無頼のススメ の商品レビュー
伊集院静(1950~2023年)氏は、在日韓国人2世として山口県に生まれ(その後帰化)、立教大学文学部卒、広告代理店シマ・クリエイティブハウス、電通勤務後、作家に転身し、1992年に『受け月』で直木賞、その後も、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞、司馬遼太郎賞等を受賞。2011年に出版...
伊集院静(1950~2023年)氏は、在日韓国人2世として山口県に生まれ(その後帰化)、立教大学文学部卒、広告代理店シマ・クリエイティブハウス、電通勤務後、作家に転身し、1992年に『受け月』で直木賞、その後も、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞、司馬遼太郎賞等を受賞。2011年に出版した『大人の流儀』は、その後シリーズ化し、ベストセラーとなった。二人目の妻は夏目雅子、三人目の妻は篠ひろ子。伊達歩の名で作詞家としても活動し、近藤真彦の『愚か者』(1987年日本レコード大賞)等を作った。競輪、麻雀をはじめとしたギャンブルにも造詣が深く、「無頼派作家」と呼ばれた。紫綬褒章受章。2023年10月末、肝内胆管がんの診断を受け、治療のために活動を中止することを明らかにしたが、11月24日に死去。享年74。 私はこれまで、伊集院氏の『伊集院静の流儀』、『旅人よ どの街で死ぬか。男の美眺』等を読み、同性の男から見ても惚れ惚れするほど恰好がいいが、一方で、シニカルというか、達観しているというか、そのように見える価値観に僅かな反発を感じていたのだが、今回の訃報を聞き、伊集院氏の書いたものをもう一度読んでみようと思い、本書を手に取った。 そもそも「無頼」とは何か。。。? 辞書によると、「①正業につかず、無法な行いをする者。また、その行為。②たよるべきところのないこと。」である。そして、伊集院氏は冒頭で、「無頼とは読んで字のごとく、「頼るものなし」という覚悟のことです。」と書いた上で、「何かの主義やイズムにせよ、他人の意見にせよ、自分の頭と身体を使って考えるのではなく、いつも何かに寄りかかって生きようとする人には、狭量さと不自由がついて回ります。しかし、頼るものなし、と最初から決めていると、まず他人に対して楽でいられる。自分は、何かや誰かに頼って生きるのではない。腹の底でそう決めておけば、他人にどう思われようがどうでもよくなってきます。・・・「頼るものなし」という姿勢ができると、周りに振り回されて右往左往することがなくなります。」、「無頼というと、一人きりのアウトローみたいに思うかもしれないが、それは違います。いつも誰かとつるんでいたり、他人と自分をひき比べて悩んだりするのではなく、自分の駄目さ加減をよくよく知っておくこと。それが第一歩で、だから独立独歩を貫くことができるようになる。」と「無頼」をススメるのだ。 そして、具体的な24の心得を挙げるのだが、それらは次のようなものである。「正義など通らないのが世の中だ」、「生きものとしての勘を磨く」、「人とつるまず、「孤」を知ること」、「理不尽こそが人を育てる」、「人間は何をするかわからない生きものだ」、「誰でも「事情」を抱えて生きている」、「自分のフォームで流れを読む」、「虚しく往くから実ちて帰れる」、「差し伸べた手にしかブドウは落ちない」、「顔は死生観まで映し出す」、「神や仏にだって頼らない」。。。等々。 私は基本的に理想主義者で(年をとるに従って理想主義的になった)、今も世界各地で起こっている紛争や様々な問題を見ても、人間はもっと賢明になれるはずだと考える方である。しかし、伊集院氏の、現実はそんなものではない、という主張も理解するし、そうした思考も、世の中を渡っていく上では必要なものであろう。 伊集院氏は、最後の項で、「「俺は俺で打ち止め」・・・宿縁とか業とか罪とか、自分の中に何があるにせよ、自分をいう存在はすべて自分で終わり。たとえ来世があっても一切思いをかけない、死をもって自分は跡形もなくなる。そう考えているのです。」と書いているのだが、今ごろ彼岸で何を考えているのだろうか。。。 (2023年12月了)
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「大人の流儀」シリーズが好きで、本書にも同じような内容を期待しました。「大人の流儀」シリーズが、折々の事件、著者の身の回りの出来事を題材に、読者への生きる勇気を与えてくれるような内容なのに対し、本書は著者のいいたいことをまとまりなくつぶやいているだけという読後感でちょっと残念でし...
「大人の流儀」シリーズが好きで、本書にも同じような内容を期待しました。「大人の流儀」シリーズが、折々の事件、著者の身の回りの出来事を題材に、読者への生きる勇気を与えてくれるような内容なのに対し、本書は著者のいいたいことをまとまりなくつぶやいているだけという読後感でちょっと残念でした。
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本来なら小説などを読んで、その世界観に惹かれてから入るべきなのであろうが、自分にとっては初めての伊集院静の著書。 そういうこともあって、あまり予備知識や先入観もない状態で読めたので、逆に真っ当なことを言っているのと同時に、何処か達観しているも、あまり冷徹さまでは感じない文体と...
本来なら小説などを読んで、その世界観に惹かれてから入るべきなのであろうが、自分にとっては初めての伊集院静の著書。 そういうこともあって、あまり予備知識や先入観もない状態で読めたので、逆に真っ当なことを言っているのと同時に、何処か達観しているも、あまり冷徹さまでは感じない文体と感じた。 人生論と言えば、それは本来誰にも強要すべきことではないものであろうが、あらゆる事に経験の少ない自分にとっては大いに参考となるものであり、そういうものは思いもかけず血肉となり、思考の何処かに影響を及ぼすものと信じている。 なにかと組織や、他人を気にしすぎる自分には、 「人とつるまず、孤を知ること」という言葉が突き刺さる。しかし孤を知るということは単に独りよがりではなく、他者との関わりを前提にしているも、それのみに陥ることなく、自身を見極め、知ることにであり、ある意味結局人として死ぬのは孤という真理に通じるのであろう。
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自分はどうしようもない人間で、ひどい怠け者なんだ、と自分自身の弱さをとことん知っておくことが無頼。 「俺は救いようのないダメな人間だ。世の中で一番の怠け者かもしれない」そう自覚して、そこから動き出す。そういう人はなかなか負けない。空海の虚しく往きて実ちて帰る。自分の弱さを認める。...
自分はどうしようもない人間で、ひどい怠け者なんだ、と自分自身の弱さをとことん知っておくことが無頼。 「俺は救いようのないダメな人間だ。世の中で一番の怠け者かもしれない」そう自覚して、そこから動き出す。そういう人はなかなか負けない。空海の虚しく往きて実ちて帰る。自分の弱さを認める。 だから努力できる。 無心でいるから素直に物事を見れて、成長ができるのかな。 スマホの情報は、らしいよの情報だけ。自分で体験して、直感、本能を磨け。 あとは、人の行く裏に道あり花の山
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小説家のエッセイ。表現が良いなぁと思う所も多々あったが、何故「無頼」をススメるか、が分からなかった。無頼の良さも分からなかった。まぁ面白かったけど、う〜ん。な感じでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「無頼」に生きることについて、伊集院静さんの経験と人生観を通して書かれた本。 本書における「無頼」とはアウトロー的な意味ではなく、「何ものにも頼らずに生きる」姿勢のこと。 何ものにも頼らずに生きるには自分を知ることから。自分を知る人が独立独歩で生きることができる人なのです。
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立教大から広告大手の電通を経てテレビCMのディレクターとして活躍し、後に妻となる夏目雅子を起用したカネボウの「クッキー・フェース」など500本に上る作品を世に出した作家による人生の指南本。自らを「大酒飲みでギャンブル狂」と称する筆者だが、その感性は繊細で文章は思いやりに溢れており...
立教大から広告大手の電通を経てテレビCMのディレクターとして活躍し、後に妻となる夏目雅子を起用したカネボウの「クッキー・フェース」など500本に上る作品を世に出した作家による人生の指南本。自らを「大酒飲みでギャンブル狂」と称する筆者だが、その感性は繊細で文章は思いやりに溢れており、「無頼を演じているイイ人」なんだろな、というのがこの本から受ける印象。2010年から週刊文春に連載されて人気となった『悩むが花』で読者から寄せられた、仕事や恋愛・家族などに関する深刻な(時にはしょうもない)悩みを伊集院流に一刀両断する斬新な人生相談は文庫本にもなっており、本書と併せて読まれる事をおススメ します。
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①正義など通らない 正しいと信じる道を進むべき。進みたいと思うが、その信念の先にあるそのものが本当に正義なのか。その行動が、正義を貫くものなのか。 ➁苦労は買ってでもしなさい どんなに今苦しくても、耐え抜いて最後まで立っている。なるほどな。留学をして、日本人が持つ忍耐の精神は異常...
①正義など通らない 正しいと信じる道を進むべき。進みたいと思うが、その信念の先にあるそのものが本当に正義なのか。その行動が、正義を貫くものなのか。 ➁苦労は買ってでもしなさい どんなに今苦しくても、耐え抜いて最後まで立っている。なるほどな。留学をして、日本人が持つ忍耐の精神は異常なもののような気がしている。自らの体をボロボロにしてまでがむしゃらに頑張って、色々なものを失っていく人生にはしたくない。しかしこの本を読んで考えたことは、そうして人生を苦しむ原因は結局他者に頼り、自分で決断したことをやっていないからなのではないか。自分の信じる道を邁進することは逆に人間に活力を与え、人生を豊かにしていく。
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心に響くフレーズ ① 違和感を大切にする。 ② ここに友達でもいい、自分以外の誰かがいるとしましょう。そいつが痛がったり、泣いていたりしているのを見てかわいそうだと感じる。あるいは一緒に泣けたりしたなら、教育の80パーセントはもう済んでいますから。
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著者の無頼の人生訓。 自分一人でどうにかする力が大事だし、無理することもあるが人生いろいろと再確認する一冊。 しかし、この人、本は面白いがひねくれてて反面教師的な存在であるのは相変わらずです。
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