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猪変 の商品レビュー

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10件のお客様レビュー

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2022/08/29

今現在進行形で、自分の田んぼも苦しんでいるので、とっても興味深く読んだ。 いろいろ自分の田んぼの環境も分析してみたい。

Posted byブクログ

2017/09/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

瀬戸内海を泳いで島を渡る豬がいるという話を聞いて、中国新聞社の記者たちがその話を追いかけようと言う事が決まったところからこの本は始まる。 調べていくと確かに泳ぐイノシシはいるという目撃情報やそのイノシシを助けたとかにげられたという証言も見つかる。 そのイノシシがなぜ泳いで島を渡るのかというところから、瀬戸内海や中国山地、そして全国の豬による害獣のことやその事に取り組む地域の活動など、その取材先は広がり、ヨーロッパでの取組みなど話はどんどん広がっていく。 農家の人たちにとって害獣ではあるが、それをよしとしない保護団体や一般の人との折り合いをどう理解して貰うかなど、今日本が抱えている過疎地など農家の現状も含め細かな取材や統計などの数値も合わせて豬を追いかけていく。 豬変とは豬が変わったのか、人間が変わったのか?彼らと人間との付き合い方はどうあるべきか?そして、害獣として駆除だけでなくその命をどう無駄にしないかなど、これから先の日本の山間地区や農業が消えて行きつつある過疎地にどう向きあっていくかを考えさせてくれる一冊。 海を渡る豬がいるからどんどん広がっていった取材を担当した記者たちの渾身のドキュメンタリーとなっている。

Posted byブクログ

2017/05/30

中国新聞が、2002-3年に連載した企画報道「猪変」1~6章と、発刊によせて書き足された終章からなる。 農家、行政、猟師、研究者らへの取材を、客観的にまとめた良本。 連載されてから15年が過ぎるが、獣害は未だ同じような状況であり、参考になる。

Posted byブクログ

2016/08/09

中学時代、貪り読みしていた記事が本になって、こんなに嬉しいことはない。しかも「飼い喰い」内澤旬子氏の推薦つき。 正に猪被害の最前線の里山に生まれ、箱わなへの注意を促され、猟期の立て吠えを聴いて育った。畑一面のジャガイモをやられた時の祖母の顔はとても見られなかった。猪憎しは今でも...

中学時代、貪り読みしていた記事が本になって、こんなに嬉しいことはない。しかも「飼い喰い」内澤旬子氏の推薦つき。 正に猪被害の最前線の里山に生まれ、箱わなへの注意を促され、猟期の立て吠えを聴いて育った。畑一面のジャガイモをやられた時の祖母の顔はとても見られなかった。猪憎しは今でも変わらないが、いずれ山に帰った時、どう暮らしていくかを考える為の一冊として手に取った。

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2018/10/31

瀬戸内海の島々と中国山地のイノシシ被害を報告した新聞連載をまとめたもの。 30年前までは、島々には段々畑が広がって、イノシシが隠れるやぶや森がほとんどなかった。1991年のオレンジの自由化と高齢化・過疎化によって、ミカン畑の耕作放棄が進み、イノシシの餌場となった。里山が利用され...

瀬戸内海の島々と中国山地のイノシシ被害を報告した新聞連載をまとめたもの。 30年前までは、島々には段々畑が広がって、イノシシが隠れるやぶや森がほとんどなかった。1991年のオレンジの自由化と高齢化・過疎化によって、ミカン畑の耕作放棄が進み、イノシシの餌場となった。里山が利用されなくなることによって、アカマツが枯れ、ドングリがなる広葉樹が成長する変化もゆっくりと進んでいる。積雪量の減少を含む複数の要因が考えられる。 イノシシは生後2年から出産し始め、春から夏にかけて5〜6頭の子を生む。イノシシの駆除頭数は、島根、広島、岡山、山口が1〜4位で、鳥取をあわせた中国地方の5県で全国の40%を占める(2000年)。芸予諸島では、倉橋島、大崎上島、生口島、上蒲刈島の駆除頭数が多い。 2001年には、島根県美都町にイノシシの解体や販売をする町設民営の加工施設がつくられた。2007年には、鳥獣被害防止特措法が成立し、食肉利用や防護柵の設置費に年間100億円以上が財政支援されるようになった。

Posted byブクログ

2015/10/01

「猪変」と書けば「ちょへん」でしょう.中国新聞取材班はこれを「いへん」と読ませたいらしい.日本語を混乱させようというたくらみだな.

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2015/08/27

こういった連載ができ、なおかつ一冊の本にまとめ上げる、地方の新聞社として素晴らしい仕事だと思った。 中四国地方のイノシシによる獣害の実情やそれに対応する農家や自治体職員らの活動などをまとめあげたルポルタージュ。

Posted byブクログ

2015/06/26

以前イノシシの本を読んだ時、簡単に人間が制御できないから豚ができたんだ、と教えられた。 これからもどんどん農村地区の高齢化と耕作放棄地が増えるけれど、そのときイノシシはどこに棲むのだろう。何度も挙げられていた選択肢、戦いを放棄するというのが一番リアルなのかもしれない。

Posted byブクログ

2015/05/30

2002年に中国新聞に連載された山間部における猪による農産物被害を追ったルポルタージュを書籍化したもの。 「むやみな開発により野生動物の生活圏が侵されて里に降りてきた獣を害獣扱いするなんて」と思っていたが、認識は正反対だった。 減反、過疎化や高齢化によって放置さてた耕地が藪になり...

2002年に中国新聞に連載された山間部における猪による農産物被害を追ったルポルタージュを書籍化したもの。 「むやみな開発により野生動物の生活圏が侵されて里に降りてきた獣を害獣扱いするなんて」と思っていたが、認識は正反対だった。 減反、過疎化や高齢化によって放置さてた耕地が藪になり、猪の隠れ家になるというのだ。 減反、スギ・ヒノキの植樹。多くの農政が裏目裏目にでている。 「こうあらねばならぬ」的な主張はなくあくまで現場レポート的なところが歯がゆくはあるが、読み進むほどに「正解はない」のだなと思う。

Posted byブクログ

2015/04/02

「猪変」と書いて、「いへん」と読ませる。 中国新聞取材班が、近年広がる猪被害を丹念に取材した連載記事をまとめたものである。但し、記事の初出は2002年12月~2003年6月。さて、この10年以上のブランクは何か?といささか不思議だったのだが、「おわりに」を読むと、出版を編集者に勧...

「猪変」と書いて、「いへん」と読ませる。 中国新聞取材班が、近年広がる猪被害を丹念に取材した連載記事をまとめたものである。但し、記事の初出は2002年12月~2003年6月。さて、この10年以上のブランクは何か?といささか不思議だったのだが、「おわりに」を読むと、出版を編集者に勧めたのが文筆家・イラストレーターの内澤旬子氏だったとのこと。ツイッターでの仄聞だが、氏は最近、瀬戸内・小豆島に移り住み、また狩猟免許(わな猟)を取得してイノシシ猟もされていたはず。そんなこんなで何らかの縁が生じ、珠玉の記事が発掘されて、全国区にお披露目となった、ということなのだろうと推測する。記事になった当時(2003年度)も当該連載記事は新聞協会賞の候補作にはなっていたが、惜しくも受賞は漏らしていたようだ。 出てくる人々は基本的に当時の年齢・所属で紹介されるが、加筆・修正・再構成され、当時から現在までをつなぐ「終章」が付け加えられている。 イノシシが我が物顔で増える現象が顕著になったのは、まさにこの2000年代初頭のことだったようで、非常に臨場感のある、おもしろい本である。 最近も海を渡るイノシシがニュースになったことがあったが、当時、すでにこうしたイノシシは確認されていた。ただ一方で、「げなげな話」(中国地方の方言で、うわさ話の類。「げな」とは「~だそうだ」といった意)との境界線がはっきりしない話でもあった。 取材班は思い切って、このトピックスに飛び込んでみた。 すると出るわ出るわ、瀬戸内海を泳ぐイノシシは何例も確認された。元来、イノシシは好んで泳ぐ動物ではない。しかしながら、猟師に追われた、あるいは雌の匂いに引き寄せられたなど、理由があって泳ぐ場合には、かなりの長距離でも泳ぎ切る。取材班が調べたところでは、以前はいなかった瀬戸内の島に軒並み、生息が認められた。それより以前にはいなかったイノシシがなぜ住み着くようになったか。農作物の輸入自由化に伴い、果実畑の耕作放棄が進み、これに過疎や高齢化が拍車を掛けた。耕作地はわずかの間に藪となり、イノシシの格好の住処となっていたのだ。 ひとたび増え始めたイノシシを減らすのは非常に困難である。イノシシの子供のウリ坊はかわいらしいが、あれが数頭単位で生まれ、場合によっては年2回の出産もありうるわけだ。ネズミ算ならぬイノシシ算である。 人里近くでは銃を用いる狩猟はもちろん、わな猟も行いにくい。子供やペットが掛かる恐れもあるためである。加えて、捕獲したイノシシを例えばジビエとして処分するなどのルートは十分にはない。食肉加工するには生きた状態のものを捕獲して、血抜きを迅速に行う必要があり、ハードルが低いとは言えない。 銃を使える山中で仕留めればよいかといえば、そう単純でもない。元々里に下りてくることのなかった奥山のイノシシを徒に騒がせ、里へと追いやる危険性もある。 柵で囲った場合には、囲った部分はよくても、あふれたイノシシが近隣の畑を襲い、地区内に軋轢を生じることもある。 藪を住まいとするイノシシの生態はよくわかっていないことも多い。イノシシ除けに効果があるといわれる忌避剤などの市販グッズも、ほとんどがあまり効果がないという。 とはいえ、食肉利用や、牛の放牧によるイノシシ追い払い作戦など、当事者の試行錯誤が功を奏している事例もある。人間が野山をうろつくことでイノシシを追い払おうという「獣害対策ハイキング」の試みもある。オオカミ導入を提唱する人たちもいる。 読み進めていくと、野生動物管理の難しさがひしひしと伝わる。 「殺すのはかわいそう」と駆除に反対し、「かわいいから」と里に現れたイノシシに餌を与えた挙げ句、増えすぎたイノシシによって耕作地が全滅する可能性もさほど低いものではないように思えてくる。 対策を練るには、まずはイノシシを知ることから、なのだろう。 農家など当事者にはよく知られていることでも、なかなか一般にまで浸透しているとは言い難い、イノシシ被害の「実態」。 いささか古い記事が元とはいえ、現在に通じる視点が数多くある。 現場感覚が貫かれた、読み応えがある1冊である。

Posted byブクログ