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ファーマゲドン の商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

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2023/09/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

# いつも口にし、体へ運ぶものの現状と問題、そして今後を知れた一冊 ## 面白かったところ - 食肉に関わる家畜の現状が、特に工業型農業で牧畜されるものはリスクが有るということを学べた点 - 食肉関わらず工業型農業はその地域ないしは、地球の生態系に影響を与えるということを知れた点 - 「アグリビジネス」という言葉を盾に、強引な半植民地化が行われていることを知れた点 ## 微妙だったところ 発売日が2015年で、少し古いこと ## 感想 効率で考えれば工業というテクノロジーは生産性を伸ばし、より多くの製品を世界に届ける良い手法である。 その反面、強力なウィルスや感染症培養の温床になっていることも我々は向き合っていかねばならない。 工業型農業で割を食っているのは我々人間やそこに住まう家畜だけではなく、農場周りの川に生息する水や家畜の餌になる自然の動物たちである。 人間に於いても人口稠密な都市部では、流行病が勃発することはかの古の時代から語り継がれてきた事実であり、動物に限った話ではない。 そのような劣悪な環境で生育した食用肉はどんな仕上がりになるか、想像に容易い。 だからこそできる限り我々も食べるものを見る必要があるし、カネで解決しようとしてはいけない。 この本を読んで、また一歩農業に興味を持つことができた。 #読書 #読書好きな人と繋がりたい #読書記録 #読書好き #読書日記 #読書部 #読書の時間 #読書タイム #読書時間 #読了本 #読了記録 #本スタグラム #本好きな人と繋がりたい #本好き #本好きさんと繋がりたい

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2019/02/16

脳死状態にした鶏を透明のパックに入れて吊り下げ、チューブに よって栄養を送り込み成長させる。この鶏には羽もない。 「どうせ食肉として殺されるのだから、生きるのには最低限の能力 だけあればいいだろう」との発想から生まれたようだ。 効率よく食肉を生産する方法として提案され...

脳死状態にした鶏を透明のパックに入れて吊り下げ、チューブに よって栄養を送り込み成長させる。この鶏には羽もない。 「どうせ食肉として殺されるのだから、生きるのには最低限の能力 だけあればいいだろう」との発想から生まれたようだ。 効率よく食肉を生産する方法として提案された未来型養鶏工場(?) の画像を目にしたのは数年前だ。気持ちのいいものではなかった。 これはあくまで提案の域を出ていないようだが、そう遠くはない将来、 現実になるのではないかと思われる。 食肉、魚、野菜、果物、乳製品。私たちが口にする食べ物は、一体 どのように育てられているのだろうか。産地や加工地のことは気に しても、育成の過程まで気にかけてはいない。 本書は多くの国で行われている工場式農場の現状や環境に及ぼす影響 などを詳述し、ではどうすればいいのかの提案をしている。 農作物に関しては、やっぱり出たか遺伝子組み換え作物なのである。 日本国内では本格的な商業栽培はされていないが、海外から輸入さ れる牛肉や豚肉が、遺伝子組み換え作物を餌にして飼育されている かどうか、確かめようがない。きっと…いや、絶対餌になっている ると思うわ。特にアメリカ産の食肉に関しては。 しかも効率よく飼育する為に抗生物質や成長ホルモンをガンガン投与 されている。 それもこれも、大量生産・大量消費社会が招いたこと。将来的には そのツケが人間に回って来るはずなのだよね。工場式農場だって、 食糧不足を補う為に始められたはずなのに、世界では今でも多くの 人が飢饉に瀕している地域がある。 私は研究者も何でもないので、広々とした牧草地で育った牛と、狭い 檻の中で育った牛の肉に、どれだけの違いがあるのか分からない。 分からないけれど、より自然に近い状態で愛情をこめて育てられた 食肉を口にしたいと思うし、卵だって、乳製品だって、飼育方法 が明記されていれば参考にしたいと思う。 飼育する農場の方から見れば、消費者のわがままなのだろうけれどね。 ただ、「より多く」を求めて行くと、冒頭に記した未来型養鶏だって 当然になるだろうし、クローン技術の導入だってありえるだろう。 農作物は害虫や病気に強い遺伝子組み換え作物が主流となるだろう。 そうして、昔ながらの農場風景は姿を消し、肉も野菜も巨大な工場内 で清算されるだけになったら? 「沈黙の春」ならぬ「沈黙の春夏秋冬」がやって来るのではないか。 本書では工場式農場からの脱却を目指す試みや、イギリスでの飼育方法 表示販売、家畜の飼育方法を規制するEUの取り組みなども記されてお り勉強になった。 惜しむらくは、本文中に出て来る参考文献の日本語訳があるのかが 明記されていないのが難点。いくつか読んでみたいと感じた作品が あったのにな。

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2015/12/15

 本書は工業的農業(魚も含むので畜産ですが)の考え方に警鐘を鳴らしています。その内容は単なる動物愛護とは一線を画し、本当の意味で持続可能な農業の在り方を問いかけているように思えます。  工業的農業の根本にある考え方は、より狭い場所で、より生産的な家畜を、より多く育てるのがもっと...

 本書は工業的農業(魚も含むので畜産ですが)の考え方に警鐘を鳴らしています。その内容は単なる動物愛護とは一線を画し、本当の意味で持続可能な農業の在り方を問いかけているように思えます。  工業的農業の根本にある考え方は、より狭い場所で、より生産的な家畜を、より多く育てるのがもっとも効率的だというものです。しかし本書はこの考え方を否定します。工業的農業は、動物福祉をないがしろにしているだけではなく、効率的にも問題があることを指摘しています。例えば印象的な話のひとつが、飼料となる大量の大豆をそのまま人間にまかなえば30億人を養うことができるというものです。さらにべつの図表では、世界の食糧生産量の36%を家畜用の飼料が占めますが、そこから肉となるのは全体(36%中ではない)の11%にすぎません。また17%は食産業・家庭における廃棄によって失われます。残飯の廃棄、そして家畜のために大量の飼料を要する工業的農業の問題が明らかにされています。  家畜のえさとなる飼料から家畜が食品となり食されるまでの過程のなかで、それぞれに関わる人びとがどのようなコストを負担しているのか。それが見えてきたとき、「(人間にとっての)安い肉の真のコスト」が見えてきます。

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2015/12/13

「ファーム」と「アルマゲドン」を組み合わせたタイトルで「農場の危機」といったところ。 著者は野生動物をこよなく愛する、家畜の福祉向上をけん引する国際的慈善団体の最高経営責任者とイギリスの下院公認の政治記者。 ここ数年間で徐々に関心が高くなっている「食糧問題」。もはや自分が死ん...

「ファーム」と「アルマゲドン」を組み合わせたタイトルで「農場の危機」といったところ。 著者は野生動物をこよなく愛する、家畜の福祉向上をけん引する国際的慈善団体の最高経営責任者とイギリスの下院公認の政治記者。 ここ数年間で徐々に関心が高くなっている「食糧問題」。もはや自分が死んだ先の話ではないかもしれない。以前に紹介した『食の終焉』でも触れられていましたが、もうすぐで世界の人口は90億人になると言われています。しかしこれだけの人口を養える食料を地球上で作ることはできないと考えられています。 問題は、昔ながらの自然サイクルを利用した農業や畜産が、工場式生産方式に変わってきていることだと、世界各地の農場、牧場、養鶏場、養豚場、養魚場などの取材を通して指摘しています。 だだっ広い牧草地で家畜を放し飼いにして飼うよりも、建物の中に多くの家畜を押しこんで育てる方が、少ない面積で大量の食用肉を安く得られるー工場式畜産の貢献を豪語する人がよく使う説明だそうです。私も肉の質や味、家畜の飼育環境は別として、経済的な貢献度はこちらの方が上だと思ってましたが、著者は重要な視点が抜けていると指摘。 それはこれらの餌となる穀物を別の遠く離れた地域や国から仕入れており、その面積が計算に入っていないということ。世界の全穀物収穫量の3分の1と大豆の90%が工場式農場の家畜の餌となっているそうです。延々と広がる大豆やトウモロコシ畑がアメリカや中国で見られるようですが、その地域にすむ貧しい人々の口に入ることはなく、遠く離れた国の、それも家畜の餌やバイオエネルギーに使われる。本来は人間が食べられない草を食べて育ち(ちなみに草を食べて育つ家畜の方が栄養が豊富という研究がある)、肉として人間の口に入っていた家畜が、人間の食料となる穀物で育てられるようになり、一方で飢餓で亡くなる人がいる。 問題はこれだけではない。取材はこの問題がもっと根深いものであることを暴いています。 狭い建物に家畜が押し込められることによる病気の蔓延を防ぐために抗生物質が使われるも、消費者には分からない。 突然村の土地や水を使って養豚場を作り、処理しきれないほどの汚物を垂れ流し、住民の生活環境を悪化させる 言葉たくみに遺伝子組み換え作物を育てさせるも、これは1代限りしか育たないため永遠にその企業から種を買わなければならず、また病気にも弱いため、初期投資を回収できない農民が続出 など、工場式農場にまつわる暗部が取材を重ねるたびに蓄積され、利点といえばこうした農場の経営者が儲かるという点しか出てきません・・・工場式農場は肉を安くしているどころか、土地も水も奪い、コストもかかるとバッサリ。 表紙のキャッチコピーにハンバーガーの真のコストは1万円とありますが、数百円で食べているハンバーガーには以上のような環境や労働に対するリスクが含まれていないということ。 取材を通して希望もあるようです。まず、消費者が食べ物のルートに関心を持ち始めたこと。そして農業を営む人に自然サイクルを利用したやり方に戻す人も少なからずいること。 こうした取り組みを早急に進展させるには、最終的には消費者にゆだねられています。当たり前の話、企業は売れるものを作りたがります。 また、無駄に食料を捨てないということも重要だと述べています。実はこれをなくすだけで、食糧問題が解決できるという考えもあります。 どこかで聞いた話だと思っていたら、紹介したことのある『世界の食料ムダ捨て事情』の著者が本書に登場していたのでした。 なにわともあれ、食料には関心を持つべし

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2015/12/07

農業や食べ物に関心のある方は一読しておいた方が良いでしょう。世界中で食用に飼育されている家畜の凄まじい現状のレポート。もはや飼育ではなく工業的に生産されていると言った方が、残酷だが正しい表現。鶏に与えられたスペースはA4一枚程度、豚や牛に至っては一頭分以下(つまりほぼ重なり合って...

農業や食べ物に関心のある方は一読しておいた方が良いでしょう。世界中で食用に飼育されている家畜の凄まじい現状のレポート。もはや飼育ではなく工業的に生産されていると言った方が、残酷だが正しい表現。鶏に与えられたスペースはA4一枚程度、豚や牛に至っては一頭分以下(つまりほぼ重なり合っている)。その理由は場所の有効活用と”動物が動くとエネルギーを消費し、無駄だから”。これを支える飼料は世界中の飢餓を補って余りある量の穀物。先進国の一部の人間が肉を食べるために、途上国のコーンや大豆やイワシが牛豚鶏の餌になっている。また、工場から出る廃棄物、病気予防や成長促進のための薬物などは深刻な環境汚染をおこしているだけでなく健康被害も多発している。養殖サーモン等もまたしかり。発色剤など薬漬け。 ことさらに肉食を否定するつもりはないが、きちんとした食品や飲食店を選ぶことは、自分や家族の健康のため、また将来の農業のためにも重要なのだと改めて痛感した。

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2015/11/23

日経の書評を目にして図書館で予約したのが4月。ようやく順番が回ってきた。 副題「安い肉の本当のコスト」とあるように、効率的な生産を目指した工業型畜産の側面を明らかにして、 その負荷によって地球の生態系が危機に瀕していると明らかにする。 世界の人口増、人々の肉食化で増えた畜肉の...

日経の書評を目にして図書館で予約したのが4月。ようやく順番が回ってきた。 副題「安い肉の本当のコスト」とあるように、効率的な生産を目指した工業型畜産の側面を明らかにして、 その負荷によって地球の生態系が危機に瀕していると明らかにする。 世界の人口増、人々の肉食化で増えた畜肉の需要を満たすために、世界中に広まる工業型畜産。 伝統的な畜産システムとは異なり、大量の穀物や大豆が家畜に投与され、今では全世界で生産される穀物の1/3が餌になっているとは、こりゃたまげた。 畜産での大量な需要によって、穀物や大豆の栽培も集約化され、単品栽培の大規模農場では、化学物質の影響で植物生物の数も減少している。 化学物質に弱い蜂の数も減少しており、蜂が担ってきた植物の受粉も危機に瀕する。 という下りで、先日見た映画「夏をゆく人々」を思い出した。 伝統的な養蜂業をを営む父親が、新しい農薬を使用した近所の農家に詰め寄るシーン。 文明への危機感という点では、よく重なる。 中国経済の減速、年間販売1000万台を目指したVWのつまづきが取り沙汰される今、 人類はどこまで成長や効率性を追求するのか議論が激しくなると思う。

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2015/06/13

 先日、P・リンベリー 氏らによる「ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト」を読み終えました。  レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、以前から読んでおこうと思っていた本なのですが、そちらより先に本書を手にとってみました。  今、世界的に拡大している「農業・畜産・漁業の工業化」がも...

 先日、P・リンベリー 氏らによる「ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト」を読み終えました。  レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、以前から読んでおこうと思っていた本なのですが、そちらより先に本書を手にとってみました。  今、世界的に拡大している「農業・畜産・漁業の工業化」がもたらす地球規模の影響について、著者たちのリアリティ溢れる警鐘が興味を惹きます。先に読んだ「里山資本主義」で著者の藻谷浩介氏が抱いている問題意識とシンクロして、危機の切迫感や対応の緊急性・必要性等、強く印象付けられました。

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2015/05/03

いささか分厚い本だが、主張はかなりシンプルである。 牛や豚などの食肉産業で、現在主流となっているのは、昔ながらの牧場での放牧ではなく、動物を屋内飼育施設で「効率的」「計画的」に飼育し、加工・出荷する形だが、こうした集約化農業・工場型農業はやめるべきだというものである。 理由は大き...

いささか分厚い本だが、主張はかなりシンプルである。 牛や豚などの食肉産業で、現在主流となっているのは、昔ながらの牧場での放牧ではなく、動物を屋内飼育施設で「効率的」「計画的」に飼育し、加工・出荷する形だが、こうした集約化農業・工場型農業はやめるべきだというものである。 理由は大きく3点。 ・大量の動物の糞尿により、周囲に環境汚染が生じる。 ・人が食べられるにもかかわらず、動物の餌となっている食料が多い。 ・過密状態や拘束に近い状態での動物飼育には、動物福祉上の問題がある。 世界各地の農場やその周辺を取材しながら、著者はその論拠を示していく。 取材先は多岐にわたり、事例が具体的なのでイメージがわきやすい。 原注で、新聞記事や論文など、多くのレファレンスが上げられている点も説得力を増す。 飼育場の近くの汚染の実態。効率と良心の間で板挟みになって苦悩する、飼育場に勤務する獣医。狭いケージに閉じ込められた動物の様子。胸の痛む話も多い。 告発を警戒する飼育者側との攻防もあり、肝心なところは取材できずにもどかしさが残る事例もある。 著者の視点は飼育場だけに留まらず、ミツバチやオオカバマダラ(渡りをする蝶)などの減少にも及ぶ。 詰まるところ、地上の生態系はネットワークであるわけで、集約型の産業が周囲の環境に大きな影響を及ぼすようになれば、あおりを食らう生物もあるわけだ。 さて、集約化農業には問題点があるとしたら、では我々はどうしたらよいのか。 肉はおいしいとはいえ、実際のところ、肉を育てるには、それだけ餌をつぎ込まねばならず、効率のよい食べ物とはいえない。穀物や野菜を取る方がエネルギー変換率は高い。 今後、人口増加が見込まれる中で、効率的な食肉生産を排除しても対処できるのか? あるいは肉は一切食べないというように、食生活自体を変えていくべきなのか? 最後に示される著者の提案はそれほど極端ではない。 実のところ、現時点で、計算上、食料は全人口を養うことができ、さらにはある程度の人口増加には対処できるだけの量があるのだという。だが、今でも食料が十分に行き渡らず、飢えに苦しむ人々がいる。大きな理由としては、特に都市部で、廃棄されている食料が多いことがある。また、十分に人の食用になるものが、工業化された農業・漁業のシステムによって動物の飼料となっていることも問題だと著者は主張している。もちろん、流通の問題もあるし、保管施設の問題もある。 流通を整え、無駄な廃棄を減らし、動物には残飯を与えれば、現在も、そして将来も、十分な食料を供給することは可能である、と著者はいう。 そして消費者がなすべきことは、適切に生産された食肉を選び、適度な量を購入して食べること。 安い肉にはそれなりの理由がある。現在安価に売られている肉は、薬漬けで飼育されていて、長い目で見れば食べた人の健康を損なうものかもしれないし、環境に大きな負荷を掛け、将来そのツケが跳ね返ってくるようなものかもしれない。 持続可能な道はあるはずだという主張は、ラディカル過ぎず、考えさせる力を持っている。 商業ベースに乗せるということと、安全性やおいしさを追求するということを、両立させることは可能なのか。 そしてもっと根本的に、食べるって、生きるって、どういうことだろうか。 少し立ち止まって考えてみるべきなのかもしれない。 そんな気にさせる1冊である。 *1つ注文をつけるとすれば、内容に比較して、タイトルが大仰であることに違和感を覚える。意味するところは、いうまでもなく「ファーム+ハルマゲドン」なわけだが、このタイトルで手を引っ込める人はそれなりにいそうな気がする(自分も少し引いた)。 この本を興味深く読むであろう読者層に一番アピールするタイトルなのか、個人的にはかなり疑問に思っている。 *魚に関していえば、やはり、マグロや鯛などの肉食性養殖魚は、贅沢品というか、エネルギー効率的にベストじゃないんだろうなと思う。 *ちょっと驚いたのは、養殖漁業の魚の三倍体化の話。『サバからマグロが産まれる!?』でも触れていたけれど、90年代から広く使われていた手法のようで。生殖能力がないため、食欲が保たれ、おとなしくなるし、生殖器官が食用でない場合はその分のロスがなくなるというのだけれど、うーん、合理的といえば聞こえはよいが・・・。

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2015/03/29

ファーマゲドン P・リンベリー、I・オークショット著 工業化された農業・畜産の問題点 2015/3/29付日本経済新聞 朝刊  農林水産省の統計資料「食料需給表」(2013年)の国民1人・1日当たり供給純食料には「肉類82.3グラム、鶏卵46.1グラム、牛乳及び乳製品2...

ファーマゲドン P・リンベリー、I・オークショット著 工業化された農業・畜産の問題点 2015/3/29付日本経済新聞 朝刊  農林水産省の統計資料「食料需給表」(2013年)の国民1人・1日当たり供給純食料には「肉類82.3グラム、鶏卵46.1グラム、牛乳及び乳製品243.8グラム、魚介類74.1グラム」とある。これらは国内産・輸入品を合算して消費者に供給されたもので、廃棄分も含むため消費者が実際に摂取した量とは異なる。しかしそれを勘案しても今日の日本において栄養学的には十分な動物性食品が供給されており、これ以上は必要ないだろう。  食料、特に肉、鶏卵、牛乳、さらには魚等の動物性食品が集約的に生産される現場を2年にわたり取材し、その問題点を多面的に指摘した力作が本書だ。  「工場式農場」「集約畜産」といった用語が頻出するが、いずれも大量生産のために経済効率を徹底的に追求した食料生産を指す。この工業型食料生産システムは、円満に共存していた家畜と作物とを分断し、土壌を酷使してやせ細らせ、生態系を破壊し、動物だけでなく人々にも不幸をもたらした。「農業がもたらす世界の破滅」、つまり「ファーム+ハルマゲドン=ファーマゲドン」なのだ、という。  海洋汚染と資源枯渇をもたらす養殖漁業の問題点を知ると、クロマグロの完全養殖成功を単純に喜び、次はウナギだなどと浮かれてはいけないと気づく。大規模畜産(牛、豚、卵養鶏、肉養鶏)についていえば、糞尿(ふんにょう)などの廃棄物が土壌や河川、海洋を汚染し、飼料製造のために広大な大地がトウモロコシ畑と大豆畑と化していくという指摘も深刻だ。おぞましいまでの光景が次々と広がる。  ただ、動物性食品の生産すべてが本書の指摘どおりではない。畜産生産物の栄養価は飼育方法に大きく依拠すると断定的に書かれてもいるが、疑問に感ずる点もある。肥満は食べ過ぎと運動不足に起因するが、工場式畜産からもたらされる安い肉や卵、牛乳がその原因であるとの論は少々強引に思える。  日本の食卓にのぼる動物性食品の生産現場はどうか? 国内の畜産・酪農業は本書が取り上げるほど大規模ではないにしろ集約化は進んでいる。輸入品では集約畜産の生産物は少なくないだろう。「糖質が多い穀類は健康の敵」として「糖質制限食」を推奨する人々が本書を読むと、動物性食品に偏る食生活の不自然さに気づくのではないか。ヒトは雑食性の生物である。本書が植物性食品と動物性食品を適度に組み合わせて食べることの重要性を見直すきっかけになることを期待する。 原題=FARMAGEDDON (野中香方子訳、日経BP社・2000円) ▼リンベリー氏は家畜の福祉向上を目指す団体のCEO。オークショット氏は英サンデー・タイムズ記者。 《評》群馬大学名誉教授 高橋久仁子

Posted byブクログ

2015/03/25

工場のような家畜飼育 ファーム 農業 がもたらすハルマゲドン 食料植民地主義 バタリーケージ、クレート、ソウ・ストール ブロイラー用のケージ、A4用紙1枚 子牛用の狭い檻、やわらかく白い子牛肉、 妊娠した雌豚用の狭い檻

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