) 全く違う場所での出来事が章ごとに書かれ、 やがて収束に向かう。どんどん読んでしまう。 読み終わってタイトルを見ると、胸が震えた。
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映画鑑賞して、原作気になったから読了。 映画だと八杉恭子ひとりにフィーチャーしてたけど、原作だとたっぷり各人物の話があって、経緯がよくわかった。 大筋は一緒だけど、映画版は設定が大分変わってた!棟居は渡米せんのかーい。 (映画は映画でよくまとめられてて良かったけど。) あと、”...
映画鑑賞して、原作気になったから読了。 映画だと八杉恭子ひとりにフィーチャーしてたけど、原作だとたっぷり各人物の話があって、経緯がよくわかった。 大筋は一緒だけど、映画版は設定が大分変わってた!棟居は渡米せんのかーい。 (映画は映画でよくまとめられてて良かったけど。) あと、”人間の証明”っていう題の意味が理解できた。 やっぱり、西条八十のむぎらわ帽子の詩は良いなと思った。
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推理に、情念といった人間的要素を加えている本。 構成が極めて美しく、交響曲が最後ハーモニーを解決するような構成。私にとっての麦わら帽子はなんだったであろうか。
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久しぶりに読後に感無量の気持ちを味わった。 読むきっかけは著者の森村誠一さんの訃報のニュースをテレビで見たことから。自分より半世紀以上年上の方が書いた本、特に当時は戦争について興味を持っていたので悪魔の飽食を読むつもりだったのだが、こちらの方が先に目につき何気なく手に取った。 昔の人が書いた本だから読みにくいだろうかという心配は驚くくらい杞憂に終わった。 インターネットとスマホがないことを除けば全く不自然なことはない、どんどんと物語に入り込んでしまう巧みで魅惑的な文体。読みづらいなどと感じることは一切なかった。ああ世間は惜しい人を亡くしてしまったと思わされた。 作中にもある通り、西条八十の麦わら帽子の描く世界は誰の瞼の裏にも写る幻の母親だろう。初めて詩読んで感動してしまった。 そして本作で描かれる実際の母親「八杉恭子」はそんな一面を持ちつつも冷酷である。しかし文明やSNSが発達した現代では、子供を売りにSNSで有名になることを狙うなど、誰もが八杉恭子になり得る、またなりやすい時代となってしまった。 彼女は最後、非常に母親らしい一面をみせて終わったが、現実はもっと酷なのではないだろうか、救いがないのではないだろうかと、最後に思ってしまったのは欧米化し機械的になってしまった現在に生きる故のものだろうか。 また棟居の過去父親が殺された際の描写は非常に生々しく、文章なのに脳裏に焼き付く。薄まってきたところで最後にもう一度同じように描写されうっと生々しさにやられる。しかしこの描写は、戦争・戦後を経験した著者の実体験に近いものがあるのかもしれない、と感じた。実際戦後は米兵による性犯罪は多かったと聞く。そのような背景を考えるとフィクションとも割りきれず、嫌な不快感だけが作中の加害者たちに残った。 しかし、それだけで終らせないのがこの著者のすごいところなのかもしれない。作中でアメリカで独自に、積極的に捜査を行ってくれた割りに好感を持っていた刑事がその加害者だったことを知ったとき、言い表せない感情に苛まれた。許しがたいのに憎みきれない、これこそが人間の持つ二面性、人間の証明なのかもしれない。 シリーズもののようなので、ぜひ全て読んでいきたいと思う。もちろん悪魔の飽食も読みたい。
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「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」。西条八十の詩集を持った黒人が、ナイフで胸を刺されて殺害された。被害者は「日本のキスミーに行く」と言い残して数日前に来日したという。日米合同捜査が展開され、棟居刑事は奥深い事件の謎を追って被害者の過去を遡るが、やがて事件は自らの過去の因...
「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」。西条八十の詩集を持った黒人が、ナイフで胸を刺されて殺害された。被害者は「日本のキスミーに行く」と言い残して数日前に来日したという。日米合同捜査が展開され、棟居刑事は奥深い事件の謎を追って被害者の過去を遡るが、やがて事件は自らの過去の因縁をも手繰り寄せてくる―。人間の“業”を圧倒的なスケールで描ききった、巨匠の代表作にして不朽の名作。
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原作、角川映画楽しく観たし読んだのですが、今だにタイトル『人間の証明』がわからない。どういった行動が『人間』の『証明』なのか。
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次々と変わる視点。読みながら糸があらゆる方向に繋がっていくのを感じてとてもわくわくした。 人間不信の棟居が、最後母の情を信じて証拠なし犯人を落とす。それがとても胸に来た。自分が親になって読むとまた違う感じ方をしそう。
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「ストウハ」、「キスミー」というキーワードが何とも言われぬ哀愁と情愛を含んだ西條八十の「母さん 、僕のあの帽子、どうしたでせうね。 ・・・」という詩によって見事に紬合わされていく。 何十年振りかの再読だけど、読後の感動は今回も変わらない。 ♫「Mama,Do you rememb...
「ストウハ」、「キスミー」というキーワードが何とも言われぬ哀愁と情愛を含んだ西條八十の「母さん 、僕のあの帽子、どうしたでせうね。 ・・・」という詩によって見事に紬合わされていく。 何十年振りかの再読だけど、読後の感動は今回も変わらない。 ♫「Mama,Do you remember〜」(^_^)v
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