経済で読み解く 大東亜戦争 の商品レビュー
大東亜戦争が起きた経緯を経済的な観点から読み解く一冊。 そもそもの悪は、金本位制にあったと著者は考える。 金本位制では、各国の通貨発行量は、国の金保有量に縛られるため、国が成長する過程においては、どうしても通貨が足りなくなる。 通貨が足りなくなると、デフレになり不景気になり、国...
大東亜戦争が起きた経緯を経済的な観点から読み解く一冊。 そもそもの悪は、金本位制にあったと著者は考える。 金本位制では、各国の通貨発行量は、国の金保有量に縛られるため、国が成長する過程においては、どうしても通貨が足りなくなる。 通貨が足りなくなると、デフレになり不景気になり、国民は困窮する。 国が通貨発行量を調整できるようにするためにも、各国は金本位制から脱却するべきだったのに、金本位制に縛られてしまったがために、経済は混乱し国民は困窮した。 平和な時は見向きもされない極端な思想も、生活が逼迫すると、危険思想に国民は飛びついてしまう。 こういった経緯で日本は、大東亜戦争に突っ込んでしまった。 そして、ドイツでは第一次世界大戦の賠償に苦しめられた国民が困窮し、ヒトラー政権が誕生した。 歴史は繰り返す。再び国民が、極端な危険思想に染まってしまわないように、経済を安定させることが国の責務であると著者は主張する。 戦争は政治の失敗であると再認識した一冊。
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(2015年発行) ・日本はなぜ戦争をしたのか→悪手を打つように敷かれたレールの上を強制的に走らされた。 ・世界恐慌も昭和恐慌の真因はデフレ=お金不足で発生する貨幣現象。 ・島国であるイギリスが経済大国になった理由。金本位制は効率的に貿易決済を行ううえですぐれた制度。19世紀の世...
(2015年発行) ・日本はなぜ戦争をしたのか→悪手を打つように敷かれたレールの上を強制的に走らされた。 ・世界恐慌も昭和恐慌の真因はデフレ=お金不足で発生する貨幣現象。 ・島国であるイギリスが経済大国になった理由。金本位制は効率的に貿易決済を行ううえですぐれた制度。19世紀の世界貿易はイギリスが確立した国際金本位制度で飛躍的に進歩。 ・金本位性を採用する限り、その国の金の保有量を上限としてそれ以上のお金を供給することができない。 ・長期デフレを脱却して19世紀後半にアール・ヌーヴォーの運動がおこった。その作風は産業革命的な工業製品のアンチテーゼ。 ・1906年サンフランシスコの大地震→保険会社の保険金支払いに巨額の資金必要→金本位性だったので、ロンドンから金を輸入→イギリスによる金の過剰防衛→1907年恐慌 ・日本だと日露戦争後に戦後恐慌。中国や朝鮮に投資を行うため金の国内からの流出がおこる。国内で使う金を減らすか外国から調達するしかない。しかしイギリスが利上げしていたためたくさんの金利を支払わないと調達できなくなっていた。 ・1931年、日本は金本位制を離脱。 ・イギリスが金本位制を停止すると、自国通貨をポンドにリンクする国があらわれた。スターリン・ブロック。悪名高いブロック経済。 ・戦後、アメリカは日本を弱体化して2度と戦争ができない国にする予定だったが、冷戦構造の激化により日本経済を復興させなければいけなくなる。
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たかだか250ページの本に一ヶ月半も掛かってしまった…今年はほんと読書に回す時間が取れない…と言い訳 やっぱり歴史は繋がっているので大東亜戦争へたどり着くまでに一次大戦辺りからの世界情勢を踏まえておかないと訳分からんになりますわな〜金本位制への復帰後の世界経済の流れやブロック経済...
たかだか250ページの本に一ヶ月半も掛かってしまった…今年はほんと読書に回す時間が取れない…と言い訳 やっぱり歴史は繋がっているので大東亜戦争へたどり着くまでに一次大戦辺りからの世界情勢を踏まえておかないと訳分からんになりますわな〜金本位制への復帰後の世界経済の流れやブロック経済の影響など日本国内における紆余曲折は非常に面白かったです。こういう歴史を読むとやっぱ歴史って繰り返すんだ…って思っちゃいます。何回も同じミスして覚えるんじゃなくて一回で覚えたいもんですよね(笑) 経済対策など難しい話がいっぱい出てくるけど、分かりやすいと思います。「そういうことだったのか」って思うトコがあって面白い一冊でした。
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このシリーズのいつものごとく、タイトルに出てくる大東亜戦争への流れは後半の終わりの方まで出てきません。 第一次世界大戦までの世界の情勢と経済の変動から大戦後の各国の動き、『金本位制』の始まりとそこからの脱却が主な軸です。 この本が発売されたのは2015年2月ですが、2019年...
このシリーズのいつものごとく、タイトルに出てくる大東亜戦争への流れは後半の終わりの方まで出てきません。 第一次世界大戦までの世界の情勢と経済の変動から大戦後の各国の動き、『金本位制』の始まりとそこからの脱却が主な軸です。 この本が発売されたのは2015年2月ですが、2019年5月現在も、この本の終盤に書かれている状況はあまり変化がありません。 未だに増税やむなし論を強弁している人たちにはどんな思惑があるのでしょうか。 民主党政権下の経済政策の論調と大東亜戦争突入前に経済失速させた連中の言ってることが同じなので政策失敗は当然だが、なぜ今の自公政権も同じ轍を踏もうとしているのか理解に苦しみます。 やはり内部に暗躍している何者かが居るのかなぁ。
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「金本位制」に着目しながら、1900年代前半の世界史を分析しています。 中学、高校で学ぶ世界史、日本史は、歴史の流れを思想・宗教などに基づいて理解しようとしますが、本書は経済の観点から説明を試みており、とてもおもしろかったです。 あとがきに「衣食足りて礼節を知る」という言葉があ...
「金本位制」に着目しながら、1900年代前半の世界史を分析しています。 中学、高校で学ぶ世界史、日本史は、歴史の流れを思想・宗教などに基づいて理解しようとしますが、本書は経済の観点から説明を試みており、とてもおもしろかったです。 あとがきに「衣食足りて礼節を知る」という言葉がありますが、そういう人間観をベースに、経済に着目して歴史を見ています。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
通勤時に聞いている、文化放送の朝帯び番組、月曜のコメンテーター。 大東亜戦争は日本のデフレが原因・・なんとなくは理解できたけど、やっぱ経済学って難しいな。近現代史の年表と照らし合わせつつ、通読。 このかた、中国はあくまでも「支那」っておっしゃるのね・・・
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どうして学校教育では金輸出だとか解禁だとか言葉を教えるだけでその意味を教えないのだろうか。片岡直温の失言はなにを意味していたのか、そのときの台湾銀行、鈴木商店との関係は(これはこの本に特段と書かれてないけどさ)。そういうところを明らかにしないで、ただ言葉だけ覚えさせる日本の歴史教...
どうして学校教育では金輸出だとか解禁だとか言葉を教えるだけでその意味を教えないのだろうか。片岡直温の失言はなにを意味していたのか、そのときの台湾銀行、鈴木商店との関係は(これはこの本に特段と書かれてないけどさ)。そういうところを明らかにしないで、ただ言葉だけ覚えさせる日本の歴史教育。大丈夫かー!と思った。
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いつの時代でも、重要な価値観、衣食たって礼節を知る。 国民経済をしっかり維持発展させることが、無謀な戦争に巻き込まれないようにするための為政者の鉄則だ。 金本位制、基本的に金の保有量でもって、通貨の量を調整する、そんなことでもって、無限な人間の欲得から発する経済活動をコントロール...
いつの時代でも、重要な価値観、衣食たって礼節を知る。 国民経済をしっかり維持発展させることが、無謀な戦争に巻き込まれないようにするための為政者の鉄則だ。 金本位制、基本的に金の保有量でもって、通貨の量を調整する、そんなことでもって、無限な人間の欲得から発する経済活動をコントロールできるわけがない。 デフレを生じさせ、国民生活の困窮、経済の不安定化、そのことが、危険な思想でもって、国の政策を誤らせてしまう。 なんで、あの時代の人々は、そんな危険思想に毒されてしまったのだろう? 衣食たって礼節を知る状態の人々からしたら、アンビリーバブルなことが起こってしまったのだ。 この本は、いままで、習った所謂「通説」が如何に、スーパフィッシャルな見方であったのかを教えてくれている。 社会科学という捉え方も基本的には気に入らないが、せめて、人間が起こしてしまう社会現象を色んなジャンルから捕捉してほしいものである。 所謂「通説」おたくの本は、一種のプロパガンダとして、読むのがよろしいようで(笑)。
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金本位制がデフレの元凶であったことがよく分かった。 保有している金以上に貨幣を刷れない縛りが おカネ不足を引き起こしデフレになると。 デフレが失業に繋がり 失業が 貧困へ、 貧困が危険思想へ、 危険思想が 破滅する選択へ 2度とこのような誤った判断によって滅ばぬように するた...
金本位制がデフレの元凶であったことがよく分かった。 保有している金以上に貨幣を刷れない縛りが おカネ不足を引き起こしデフレになると。 デフレが失業に繋がり 失業が 貧困へ、 貧困が危険思想へ、 危険思想が 破滅する選択へ 2度とこのような誤った判断によって滅ばぬように するための提言が本書の本質
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▼第2次世界大戦に到った経緯を金融経済の視点からザックリ考察していった良書です。経済知識のない人でも理解は難しくないと思います。 ▼ザックリ言うと、人間は余裕がある時は過激に思想には簡単にはなびかない。貧すれば鈍す。社会も同じく景気が悪くなると単純化した過激派の勢力が大きくなる...
▼第2次世界大戦に到った経緯を金融経済の視点からザックリ考察していった良書です。経済知識のない人でも理解は難しくないと思います。 ▼ザックリ言うと、人間は余裕がある時は過激に思想には簡単にはなびかない。貧すれば鈍す。社会も同じく景気が悪くなると単純化した過激派の勢力が大きくなる。 ▼大戦前アジア・ヨーロッパのお金がアメリカに集中する仕組みになっていた。アメリカに集中し過ぎてアジア・ヨーロッパが不景気になった。 ▼不景気により日本では共産党、ヨーロッパではナチスとコミンテルンが勢力を伸ばした。不景気 を打破する為に破壊的創造などの過激なスローガンが持て囃された。 ▼地政学的に大国は大国である限り必ず他の大国と衝突する。環太平洋の地域大国の日米露中はぶつかる素地があった。 ▼経済失政が続く日本では国民は現状打破を求め、アメリカ陰謀論をがなりたて戦争を賛美する新聞に熱狂する。そして後戻り出来なくなった。 ▼さらっと読めてなんとなく分かって賢くなった気分になれます。
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