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2022/10/02

日本の近世(江戸時代)での村の運営と人々の生活を、農業や土木工事を中心に解説している。 現在では「村」という名の自治体区分はだいぶ減っているらしい。確かに「村長」という肩書きをここ数年聞いたことがない。そして現代人が持つ「村」という言葉に対するイメージが冒頭で語られ、やはり農業...

日本の近世(江戸時代)での村の運営と人々の生活を、農業や土木工事を中心に解説している。 現在では「村」という名の自治体区分はだいぶ減っているらしい。確かに「村長」という肩書きをここ数年聞いたことがない。そして現代人が持つ「村」という言葉に対するイメージが冒頭で語られ、やはり農業を中心に連想されることが多い。そこにはよくも悪くも、のイメージがついて回る。 本書では泰平の世における経済と各地域での自治や「掟」に類する仕組みが、試行錯誤しながら作られていたことが解説されている。情報も技術も乏しい中で社会の安定を図ってきた先人たちの苦労は相当なものだったろう。

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2022/08/16

近世以降の歴史を本当に知らないので、すごく勉強になった。 この時代の、特に地方の社会について知ることは現在を知ることでもあるなあとつくづく感じる。

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2016/08/21

史料から人が生きていたことが、ありありと伝わってくる。農業が技術であったことと肥料を通してその移り変わりを描く。最終章の開発と災害に至って、一気に記述のダイナミズムが増す。歴史が今に繋がることがリアルに感じられた。

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2015/12/14

以前別の本で鉄火起請を知り「近世農村怖ぇ〜」てガクブルったけど、この本で実際はそう滅多に実施しなかったと知り、多大な安心と少しの落胆を感じた(笑)

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2015/06/03

大学院の演習で水本先生の研究書を輪読したことがあるので理解しやすかった。 本書は、著者が80年代後半から主張されている江戸時代の自治村落論研究の内容を一般書の形で書かれたものである。 特に氏が主張した画期的なものに公儀と村が互いに依存し、時にはせめぎ合う関係にあるということを...

大学院の演習で水本先生の研究書を輪読したことがあるので理解しやすかった。 本書は、著者が80年代後半から主張されている江戸時代の自治村落論研究の内容を一般書の形で書かれたものである。 特に氏が主張した画期的なものに公儀と村が互いに依存し、時にはせめぎ合う関係にあるということを明らかにされた。 また、本書後半では2011年の東日本大震災に関わってか、災害復興の村の「自助」と、公儀領主が村の「自助」に期待していた様子をうかがい知ることができる。 歴史学の「ムラ」に関する研究に疎い人でも、第1章を読めば具体的な「ムラ」の様相を理解することができる。 新書の形をとっているが、かなり内容の濃い充実した一冊である。

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2015/04/11

<目次> はじめに 第1章  村の景観 第2章  村の成立 第3章  百姓と領主 第4章  暮らしと生業 第5章  開発と災害 おわりに <内容> 近世の村の様子を具体例を多く挙げて解説。特に目新しいものはなかったが、今まで読んできたものと照らし合わせると、①百姓は支配層(武士...

<目次> はじめに 第1章  村の景観 第2章  村の成立 第3章  百姓と領主 第4章  暮らしと生業 第5章  開発と災害 おわりに <内容> 近世の村の様子を具体例を多く挙げて解説。特に目新しいものはなかったが、今まで読んできたものと照らし合わせると、①百姓は支配層(武士)に服従していたわけではない ②村は入会地を管理し、また入会地は他村との抗争の場であった ③集約的農業の発達により、里山を開墾や入会地として開発しすぎたため、災害が頻発し、農業の発展ひいちは社会の発展が停滞していった というところでしょうか? データとして農家の収支の表があり、授業で使えそうな気がしました。

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2015/04/11

②は百姓たちの近世を概観する。一次資料はどうしても地域的なかたよりがあるし、比較的富裕層または武士階級から近い存在の農民が中心の観察になる。当時、文書を残せる人間がどれだけいたのかを考えると仕方ない。でも近世においては社会の80%が農民だったわけだ。近世も後半になると農民のなかで...

②は百姓たちの近世を概観する。一次資料はどうしても地域的なかたよりがあるし、比較的富裕層または武士階級から近い存在の農民が中心の観察になる。当時、文書を残せる人間がどれだけいたのかを考えると仕方ない。でも近世においては社会の80%が農民だったわけだ。近世も後半になると農民のなかでも貧富の差は出てくる。確かに貧しかったことも間違いない。でも彼らは自由だった。ヨーロッパの農奴とはそこが違う。貧しくはあったが、意外と活力にあふれていたのにはビックリ。

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2015/03/03

岩波新書の日本近世史シリーズ②は、「村」というテーマで江戸時代を通観する。当然、長い期間の間に村は大きくその形を変えていったはずだが、非常にゆっくりとした変化はなかなか掴みにくい。第4章「暮らしと生業」の最後、「牧歌的に見える「豊年万作の図」の光景も、じつは変遷する家族形態や動態...

岩波新書の日本近世史シリーズ②は、「村」というテーマで江戸時代を通観する。当然、長い期間の間に村は大きくその形を変えていったはずだが、非常にゆっくりとした変化はなかなか掴みにくい。第4章「暮らしと生業」の最後、「牧歌的に見える「豊年万作の図」の光景も、じつは変遷する家族形態や動態的な雇用労働力形態のなかのある段階を切り取った描写図だったことになる」(162ページ)と述べられているように、本書全体を通じても一見スタティックに見える江戸時代の村がさまざまなダイナミクスを展開していったことが随所に指摘されている。 個人的には第3章「百姓と領主」が興味深かった。従来は中世の自力救済型の自助・自力には高い評価を与える一方で、近世の村のあり方を身分制の中で差別・抑圧されたそれとして低い評価しか与えられてこなかった。しかし、近世の公儀領主権力の法度や掟に依存する部分と自分たちの生産・生活の秩序については自力で解決し、余ったエネルギーを生産の工夫に向けるといった村の「自力」のあり方を、著者は中世の「自助型自力」と区別して「身分型自力」とし、それを積極的に評価している。 また同時に公儀領主権力もそうした「身分型自力」に依存しつつ、全国どこでも土木行政の推進により領域の編成・統合をすすめるという点で、「「土木行政国家」という評価を与えても、あながち言い過ぎではない」(115ページ)。 こうした近世農村のあり方を前提にすると、エコな循環型社会という最近流行の近世農村のとらえ方にも留保が必要である。著者は、資源循環型の社会がどのように限界を迎え、新しいステージに突入していったのかについて、第5章「開発と災害」の中でクローズドなシステムからオープン・システムの移行を「金肥」投入を画期と見つつ、描いているのである。

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2015/02/23

近世農村の構造とその変化の過程を知ることは日本農業のルーツを知ること・・・のはずだが、思った以上に文献学寄りで経済チックではないかもしれない。

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