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なぜふつうに食べられないのか の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2023/09/28

「人生の過程においてふつうに食べられなくなった6人の女性にインタビューし、「拒食や過食がやめられない」という一見大多数の人とはかけ離れた女性の人生の中に、人が食べて生きることの根源的な意味を見出す。」 〈磯野真穂〉 早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。国際医療福祉大学大学院講...

「人生の過程においてふつうに食べられなくなった6人の女性にインタビューし、「拒食や過食がやめられない」という一見大多数の人とはかけ離れた女性の人生の中に、人が食べて生きることの根源的な意味を見出す。」 〈磯野真穂〉 早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。国際医療福祉大学大学院講師(博士(文学))。医療人類学専攻。現役の医療者に向け文化人類学を教える傍ら、医療現場でのフィールドワークを続ける。

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2023/09/09

多面的に「普通に食べられない」ことに関して考えている。 病気という「免罪符」が必要な人がそのために摂食障害になっているという側面。 なんというか、なんというか、、 全面的に「寄り添う」必要はあるが根本解決にはその「承認欲求」「かわいそうだと思われたい」心を無くさないといけない。同...

多面的に「普通に食べられない」ことに関して考えている。 病気という「免罪符」が必要な人がそのために摂食障害になっているという側面。 なんというか、なんというか、、 全面的に「寄り添う」必要はあるが根本解決にはその「承認欲求」「かわいそうだと思われたい」心を無くさないといけない。同情だけでなく冷静な目でその真因を探るというアプローチも必要だと感じた。 真因はいろいろあるとして、摂食障害の人と関わる際に私たちには何ができるのだろうか。わからなくなってきた。

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2022/08/15

ダイエット本の文化抽出に比べると、治療にまつわる医学領域に重きをおいた感じの学術本の様相。 個別的なケースの例示から、分析における理論の実態と、 物質的に捉えきれない根源の与しにくさに対する課題について、筆者の視座がうかがえる。 性別などの条件もあり、個人としては疎遠な摂食障...

ダイエット本の文化抽出に比べると、治療にまつわる医学領域に重きをおいた感じの学術本の様相。 個別的なケースの例示から、分析における理論の実態と、 物質的に捉えきれない根源の与しにくさに対する課題について、筆者の視座がうかがえる。 性別などの条件もあり、個人としては疎遠な摂食障害にまつわる「感情や行動」については興味を引く題材であるため それを通じて、心理学ともまた異なる文化人類学の鉄扉をいくらかくぐることが出来たのやも。

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2022/04/01

食べることを当たり前にできていることは、考えてみれば不思議なことだ。本能という言葉だけではくくれない複雑さがそこにある。 私も子供を産んだとき、授乳に苦しむ母たちの姿を見た。子供がミルクを飲んでくれないと泣きながら苦しむ母を見ながら、食物を得ることは大変なことなのだなあと思ったこ...

食べることを当たり前にできていることは、考えてみれば不思議なことだ。本能という言葉だけではくくれない複雑さがそこにある。 私も子供を産んだとき、授乳に苦しむ母たちの姿を見た。子供がミルクを飲んでくれないと泣きながら苦しむ母を見ながら、食物を得ることは大変なことなのだなあと思ったことを思い出した。 私達はつながりのなかで、食べることなど、ハビトゥスを学んでゆく。摂食障害はそのつながりを手放してゆくことなのではないか。そして、ふつうに食べられないことで、さらに孤立化していく。人間は心底関係性の生き物なのだと感じた。 家族モデルが、救済をもたらす一方、その関係性のなかに閉じ込められてしまう指摘も面白いなと思った 。自分も両親との関係で難しさを感じている。信田さよこさんの本で書かれていたように、自責から逃れるために、家族モデルを知ることはひとつの救いになる。だけど、そのさきに、母との関係性であるという主人公を降りることが必要なのだなとも思っていた。 文化人類学のイメージも拡がった。文化人類学は、海外でフィールドワークをするというステレオタイプがあったけど、それだけではないのだなと思った。これは社会学におけるヒアリングやインタビューとは何が違うのか?とも思った。(この辺りは継続で学ぶ、考えることをしてもいいかもしれない。) 人と出会い、そのことによって、いま生きているこの自らの社会を相対化することという意味において、まさに文化人類学なんだなと思う。 著者の人と関わるうえでの姿勢というか愛も感じた。患者として一般化するのではなく、いまを生きるひとりの人として出会うこと、それによって医療として数字や症状としてとらえることとは違うことが見えてくる。

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2021/03/21

自分がまあまあ普通に食べられない勢なのでなにかヒントでも…と思い読んでみたけどこの本でインタビューに答えてる人達はわたしの一億倍くらい壮絶で苦しんだ過去があって、すみません…と思ってしまった。摂食障害の四文字でも様相は色とりどりであることだった。 「還元主義」の構造はなるほどそ...

自分がまあまあ普通に食べられない勢なのでなにかヒントでも…と思い読んでみたけどこの本でインタビューに答えてる人達はわたしの一億倍くらい壮絶で苦しんだ過去があって、すみません…と思ってしまった。摂食障害の四文字でも様相は色とりどりであることだった。 「還元主義」の構造はなるほどそうだなと思う。 摂食障害はどのルートを辿ってもある結論やモデルに落とし込まれてしまうループものというか、けどそれにより自分の中にモデルを発見することで摂食障害から脱却する足掛かりを得る人もいる。 摂食障害を理解するアプローチは当事者にとっても複雑なのだ。 けどある人のインタビューで「夕飯の菓子パンを楽しむために朝昼抜く」っていう、いわば夜の菓子パンが「祝祭」になってるという話、めっちゃわかる…と思った。 私も学生時代に夜のマクドを心置きなく楽しみたいから平気で朝昼抜いてた(そして痩せた)あれは祝祭だったのか…なんてしっくりくる言葉…

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2021/03/11

筆者が本書の中で「専門家から見て正しい心身をつくるために生きているのか」との問いかけにハッとしてしまいました。 食というのはまず自分のため、生きるためにあるのだということを覚えておきたいと心に深く刻む一冊でした。

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2020/09/14

僕自身、肥満からの脅迫、非受容への畏怖、千葉への忌避、いずれも身をもって味わったストレスである。幸いにして症状としての拒食、過食には至らなかったが、登場人物の心理は非常に理解できるものばかりだ(千葉忌避については、映画『翔んで埼玉』を見て、それを1970年代まで時間を遡ってもらえ...

僕自身、肥満からの脅迫、非受容への畏怖、千葉への忌避、いずれも身をもって味わったストレスである。幸いにして症状としての拒食、過食には至らなかったが、登場人物の心理は非常に理解できるものばかりだ(千葉忌避については、映画『翔んで埼玉』を見て、それを1970年代まで時間を遡ってもらえれば、多少の類推はできるかと思う)。 にしても、様々な「原因」はあるにせよ、その「結果」としての「チューイング」という異形については、言葉を失う。 帰宅するとすぐに過食が始まる。着替えはおろか、コートを脱ぐことすらできない。食べ物をスーパーの袋から1つずつ取り出す時間も惜しいので、汚れてもいいように新聞紙を床に広げ、買ってきたものを新聞紙いっぱい乱暴に広げて食べ始める。しかし早く食べようと焦りに焦っているので、パンの袋や熱い弁当の蓋を上手に開けることができない。パンの袋はぐちゃぐちゃになり、弁当箱を新聞紙の上にひっくり返してしまうこともあったし、さらに箸で食べ物をつかむことにも煩わしさを感じ、手づかみで弁当食べたこともあった。カレーのように救う必要のある食べ物の場合は、スプーンを使うこともあったが、それも煩わしいため、そのような食べ物は次第に買わなくなった。またロールケーキのように通常であれば切って食べるものは、手で2つ折りにしてむしゃむしゃと食べた。1口食べるごとに、傍に用意してあるスーパーの袋に液状になる寸前の食べ物を吐き出して行く。口に入れても吐き出す作業を猛烈な勢いで繰り返すため、手や洋服は汚れ、ときには髪の毛まで食べ数がついてしまう。 背景は人それぞれだが、皆、苦しかったろう…。 癌治療から戻った母親が妄想を抱き、挙句、娘に手をあげるようになった。 部活引退後も変わらぬ食生活を続けていたら「あなたが縄跳びをすると体育館中が揺れる」と教師にからかわれた。 3歳違いの兄と高1の時のきょうだい喧嘩、鼻の穴に指を突っ込まれて…。 担当の医師に「(過食嘔吐の薬の)副作用が酷い」と言えば「その方が過食嘔吐が減っていい」と返される。 大学病院を受診するも、長らく待たされた後の診療は「体重計乗って」で、記録すると「また来週ね」だけだった。 (拒食症患者の彼女は)親、医師、患者の三角関係を保ったまま、受験を乗り切る方法を選択していた。 「#なぜふつうに食べられないのか」(春秋社、磯野真穂著) Day234 https://amzn.to/3k5SFwm

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2018/11/20

「私たちは生きるために食べていると言えるのだろうか。私たちは科学的に正しい食べ方をし、専門家の目から見て適切な心身を作るために生きているのだろうか。」 摂食障害の患者6人にに、4年間聞き取りを行い、「なぜ普通に食べられないのか」を問うた本。構成としては、まず1章で聞き取りを上げ...

「私たちは生きるために食べていると言えるのだろうか。私たちは科学的に正しい食べ方をし、専門家の目から見て適切な心身を作るために生きているのだろうか。」 摂食障害の患者6人にに、4年間聞き取りを行い、「なぜ普通に食べられないのか」を問うた本。構成としては、まず1章で聞き取りを上げ、「ふつうに食べられない人生」を並べる。2章で現在の医学的視座から、摂食障害のなおしかたを描き、そしてそのなおしかたと向き合った6人の体験を並べている。現在の病の理解では著者曰く「還元主義」という考えに基づいて、その還元主義に基づいた治療方針が立てられているという。 「摂食障害に関する代表的な議論を分野問わず通読すると、原因や症状の維持に関与するとされる要因は、時代や学問領域によって変化を見せるものの、原因や症状の維持のメカニズムは、全て同一のフレームワークによって理解されていることがわかる。このフレームワークを「本質論」と「生体物質論」よりなる「還元主義」と名付け」ている 「本質論」は心の問題から摂食障害が起きているという考えで、「生体物質論」は摂食障害は身体の問題で、身体は物理、化学的に分析できるとしている論である。 つまり、我々の身体は、そして我々の身体を維持するための食事というものは、こころとからだから構成されている、そしてどちらかに問題があるからその問題を治そうということである。 そしてその心と体をめぐる治療法や考えが並び、それに対する著者の考えが描かれてゆく。 「痩せたい」と人はなぜ思うのか?わたしは痩せたいと思うし、痩せたいがために糖質制限や運動、カロリー計算や食事の記録を行なっている。その動機となるのは「痩せている方が良いと思う」からだ。痩せている方が美しいとされる、男性が結婚相手に臨む指標は容姿がダントツだそうだ、また、痩せている方が自己管理ができ、賢いとされる、体に良いものを選択し、適切な自己管理ができているとされる。そして、食事の制限や痩せは、やればやるほど成果が出るため、ある程度の達成感や承認を得ることができるのだ。6人の語りの中にも、それは数多く見られる。 さて、食事とはなんなのか?「ふつうに食べる」とはなんなのだろうか?著者はふつうにたべることは食は複雑であり、さまざまな前提や背景を共有することで行われる社会的な連帯であるとする。生まれながらにして獲得する本能では無い。たとえば食べる時間、食べる道具、何を食べればいいのか、食のマナー、調理法、栄養、それらは文化的なものだ。はしの持ち方がなってないだとか、行儀悪いだとか、食べ合わせだとか言うことも、学んでいく知識だ、それらの知識があって初めて、人とふつうに楽しく食べることができる。食は文化である。そして、その食をコントロールすることで得た身体の社会的な評価もまた文化である。痩せていることが美しいとされる文化、身体をコントロールすることが賢いとされる文化、そして食をふつうに楽しむこともまた文化である。しかし摂食障害とは病であり、この病に対し、医学が治療を行う。治療は科学的なものだ。科学的なものさしと、文化的なものさしの狭間にこぼれおちた「ふつうに食べること」ついて丁寧に語られている。 この本はとても優しい眼差しで書かれていて、そして同時に「痩せたい」と思ったことのある人間に対してはある意味猛毒であるような気がする。なぜなら、「痩せることが美しい」社会は全く変わらないからだ。痩せたいのであれば、ここに描かれた体験をそのまま実行しさえすればいい。彼女たちの語りは、とても魅惑的だ。悩んではいるが、確かにそれにより痩せた体を獲得しているのだ、それが例え一時であり、それがたとえ生きていく上で地獄のような悩みとしてあらわれたとしても、確実に痩せる術が並んでいる。そして同時に、それを読む人がどう捉えるかと言う問いかけにもなる。ふつうにたべることは難しい、自己コントロールは賢い、ふつうに食べることの喜び…。この本にどんな感想を抱くかは、生きていくことと食事に対する自分の考えを浮き上がらせることになる。 食事は、人間の暮らしと人間の形を作るものなのに様々な事が勝手に専門家やら他人にとやかく言われることだ。糖質制限もカロリーも、あれがおいしい、あれが健康にいい、バランスの良い食事だとか、そんなこと全部やめてしまった方が早いのではないだろうか? 「食べ物と他者はよく似ている。なぜならそれらはふたつとも、人間にとって怖いからである」 あとがきに書かれた最初の一文。 食べることとはなんだろうか、どうして痩せていることは病なのか。 「痩せたい」と一度でも思ったことのあるすべての人が、この本を読むことを願う。

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2015/04/18

文化人類学を専攻する女性が摂食障害の方6名にインタビューし、 本人が語った摂食障害についてまとめた本を紹介しましょう。 6人の摂食障害のパターンは一律ではありません。 過食・嘔吐を繰り返す方、口に入れて噛んで吐き出す(チューイング)をする方、下剤を乱用する方など多様です。 どの方...

文化人類学を専攻する女性が摂食障害の方6名にインタビューし、 本人が語った摂食障害についてまとめた本を紹介しましょう。 6人の摂食障害のパターンは一律ではありません。 過食・嘔吐を繰り返す方、口に入れて噛んで吐き出す(チューイング)をする方、下剤を乱用する方など多様です。 どの方も自制ができずに繰り返してしまいます。 摂食障害の原因は、わかっていません。 強いやせ願望がどこから生じるのか、なぜ過食・嘔吐をくりかえしてしまうのか。 これまでの原因論を紹介しながら文化人類学専攻者ならではの視点で病因について説明しています。 http://ameblo.jp/nancli/entry-12015681938.html

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