よみがえる魔法の物語 の商品レビュー
小人大戦争から約100年。焦土と化した小人の国で、のびとたち6人は「いのちの膜」に包まれてひっそりと生き延びていた。戦災から身を護るために密かに開発されたい膜は、今は触れれば死ぬ檻としてのびとたちを閉じ込め、収縮しながら小人族を滅亡へと追い詰めている。ぼくたちはここにいる。どうか...
小人大戦争から約100年。焦土と化した小人の国で、のびとたち6人は「いのちの膜」に包まれてひっそりと生き延びていた。戦災から身を護るために密かに開発されたい膜は、今は触れれば死ぬ檻としてのびとたちを閉じ込め、収縮しながら小人族を滅亡へと追い詰めている。ぼくたちはここにいる。どうかいのちの膜を破って助けてほしい。「なげる」の魔法を受け継いだのびとは、いつ来るともわからない仲間に向けて、言葉をなげ続けていた。念願叶って満月本土にたどり着いたはなはな達は、荒れ果てた小人族の故いのちの膜の外側でのびとの言葉を受け取り、膜を破る鍵となる緑の石を探すため戦争の傷跡を残す大地へと冒険にくり出す。過去の戦争と現代の世代を結ぶ罪と傷、戦争を知らない世代が過去から何を学び、未来にどう伝えていくべきかを小人たちの冒険を通じて描いた冒険ファンタジー。 答えの返ってこない呼びかけを、ひとりで黙々と投げ続けるのびとの孤独と焦りは、胸に迫るものがある。満月本土に暮らしていた他の生き物たちは、世代を重ねても小人の恐怖と、仲間を焼かれた恨み、そしてそれに接したはなはなたちの戸惑いは、どこか、日本人と日本が占領した国の人々を彷彿とさせた。はなはなたちの小人大戦争に対する「終わった話、自分は関係ない」という感覚と同じものを、自分も戦争に対して持っていると気付く読者も多いだろうと思われる。自分たちは知らなくても、傷付けられた側は決して忘れないという厳しい現実を思い出させる作品だった。
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