八幡炎炎記 の商品レビュー
戦後の八幡製鉄所近辺で暮らす人々の話。当時の生活ぶりが知れて貴重。祖父母が北九州出身なので方言や地元の風習が懐かしかった。第一部了、と書かれていてびっくり。続編があるのか。
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1日で読んでしまった。 出てくるのは、どちらかというとダメな人が多いけど、人間がリアルに生々しく、でもからりと描かれているところがいい。 原爆と八幡製鉄所が太い芯になっていて、すっと読めた。 ヒナ子がとても可愛い。
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久しぶりに村田喜代子さんの小説を 手にしました。 以前に読んだのは 「ゆうじょこう」 「蕨野行」 だつた気がする 相変わらずの 濃ゆく鋭い切り口の文章 そして そこはかと漂うユーモアとエロス そして さすがに自伝的要素が含まれるとあって 戦後の八幡の情景が見事に描き出される 中...
久しぶりに村田喜代子さんの小説を 手にしました。 以前に読んだのは 「ゆうじょこう」 「蕨野行」 だつた気がする 相変わらずの 濃ゆく鋭い切り口の文章 そして そこはかと漂うユーモアとエロス そして さすがに自伝的要素が含まれるとあって 戦後の八幡の情景が見事に描き出される 中でも八幡製鉄所の当時の様子が 生々しく、神々しく描かれる 村田さんの作品を 読むたびに 何とも言えない余韻が残っていく 堀越千秋さんの挿絵がなんともすばらしい 「情念」を描く第一人者であるなぁ と改めて鑑賞させてもらう
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終戦後の北九州、八幡の街の描写が素晴らしい。自分の親の世代はこのような雰囲気のある時代だったのかと思いながら読み進めた。続きが楽しみ。
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戦後復興期の製鉄の街・八幡を舞台にした村田さんの自伝的小説です。 八幡に暮らす三人の姉妹は、みんな実子を授からず、それぞれ養女を得ている。 上の姉・サトは夫の長兄の娘・百合子を養女にし、離婚した百合子の子・ヒナ子も戸籍上はサトの娘にしている。下の姉・トミ江は金貸しの亭主が借金のカ...
戦後復興期の製鉄の街・八幡を舞台にした村田さんの自伝的小説です。 八幡に暮らす三人の姉妹は、みんな実子を授からず、それぞれ養女を得ている。 上の姉・サトは夫の長兄の娘・百合子を養女にし、離婚した百合子の子・ヒナ子も戸籍上はサトの娘にしている。下の姉・トミ江は金貸しの亭主が借金のカタに連れてきた(と言うより、親元に置くのが不憫で連れ帰った)タマエを養育しており、末の妹・ミツ江は洋裁師である夫・克美の弟の娘・緑を育てているという複雑な家庭環境。 そしてヒナ子が著者・村田さんの様ですね。 主に女好きの克美と小学校2年生のヒナ子の視点で語られます。 元は親方の妻だったトミ江と駆け落ちした克美は、人の奥さんに情欲を感じる性分。その語りは内省的で暗い情念を含みエロティック。そしてヒナ子の語りはキラキラと爽やかな明るさが有り、楽しい。この二つを見事に使い分けながら話は進みます。 登場人物たちは多彩です。でもありがちな安直なキャラでは無く、それぞれが何か「業」を背負っています。そして背景に描かれる戦後復興の世相、特に力強いエネルギーを発する八幡製鉄所の描写が見事です 文体は鋭い。ユーモア小説の手法で文末で「落とす」書き方があります。ちょっと似た雰囲気で、文末がスパッと切れる。そしてそこに余韻が残る。そんな切れを感じさせる文体です。 ところで話は「第一部終了」と途中で切れてしまいます。昨年5月に出版された『火環』に続くようです。 読むしかないな。
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昭和二十六年、製鉄所の町・八幡を舞台に、再婚した母と離れて祖父母と共に暮らす小学生のヒナ子、内に鬱々とした昏い情念を抱く仕立屋の克美の二人を中心に物語は語られる。 戦後の復興期、まだまだ貧しく粗野で猥雑な暮らしぶりが読んでいて面白い。 ヒナ子を始め、親と離れて生活する子ども達の姿...
昭和二十六年、製鉄所の町・八幡を舞台に、再婚した母と離れて祖父母と共に暮らす小学生のヒナ子、内に鬱々とした昏い情念を抱く仕立屋の克美の二人を中心に物語は語られる。 戦後の復興期、まだまだ貧しく粗野で猥雑な暮らしぶりが読んでいて面白い。 ヒナ子を始め、親と離れて生活する子ども達の姿が健気。 村田さんの曖昧模糊とした、何だか嘘か本当か分からないような語り口が好きで、こういった作品だとそれが制限されてしまわないかと、ちょっと心配しつつ読み始めたが、これはこれで面白い。するすると読まされてしまった。
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終戦後の八幡を舞台にした物語。親が生まれた頃の日本はこういう感じだったのかー、と思いながら読んだ。皆貧乏だけど日々の中で幸せや楽しみをみつけて生きて行く様子がたくましい。複雑な事情を抱えながらも元気に育って行く子供達、一方でそんな子供達の目には映っていないだろうけど、実は大人達も...
終戦後の八幡を舞台にした物語。親が生まれた頃の日本はこういう感じだったのかー、と思いながら読んだ。皆貧乏だけど日々の中で幸せや楽しみをみつけて生きて行く様子がたくましい。複雑な事情を抱えながらも元気に育って行く子供達、一方でそんな子供達の目には映っていないだろうけど、実は大人達もまたそれぞれ浮気や駆け落ちなどの事情を抱えていて、大人なりに悩む日々が描かれており、子供を描写している時の「陽」と大人の心情を描写している時の「陰」の空気の変わり方が面白い。 運動会が町をあげてのイベントであるのが面白かった。今と違うなあ、娯楽の少ない時の良さだろう。あと、皆が製鉄所を自慢に思っている所も印象的。その後起こる製鉄産業と町の衰退ぶりを思うと、物事には盛衰がある事を感じずにはいられない。 元は、続きの火環の書評を読み興味を持ったのでまずこちらを読んだ。なかなか良かった。ヒナ子はどんな風に育って行くんだろうか、火環を読むのが楽しみ。
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敗戦の年に生を享けたヒナ子は、複雑な家庭事情のなかで祖父母のもと、焼け跡に逞しく、土筆のように育ってゆく。炎々と天を焦がす製鉄の町・北九州八幡で繰り広げられる少女の物語。
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充分面白いのですが、まだ続くみたいだから☆4つ。昭和の頃は誰かが子どもの世話をしていたのねえ。家で仕事していた人が多かったんだなあ。
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『屋根屋』と違って、幻想的なところはなく、非常に読みやすいので、そういうものの苦手な、宮尾登美子的な小説が好きな人には良いと思う。私は『屋根屋』の空を飛ぶシーンや、『ゆうじょこう』の不器用に綴られる言葉が大好きだったので、ちょっと物足りない気がした。 しかし、寂れてしまった北九州...
『屋根屋』と違って、幻想的なところはなく、非常に読みやすいので、そういうものの苦手な、宮尾登美子的な小説が好きな人には良いと思う。私は『屋根屋』の空を飛ぶシーンや、『ゆうじょこう』の不器用に綴られる言葉が大好きだったので、ちょっと物足りない気がした。 しかし、寂れてしまった北九州しか見たことのない者にも、一番活気のあった頃の北九州や、今よりずっと自由に、また迷信深く生きていた人々が目に見えるようで、十分面白かった。 80年代にしょっちゆう作られていた一族ものの映画を思い出し、克美は緒方拳で決まりだな、などとキャスティングしながら読んだ。 最後に控えめに第一部完とあるし、作者の自伝にもなっているので、今後の展開も期待したい。 堀越千秋の絵も、物語に合っていた。 なんだかんだ言って、結構楽しんだのだった。
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