桜の首飾り の商品レビュー
暑くなりきってしまう前に読めて良かった。 繊細な心と桜の相性の良さを感じる。 不安定だからこそ美しいのかな。 どの話も語り手がまるで違うのに 空気感が似ていてすぐに惹き込まれる。 胸に秘めたことがあってもそれぞれグッと堪えて生きてる。 そこに静かな励ましを感じる。
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桜と人生をめぐる短編集。 春にぴったりな作品だと思い手に取りました。桜がモチーフとなり、千早さんならではの幻想的な描写が楽しめました。 それぞれ変わった人たちが登場し、その人と関わり心が繋がる瞬間に、なにか救われたような気持ちになる作品でした。
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千早さんテイスト満載な一冊でした。 艶めかしくダークで、とても純粋で正直な登場人物がたくさん。 ”危ないって思うまでは目を奪われることを恐れなくていい。『異形のものに神宿る』と申しますでしょう。何が良くて何が正しいかなんて一概に言えません。昔の人は今よりずっと大らかでしたよ。”...
千早さんテイスト満載な一冊でした。 艶めかしくダークで、とても純粋で正直な登場人物がたくさん。 ”危ないって思うまでは目を奪われることを恐れなくていい。『異形のものに神宿る』と申しますでしょう。何が良くて何が正しいかなんて一概に言えません。昔の人は今よりずっと大らかでしたよ。” ”露悪的に見えても遠回りしているように見えても、それは完成するために欠かせない工程なのです” ”無理して自分を納得させなくていい。生涯、自分の幽霊を見るような生き方はしなくていい” 私は桜が好きだろうか?? 桜の思い出はいくつかある。 でも、その桜の光景ではなく、思い出すのは誰と一緒だったかだけだったりする。
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※このレビューにはネタバレを含みます
千早さん作品では珍しく、大切な人とつぎの約束があった。2度と会えなかったりしなかった。正直、私は桜があんまり好きじゃない。毎年「美しさ」を人間にしゃぶり尽くされて、アスファルトで黒ずむ花びらを見ると目を背けたくなる。私の喜びは、誰かの苦しさを踏みつけた上にあるんだろうなと自覚してしまう。どこまでを世の摂理として受けいれるべきなのか、最近よくわからない。 ・画びょうで壁にぎゅっと貼りつけるような言い方 ・人間なんて単純なものです。自分にとって価値があるものにね、金や時間を注ぎ込むんですよ。 ・人が完全にわかり合うことはできないと私は思う。でも、繋がることはできる。美しいもの、優しいもの、鮮烈なもの、そういった心動かすものに触れた時、人の心は一瞬溶ける。そんな時に共感する誰かに出会えたなら、とても幸福なことだ。その瞬間はきっとその人の支えになるだろう。
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桜がモチーフの短編集。 「あたしは…クラスの子たちより言葉を知っていると思う。言葉の数とかじゃなくて、その意味や味を知っている。例えば、失望とか、羞恥とか、後悔とか、孤独とか。だって、あたしはそれらの言葉を口に入れて、噛みしめて、涙がにじむくらいその苦しみを舌に浸み込ませて...
桜がモチーフの短編集。 「あたしは…クラスの子たちより言葉を知っていると思う。言葉の数とかじゃなくて、その意味や味を知っている。例えば、失望とか、羞恥とか、後悔とか、孤独とか。だって、あたしはそれらの言葉を口に入れて、噛みしめて、涙がにじむくらいその苦しみを舌に浸み込ませて、やっと飲み込んできたから。そして、飲んだ後もその言葉たちによって内臓をぐちゃぐちゃにされたから。【初花】」 その言葉の、経験に基づいた本当の意味を知っている人と、そうでない人とで、同じ言葉を発していても、その重みが異なると感じることは度々あるけれど、その感覚が「言葉の味」という表現で、上手に描写されている文章。 「人々の流れの中で、私は古い建物や展示物の建物や展示品の一部になる。そして、乾いた時間に静かに埋もれる【春の狐憑き】」「お酒に酔えないわたしが溺れるのは恋愛なのよ、きっと。…わたしは他人を操りたい。操りながら束の間の関係に溺れたい。…過去も未来も日常の煩わしい想いもなく、ただ、肉体として存在するだけのわたしになりたい【エリクシール】」 美術館で働く女性も、夫への復讐を続ける女性も、“我を忘れ、自分が自分でなくなるような感覚”を渇望している。表立っては言いづらいけれどたしかに存在する、正気を狂わすような欲望が、どの作品にも登場し、読み手に揺さぶりをかけてくる。 「私がはじめて見た桜は紫色をしていた。【あとがき】」人と人は完全に分かり合えることはないとしつつも、「泣きたくなるくらい幸福」な景色を誰かと共有することを支えとし、そこに幸福を見出す作者にとって、桜は美しさや心動かすものの象徴なのかなと思った。
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千早さんの優しい文章。 心を落ち着けるのにちょうど良く、すっと入ってくる。 桜の花ひとつとってもいろんな人のいろんなストーリーがあることを気付かされた。 自分の桜の思い出は、大学生の新歓、子どもと歩いた桜並木、とかかな? 桜の季節に読み返したい本。 来年の春は部屋にも桜の挿し木を...
千早さんの優しい文章。 心を落ち着けるのにちょうど良く、すっと入ってくる。 桜の花ひとつとってもいろんな人のいろんなストーリーがあることを気付かされた。 自分の桜の思い出は、大学生の新歓、子どもと歩いた桜並木、とかかな? 桜の季節に読み返したい本。 来年の春は部屋にも桜の挿し木を飾りたいと思いました。
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桜のように切なくて淡いお話だと思いました。また桜の咲く季節になったら読み返したいな。より桜が好きになれます。
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【2023年87冊目】 私が初めて千早茜さんの作品に触れたのは「男ともだち」だった。衝撃を受けた。あまりにも好みの作品だと思った。今でも全ての作品を読めているわけでたいはないが、無条件で、両手をあげて、白旗を振って、私は千早茜さんが書いた作品が好きであることを認めざるを得ない。 ...
【2023年87冊目】 私が初めて千早茜さんの作品に触れたのは「男ともだち」だった。衝撃を受けた。あまりにも好みの作品だと思った。今でも全ての作品を読めているわけでたいはないが、無条件で、両手をあげて、白旗を振って、私は千早茜さんが書いた作品が好きであることを認めざるを得ない。 本作は「桜」をモチーフにした短編集だ。「管狐を飼っている」という一風変わった"尾崎さん"に救われる話から、"お酒"をテーマにした話、"刺青"をテーマにした話まで、バラエティに富んでいる。富みすぎているといっても過言ではない。 7つの短編集はいずれも味わい深くて、次はどんなお話が飛び出すのだろうとドキドキしなからページをめくり続けたのだが、特に好きなのは先に上げた3つのお話である。 加えて、巻末に千早茜さん自身の「あとがき」が収録されているのが僥倖だ。作者の物語以外の時の言葉を聞けるのは読者にとっての何よりのボーナスタイムだと思う。 やはり大好きな作家さんだと改めて思った作品だった。これからも自信をもって推していきたい。
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念願通り、桜を眺めながら読みました。 どのお話もひらひらと美しかった。 ひとつ選ぶとしたら、春の狐憑きが好きかなー。 以前、ある桜好きの人が、 桜はあんまり縁起の良いものでは無いと思う と言っていたけれど 私は桜には不思議な良い力があると思ってる。 花荒れ、でも描かれていた...
念願通り、桜を眺めながら読みました。 どのお話もひらひらと美しかった。 ひとつ選ぶとしたら、春の狐憑きが好きかなー。 以前、ある桜好きの人が、 桜はあんまり縁起の良いものでは無いと思う と言っていたけれど 私は桜には不思議な良い力があると思ってる。 花荒れ、でも描かれていたけれど 何度でも、幸福な夢のような日々が咲くことを期待させてくれる そんな力を持っていると思う。 春の物思いのお供に。星5⭐️
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―― 季節には間に合いませんでしたが。 初見作家週間その2。桜にまつわり、ひととひとの繋がりを物語にする短編集。 首飾り、と云うタイトルが、作中にも登場する桜の花弁を繋げて作る首飾りとも重なり、連なってひとつの作品になっている。直接繋がってるわけじゃないけれど、モチーフとして根っこにあるような。 そのあたり桜に親しんでいる日本人としては、とても取っ付き易いのかなと思いました。 以下は個人的な好みの話になります。 んー、ちょっと合わないかなという感じ。 文章的にも物語的にも、なんだか肩肘張った感というか、頑なな雰囲気があって。特にネガティブな表現に対するとその雰囲気がちょっと、当たりがキツイ。短編ということもあるのだろうけれど、キャラクタがとても硬直した人間観を持っているひとみたいにみえてしまって、あまり好きになれませんでした。なんていうか、怒ってると敬語になるひとが沢山いるみたいな。棘々して頑なになることで自分守ってる女子みたいな。うーん? とにかく自分自身の持っている桜に対するイメージにどの物語もまったく合わなかったので、桜をモチーフにした短編集、という自分好みな枠だったこともあり、反動で評価は低め。 桜のある種不気味な、無責任な、呪いのような部分を強く感じているひとには、いいかもね? ☆2.2
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