珈琲店タレーランの事件簿(4) の商品レビュー
今回は今までよりも事件色は薄まり、人情ものといったところか。まさかの主人公が登場しない話もあったりしたが、悪くはなかった。
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- ネタバレ
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タレーランにゆかりの人たちが、珈琲店の空気を身にまとい、美星バリスタをポケットに入れて、京都のあちらこちらへ出かけて行った。うん。そんな感じ。 2冊目までのように時が止まったような珈琲店の中で解かれる謎でもなく。3作目のようにげんなりさせられる醜い人間の欲望や悪意に満ちた居心地の悪い空間に閉じ込められたような息苦しさの長編でもなく。 ひとつひとつが、藻川やアオヤマ、美空や美星…タレーランの珈琲の香りを纏う人たちの周りの空気に包まれて解きほぐされてゆく物語。 連作ではなくて、完全にひとつひとつがそれぞれの世界の中だけの広がりで。 暗めのランプシェードの灯りに照り映える、古びた飴色のカウンターに等間隔で並べられ、青いガスバーナーの炎にかざされて静かに沸き立つサイフォンを、無心に眺めているような読み心地だった。珈琲にはネルのフィルターが一番だと思うけれど、サイフォンの演出も捨てがたいですよね。 にしても、今作では美星とアオヤマの関係は進展なし、か。残念。 小さなストーリーたちがほどよく醸されたあと、懐かしい珈琲店に戻ってからの2編は、ほどよく柔らかい香りにくつろげる物語でした。 また近いうちに、タレーランを訪れたいですね。
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今回は短編集。スピンオフっていうのかな、懐かしい顔もチラホラと。 ちょっと淋しいのは、アオヤマさんと美星さんの絡みが少なくて、「その謎、大変良く挽けました」のセリフと立ち上る珈琲の香りが堪能出来なかったこと。次作では二人の距離が近づくかしらね。
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