老人喰い の商品レビュー
特殊詐欺の手口から、どのように組織されているのかまでが良く分かるように書かれていました。正直、想像以上です。普通に生きていれば知らない世界を少し垣間見たような気分です。
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富裕老人をターゲットにした特殊詐欺グループのルポ。ドラマ仕立てで書かれているので生々しさがある。 管理・統制された組織で行動している。資産・性格・その他諸々の個人情報を漏洩名簿から綿密にスクリーニングされており、顧客ターゲットは非常に明確。電話の手口も巧妙で、複数名で痴漢現場を再...
富裕老人をターゲットにした特殊詐欺グループのルポ。ドラマ仕立てで書かれているので生々しさがある。 管理・統制された組織で行動している。資産・性格・その他諸々の個人情報を漏洩名簿から綿密にスクリーニングされており、顧客ターゲットは非常に明確。電話の手口も巧妙で、複数名で痴漢現場を再現するなど、リアリティも高い。 ステレオタイプの振込詐欺を想像しているようではカモにされると思った。 摘発されないための行動ポリシーが徹底されていて、下ッ端をつかまえても幹部の摘発は困難だ。 マーケティングリサーチ、リーダーシップ、組織統制、人材育成など、妙なベクトルに進化したビジネス形態に唖然としてしまう内容だった。
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特殊詐欺グループの犯罪手法、教育体制に深く切り込んだルポ。第3章では「研修」の詳細に迫る。研修ではシステム化された選別と洗脳が行われ、潜り抜けた者はどんな会社でも成績を挙げるであろう優秀な営業マンとなる。老人が騙されるのも無理がない。背筋が寒くなる思いがした。
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詐欺現場についてその背景やモチベーションについて小説を読むように読める。 ギャングースのストーリー共同制作の人による本のためそれと重なる部分もある。
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過去5年のあいだにに70代の親戚が2人も振り込め詐欺、オレオレ詐欺に引っ掛かりそうになった。1人は50万、もう1人は100万以上。どちらも途中で気がついて振り込み・金の受け渡しは免れたので良かったが、本人たちもなぜ騙されてしまったのか不思議に思うほど、短時間にあっという間にペー...
過去5年のあいだにに70代の親戚が2人も振り込め詐欺、オレオレ詐欺に引っ掛かりそうになった。1人は50万、もう1人は100万以上。どちらも途中で気がついて振り込み・金の受け渡しは免れたので良かったが、本人たちもなぜ騙されてしまったのか不思議に思うほど、短時間にあっという間にペースに乗せられていたようだ。この程度の金でも(もちろん一般の家庭には大金だが)、100口あったら相当の儲けである。別の身内はATM機で前に並んでいたおばあさんが携帯電話で話をしながら金を下ろそうとしているところを阻止して、警察に表彰された。この手の詐欺はあまりにもありふれた光景であるということだ。 詐欺の手口はどれだけ洗練されてるのか知りたいと思い、この手のルポなら鈴木大介氏だなと思って選んだ一冊。まずタイトルがいい。鈴木大介のルポルタージュは始まりからドラマチックで、特に人物の描写は本人の雰囲気が滲み出ていて臨場感がある。理解しようと努めてインタビューに臨んでいること、そしてそこから受ける印象をうまく文章で表現できていて、鈴木氏のどの本を読んでもそうなのだがいつも感心する。 そんな鈴木氏が見た詐欺業だが、率直にいうと、詐欺は犯罪なので騙す方がもちろん悪い、でも実際のところ騙される方も甘いんだな・・・と思い知った。それは「自分は大丈夫」と油断しているという意味もあるが、詐欺集団が詐欺を成功させるために注ぐエネルギーが尋常ではないので、のんびり構えていると引っかかるのである。この本は「詐欺集団の若者がいかに努力し、優秀であるか」を熱く語ったものである。これだけエネルギー注いでくるんだから、覚悟しとけよ、ということである。 身内の話を聞いて、詐欺に使われる名簿にはかなり詳しい個人情報が載っているのではないかと想像していたが、実際本書ではしっかり調査をして名簿に肉付けしていく様子が描かれていた。それに加えて詐欺プレーヤーたちの 営業(金を奪うまでの一連の業務)への取り組み方が真剣である。営業には必ず事前研修があり、教育係は自己啓発アプローチを盛り込んで本人のやる気を引き出し、また能力が延びるようにきめ細かい配慮をする。隷属でも忠誠でもなく、自分の能力で勝負して金をつかむという成功物語が存在している。賢くて度胸があっても元になるものがない若者がこの道を選ぶ心理はわかる気がする。劣悪な家庭環境・貧困・辺境(過疎の進んだ地方など)出身であったら、スタート地点からしてマイナスである。マイナスの時点から這い上がって、同世代よりも多くの収入を得ること、そして強烈な自己肯定感を得るための自己選択だ。出自で残りの人生が決まってしまう、またそれに甘んじて生きる人たちが大半である中、筆者はこの道を選んだ若者に同情、感嘆さえしている。正直な態度だと思う。読んでる方も同調してしまう。 さて、肝心の「詐欺にひっからない方法」だが、話に乗るか乗らないか、そこが分かれ目なのだろう。どこの家庭でも家族がツボやら印鑑やらの小さな商品を異常な高値で買ってしまったり、安いと思って買った商品が全然価格に見合わなかったという経験はあるはずで、結局のところオレオレ詐欺はこういう商法の進化系で、根っこのところは同じであることを認識した方がいいのだなと思った。 詐欺集団は周到に用意した物語の中に被害者を取り込んで、プレーヤーの1人にしてしまう。商品を買うということは、多くの場合、売る側の宣伝を信じるかどうかにかかっている。ターゲットになる人間の情報を元に売り込みをかけるのが営業、その商材(本書の表現)が化粧品か、健康食品か、架空の商品かという話である。商品の価値が話以上に大きく盛られていたり、実際にない話(子供が不始末をした、会社の金を紛失した、など・・・)を売り込むと詐欺になる。なので、単にそこに入り込まなければ、つまり話にのらなければ、奪い取られることもないのである。
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「ほとんどの老人は、ただ自分のために金を溜め込んで使わない。金は若い連中に廻らない。これは誰のせいだ?」 読んでいる途中でうっかり、老人喰いが正しいのでは、とさえ感じました。 お金というものに安心感を覚えるのは、老いも若きも同じでしょう。だから、抱え込んでいるのだし、騙してでも...
「ほとんどの老人は、ただ自分のために金を溜め込んで使わない。金は若い連中に廻らない。これは誰のせいだ?」 読んでいる途中でうっかり、老人喰いが正しいのでは、とさえ感じました。 お金というものに安心感を覚えるのは、老いも若きも同じでしょう。だから、抱え込んでいるのだし、騙してでも欲しいモノでもある。 こういった問題はいつぐらいからあったのかなと考えてしまいました。または、これも長生きの弊害だったのでしょうか。 時代に望まれない両者の対立だと感じました。
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ここ数十年の日本の苦境の原因は、次の3つにある。 ①若者の打ち立てるビジネスに対して、十分な投資がなされていない ②需要の高いサービスはいくらでもあるが、そのサービスを必要とする人たちに支払えるだけの購買力が無い ③どんなビジネスをするのにも、行政によるさまざまな法や制約や手続が...
ここ数十年の日本の苦境の原因は、次の3つにある。 ①若者の打ち立てるビジネスに対して、十分な投資がなされていない ②需要の高いサービスはいくらでもあるが、そのサービスを必要とする人たちに支払えるだけの購買力が無い ③どんなビジネスをするのにも、行政によるさまざまな法や制約や手続が必要で、その対応だけで時間と人手と利益がすべてふっとんでしまう この3つの課題をクリアできたビジネス、それが本書で出てくる組織による特殊詐欺だと思う。組織は極限まで効率化され、若い働き手たちは高いモチベーションを持ち、とことんまで高収益を上げていく。こういう若者たちが表の世界で同じように力を発揮できれば、日本はもっと活力のある豊かな国になれるはずだ。 しかし実態はそうなっていない。なぜか。上の3つに上げたとおりである。 したがって我々は次のような、逆のことをすればよいのだ。 ①老人を中心に、金のある人達は若者や新しいビジネスに積極的に投資する。 ②多くのサービスを必要とする者(小さい子を持つ家族など)に対して十分に給与や行政の補助を与える。 ③過去に事故や事件が起きるたびに行政が新たなルールをどんどん追加してきたが、それらが本当に必要なのか今一度考えて、ルールを大胆に廃止する。規制緩和ではなく、ルールそのものを廃止することが大事。 本書は①②の重要性について改めて気づかせてくれる。でもね、①②をすればいいだなんて、そんなことは政治家も官僚も本当は分かってるんだよね。わざとやってないんだ。 そしてその結果、現在の特殊詐欺のはびこる社会になってしまったというわけだ。特殊詐欺の被害を訴える老人を含めて私たちは、自分らが選挙で①②を敢えてしないような政治家を選んでいった結果として、特殊詐欺を実際に許してしまう社会を作ってきたんだという事実を、甘んじて受け入れなければならないのだ。
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数ある名作ルポの中でもダントツに面白いのでぜひ読んでもらいたい作品。読みやすいのですからぜひ。 「オレオレ詐欺って犯罪なのに腹が立たないな」と漠然と感じてた理由が見事に言語化されています。 筆者がいうように、優秀(?)な人材の無駄遣いとも思うけど、巷の会社の仕事のくだらなさを考え...
数ある名作ルポの中でもダントツに面白いのでぜひ読んでもらいたい作品。読みやすいのですからぜひ。 「オレオレ詐欺って犯罪なのに腹が立たないな」と漠然と感じてた理由が見事に言語化されています。 筆者がいうように、優秀(?)な人材の無駄遣いとも思うけど、巷の会社の仕事のくだらなさを考えると㈱詐欺本舗でモチベーション高く頑張った方がよいのでは(笑)とすら感じてくる。ただ、ご多分にもれず、儲かるところには内紛・階層構造・中間搾取が激しくなり、成長産業や優秀な組織であってもダメになっていくのは、ビジネスの必然と無情を感じることろであった。(もちろん警察や関係各機関の皆さんのご尽力によりビジネスがしにくくなったという側面も多い。) どうでもいいけども、作中の人物が語る「隠語」の面白さに笑いっぱなしであった。「バグる」「オカワリ」って(笑)
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NHKドラマのサギデカを観て、手にとってみた。2015年に書かれた本だけど、その頃すでに特殊詐欺が始まって十数年たってたということに驚く。モシモシ、オレオレなんてそんなに騙され続けるような詐欺?と思っていたけど、いまもって増える一方。 詐欺のプレイヤーの気質というか属性というか、...
NHKドラマのサギデカを観て、手にとってみた。2015年に書かれた本だけど、その頃すでに特殊詐欺が始まって十数年たってたということに驚く。モシモシ、オレオレなんてそんなに騙され続けるような詐欺?と思っていたけど、いまもって増える一方。 詐欺のプレイヤーの気質というか属性というか、そういうものを本書で知り、だからなくならないし高度化しているのかと納得。詐欺は犯罪だけど、凄まじいほどの世代間格差が元凶で、筆者の言う通り、与え育てること、を社会全体で考えることが数少ない処方箋かもしれない。想像もつかぬほどの格差と分断が進み、自己責任、言葉がこれ以上跋扈しない世の中になることを祈りたい。
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ニュースでよく見かける「高齢者詐欺」 どういうモノが高齢者詐欺なんだろう。知りたいなーと思って読んでみたら、内容は全然違った。 高齢者詐欺をしているのはどんな集団か 彼らはどんな歴史を持っていて、どう詐欺に出会ったのか 詐欺を働く人間たちはどんな意識を持っているのか そんなこ...
ニュースでよく見かける「高齢者詐欺」 どういうモノが高齢者詐欺なんだろう。知りたいなーと思って読んでみたら、内容は全然違った。 高齢者詐欺をしているのはどんな集団か 彼らはどんな歴史を持っていて、どう詐欺に出会ったのか 詐欺を働く人間たちはどんな意識を持っているのか そんなことがリアルに描かれていた。 生々しい描写に同情やしんどさを感じる一方で、 自分もひとつ間違えれば彼らの側だったかもしれないなと思うほどの日本社会の厳しさも感じた。 日本がどんな社会になっているのか、 その闇の部分か非常によくわかる一冊だと思う
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